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炭素質小惑星(162173)リュウグウの試料中の可溶性有機分子
この度「はやぶさ2初期分析チーム」のうち「可溶性有機物分析チーム」の研究成果をまとめた論文が、アメリカの科学誌「Science」に2023年2月24日付(日本時間)で掲載されましたのでお知らせします。
- タイトル:
- 炭素質小惑星(162173)リュウグウの試料中の可溶性有機分子
- 原題:
- Soluble organic molecules in samples of the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu
- 掲載誌:
- Science
- DOI:
- 10.1126/science.abn9033
- 公表日:
- 日本時間2023年2月24日(金)午前4時(オンライン公開)
1. 発表のポイント
- ◆
- 小惑星リュウグウの表面から採取された試料を溶媒抽出することにより、メタノール抽出溶液をイオン化して超高分解能質量分析したところ、炭素(C)と水素(H)、 窒素(N)、 酸素(O)、 イオウ(S)を含む組成からなる有機分子が約2万種含まれていた。
- ◆
- クロマトグラフィーを用いて、アミノ酸やカルボン酸、アミンのほかに芳香族炭化水素類などが検出された。とくに、メチルアミンや酢酸のような揮発性の高い小さな有機分子が存在することは、リュウグウ表面ではこれらの分子が塩として安定して存在していることを示す。
- ◆
- 地球生命が用いるタンパク性アミノ酸(アラニンなど)のほか、非タンパク性アミノ酸(イソバリンなど)が見つかったが、左右構造を持つアミノ酸はほぼ1:1で存在し、非生物な合成プロセスを示す。
- ◆
- 炭化水素としてはアルキルベンゼンや多環芳香族炭化水素であるナフタレン、フェナントレン、ピレン、フルオランテンなどが主に存在した。これらの存在パターンは地球上の熱水原油のパターンと似ており、リュウグウ母天体上で水の影響を受けていたことが示唆される。
- ◆
- 試料表面をメタノールでスプレーしてその場分析すると、異なる有機分子が異なる空間分布で存在しており、リュウグウ母天体上で、流体と鉱物との相互作用の中で、有機化合物が移動・分離した可能性が示唆された。
- ◆
- 小惑星表面からはいろいろな過程で物質が宇宙空間に放出されることが観察されており、リュウグウ表面の有機分子が他の天体に運ばれる可能性がある。また、リュウグウなどの小惑星表面は炭素資源としても利用できることを示している。
2. 概要
「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウ試料を主に溶媒で抽出することにより、含まれる可溶性有機分子を分析した。リュウグウは小惑星帯で最も多いC型小惑星に属する暗い始原的な小惑星で、炭素質コンドライト隕石のような含水鉱物に富んでいる。始原的な炭素質コンドライトにはアミノ酸を含む様々な可溶性有機分子が存在することが知られており、生命の誕生につながる前生物的有機分子を初期の地球や他の天体に供給した可能性がある。本研究では1回目のタッチダウンサンプリングで得られたリュウグウ表面試料に含まれる有機分子を日米欧の研究チームで分析を行った。その結果、アミノ酸やアミン、カルボン酸、芳香族炭化水素、含窒素環状化合物など種々の有機分子が検出された(図1)。これらの有機分子はリュウグウ表面から放出されて他の天体に運ばれる可能性もあるし、有機資源としても利用できるかもしれない。
- 図1
- 小惑星リュウグウの表面試料から見つかった有機分子の概念図
3. 本文
はやぶさ2サンプル初期分析チームの可溶性有機物分析チームが行った主な分析とその結果は以下のとおりである。
最初に炭素(C)および窒素(N)、水素(H)、イオウ(S)と熱分解性の酸素(O)の元素分析と同位体比測定を行った。リュウグウ試料には3.8%のC、1.1%のH、0.16%のN、3.3%のS、12.9%の熱分解性Oが含まれており、これら揮発性軽元素CHNOSの合計は約21.3%であった。これらの元素が含水ケイ酸塩、炭酸塩、硫化物などの無機鉱物を構成するとともに、有機物を形成している。これらの元素量は今まで報告された炭素質隕石中の量と比較して、最も多い部類に属し、リュウグウが揮発性元素に富んだ天体であることが明らかとなった(図2)。また、これらの安定同位体組成(注1)は炭素(13C/12C)のδ13Cが約-0.6パーミル、窒素(15N/14N)のδ15Nが約+43パーミル、水素(D/H)のδDが約+250パーミル、イオウ(34S/32S)のδ34Sが約-3パーミルで、隕石と比較すると近いものはCI (Ivunaタイプ)炭素質コンドライト隕石であった。
図2 小惑星リュウグウ試料の炭素、水素、窒素量
リュウグウ試料をメタノールで抽出した溶液を電子スプレーイオン化法(ESI)(注2)および大気圧光イオン化法(APPI)(注3)を用いてイオン化し、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FT-ICR/MS)(注4)を用いて分析したところ、CH、 CHO、 CHN、 CHS、 CHNO、 CHOS、 CHNOSからなる分子量700くらいまでの有機分子イオンが約2万種見出された(図3)。これらの多くは一連の同族体を構成しており、メチル化や水酸化などの有機分子の連続した反応が起こっていることを示している。これらの有機分子の多様性は炭素質隕石と比べても多く、比較的低温環境下で生成したことを示唆する。
図3 小惑星リュウグウ試料のアルコール抽出物から検出された約2万種の化学組成
リュウグウ試料の熱水抽出物を加水分解した試料を2つの手法でアミノ酸分析を行った。液体クロマトグラフィー蛍光検出/高分解能質量分析(LC-FD/HRMS)では網羅的なD、L-アミノ酸分析を、3次元高速液体クロマトグラフィー蛍光検出(3D-HPLC/FD)ではD、L-アミノ酸の光学異性体(注5)分離に特化した高感度分析を行った。その結果、地球生命が用いているアラニンやグリシン、バリンのようなタンパク質性アミノ酸および用いていないベータアラニンやアミノ酪酸、イソバリンなどの非タンパク質性アミノ酸を合わせて15種類を検出した。また、検出された右手・左手の構造を持つ光学対掌体アミノ酸は左右ほぼ1:1で存在するラセミ体であった(図4)。多くは地球生命が用いていない非タンパク質性アミノ酸であり、ラセミ体で存在することはこれらが非生物的に合成されたことを示す。アミノ酸の構造分布としてはα-アミノ酸に加えて、直鎖構造を持つアミノ酸(β-、γ-)が比較的多く、より水変質を受けた炭素質隕石に存在するアミノ酸の特徴と一致する。検出されたアミノ酸濃度は2つの分析法で違いがあったが、多くは1ナノモル/g以下であり、数ppbと超微量であった。比較的な多種多様なアミノ酸が検出されたマーチソン隕石に比較してはるかに少なく、CIコンドライト隕石(オルゲイユ隕石)よりも少なかった。
図4 小惑星リュウグウ試料の熱水抽出・加水分解物から検出されたアミノ酸の光学分離
熱水抽出物にはアミノ酸の他に、低分子のアミンやカルボン酸も存在した。例えば、メチルアミンの遊離体の沸点は1気圧(1013 hPa)において -6.3℃と非常に揮発性が強い。リュウグウ表面においては塩として存在していることを示す(例えば、メチルアミン塩酸塩の沸点は20 hPaで約230℃)。メチルアミンの他にエチルアミン、プロピルアミンも存在したが、イソプロピルアミン(分岐)は直鎖プロピルアミンより多かった。これはラジカル反応で生成したか、熱で分解して存在していることを示す。また、オルゲイユ隕石中には存在しているブチルアミンが検出されなかった。これらのアミン塩はリュウグウ表面で観測されている吸収帯~3.1µm (NH結合)と関係しているかもしれない。カルボン酸として酢酸とギ酸も存在したが、より炭素数の多いものは検出されなかった。より炭素の小さいカルボン酸だけが見つかるのは熱水作用を受けた炭素質隕石で見られる特徴と一致する。
有機溶媒で抽出した画分からは芳香族炭化水素が検出された。アルキルベンゼンを始めとしたアルキル鎖を持つものや2環のナフタレンから4環のピレン・フルオランテンまでの多環芳香族炭化水素(Polycyclic Aromatic Hydrocarbon、以下「PAH」)とそれらのアルキル体を検出した。PAHは星間空間に普遍的に存在すると考えられており、炭素質隕石中にも多く存在する有機分子である。 特にピレンとフルオランテンは同じ化学式(C16H10)で表される構造異性体であり、マーチソンなどの多くの炭素質隕石中ではほぼ1:1で存在する。しかし、リュウグウ試料においてはピレンがフルオランテンよりも多く存在した。このような特異なPAH分布はCIタイプのIvuna炭素質隕石にも見つかっており、リュウグウ母天体内での溶解度の違いにより水流体作用で分離した(アステロイドクロマトグラフィー)可能性がある。アルキルベンゼンの存在やフルオランテンに対するピレンの過剰は地球上の熱水域の原油中にも見つかっており、リュウグウに熱水原油的な有機物が存在し、炭素資源として将来利用できるかもしれない。
含窒素環状化合物は広範囲にアルキル化(-CH2-)された一連の同族体として存在していたが、これらはホルムアルデヒドとアンモニアから母天体上で合成されたと考えられる。含窒素環状化合物は炭素質隕石中にも普遍的に検出されるが、リュウグウに見出されたアルキルピリジン同族体(CnH2n-4N+)の炭素数分布はよく研究されているマーチソン隕石の分布と異なっていた。存在度の炭素数分布がマーチソン隕石では主に8から16で極大が11であったの対して、リュウグウでは主に炭素数11から22に分布し、極大炭素数は17であった。このことは有機分子の合成(炭素結合の伸長)が水作用や宇宙線などの要因によって左右されることを示している。また、リュウグウ試料の約1mmサイズの粒子表面を荷電したメチルアルコールでスプレーすることにより、有機分子がどのように分布しているかも調べた。これらの含窒素環状化合物は炭素数の違いや異なる化学組成に応じて、粒子中のマイクロメートルスケールで空間分布が異なることが判明した(図5)。このような有機分子の空間分布の違いはリュウグウ母天体上で水流体と鉱物との作用時にこれらの分子が分離した可能性がある。
図5 脱離エレクトロスプレーイオン化質量分析で得られたリュウグウ試料の表面でのCHN化合物の異なる空間分布
リュウグウ試料に検出された可溶性有機分子の多様性は今まで炭素質隕石に見られた有機分子の多様性に匹敵する。ただ、低分子の有機化合物分布の多様性は比較的低く、水質変質作用を強く受けた炭素質隕石の有機物分布と似ている。これは鉱物学的特徴とも一致する。当初、リュウグウ表面は高温の環境下にあり、有機物は分解した可能性が示唆されたが、存在する有機分子の特徴は強い熱変質は示していない。
小惑星表面は高真空下、太陽光加熱や紫外線照射、高エネルギー宇宙線を受けているが、今回の研究はその最表面に有機分子が鉱物に守られて存在していることを示す。衝突や摂動などにより炭素質小惑星の表面からは有機物を含んだ物質が飛び出し、隕石や宇宙塵として太陽系の他の天体に運ばれるだろう。
4. 論文情報
- 雑誌名:
- Science
- タイトル:
- Soluble organic molecules in samples of the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu
- 著者:
- Naraoka, H.1, Takano, Y.2, Dworkin, J.P.3, Oba, Y.4, Hamase, K.5, Furusho, A., Ogawa, N.O.2, Hashiguchi, M.6, Fukushima, K.7, Aoki, D.7, Schmitt-Kopplin, P.8,9,10, Aponte, J.C.3, Parker, E.T.3, Glavin, D.P.3, McLain, H.L.3,11,12, Elsila, J.E.3, Graham, H.V.3, Eiler, J.M.13, Orthous-Daunay, F.-R.14, Wolters, C.14, Isa, J.15,16, Vuitton, V.14, Thissen, R.17, Sakai, S.2, Yoshimura, T.2, Koga, T.2, Ohkouchi, N.2, Chikaraishi, Y.4, Sugahara, H.18, Mita, H.19, Furukawa, Y.20, Hertkorn, N.8, Ruf, A.21,22,23, Yurimoto, H.24, Nakamura, T.20, Noguchi, T.25, Okazaki, R.1, Yabuta, H.26, Sakamoto, K., Tachibana, S.18,27, Connolly, Jr., H.C.28, Lauretta, D.S.29, Abe, M.18,30, Yada, T.18, Nishimura, M.18, Yogata, K.18, Nakato, A.18, Yoshitake, M.18, Suzuki, A.31, Miyazaki, A.18, Furuya, S.27, Hatakeda, K.31, Soejima, H.31, Hitomi, Y.31, Kumagai, K.31, Usui, T.18, Hayashi, T.18, Yamamoto, D.18, Fukai, R.18, Kitazato, K.32, Sugita, S.16,27, Namiki, N.30,33, Arakawa, M.34, Ikeda, H.18, Ishiguro, M.35, Hirata, N.31, Wada, K.16, Ishihara, Y.36, Noguchi, R.37, Morota, T.27, Sakatani, N.38, Matsumoto, K.38, Senshu, H.16, Honda, R.39, Tatsumi, E.40, Yokota, Y.18, Honda, C.32, Michikami, T.41, Matsuoka, M.18, Miura, A.18, Noda, H.30,33, Yamada, T.18, Yoshihara, K.18, Kawahara, K.18, Ozaki, M.18,30, Iijima, Y.18*, Yano, H.18,30, Hayakawa, M.18, Iwata, T.18, Tsukizaki, R.18, Sawada, H.18, Hosoda, S.18, Ogawa, K.42, Okamoto, C.34*, Hirata, N.33, Shirai, K.33, Shimaki, Y.18, Yamada, M.16, Okada, T.18,43, Yamamoto, Y.18,30, Takeuchi, H.18,30, Fujii, A.18, Takei, Y.18, Yoshikawa, K.36, Mimasu, Y.18, Ono, G.36, Ogawa, N.18, Kikuchi, S.16,33, Nakazawa, S.18, Terui, F.44, Tanaka, S.18,30, Saiki, T.18, Yoshikawa, M.18,30, Watanabe, S.6 and Tsuda, Y.18
- 所属:
-
- Department of Earth and Planetary Sciences, Kyushu University, Fukuoka 819-0395, Japan.
- Biogeochemistry Research Center, Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, Yokosuka 237-0061, Japan.
- Solar System Exploration Division, NASA Goddard Space Flight Center, Greenbelt, MD 20771, USA.
- Institute of Low Temperature Sciences, Hokkaido University, Sapporo 060-0189, Japan.
- Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University, Fukuoka 812-8582, Japan.
- Graduate School of Environment Studies, Nagoya University, Nagoya 464-8601, Japan.
- Graduate School of Bioagricultural Sciences, Nagoya University, Nagoya 464-8601, Japan.
- Helmholtz Munich, Analytical BioGeoChemistry, Neuherberg 85764, Germany.
- Technische Universität München, Analytische Lebensmittel Chemie, Freising 85354, Germany.
- Max Planck Institute for Extraterrestrial Physics, Garching bei München 85748, Germany.
- Center for Research and Exploration in Space Science and Technology, NASA Goddard Space Flight Center, Greenbelt, MD 20771, USA.
- Department of Physics, The Catholic University of America, Washington, D.C. 20064, USA.
- Division of Geological and Planetary Sciences, California Institute of Technology, Pasadena, CA 91125, USA.
- Université Grenoble Alpes, Centre National de la Recherche Scientifique (CNRS), Centre National d'Etudes Spatiales, L'Institut de Planétologie et d'Astrophysique de Grenoble, Grenoble 38000, France.
- Earth-Life Science Institute, Tokyo Institute of Technology, Tokyo 152-8550, Japan.
- Planetary Exploration Research Center, Chiba Institute of Technology, Narashino 275-0016, Japan.
- Université Paris-Saclay, CNRS, Institut de Chimie Physique, Orsay 91405, France.
- Institute of Space and Astronautical Science, Japan Aerospace Exploration Agency (JAXA), Sagamihara 252-5210, Japan.
- Department of Life, Environment and Material Science, Fukuoka Institute of Technology, Fukuoka 811-0295, Japan.
- Department of Earth Science, Tohoku University, Sendai 980-8578, Japan.
- Université Aix-Marseille, CNRS, Laboratoire de Physique des Interactions Ioniques et Moléculaires, Marseille 13397, France.
- Department of Chemistry and Pharmacy, Ludwig-Maximilians-University, Munich 81377, Germany.
- Excellence Cluster ORIGINS, Garching 85748, Germany.
- Department of Earth and Planetary Sciences, Hokkaido University, Sapporo 060-0810, Japan.
- Division of Earth and Planetary Sciences, Kyoto University, Kyoto 606-8502, Japan.
- Department of Earth and Planetary Systems Science, Hiroshima University, Higashi-Hiroshima 739-8526, Japan.
- Department of Earth and Planetary Science, University of Tokyo, Tokyo 113-0033, Japan.
- Department of Geology, School of Earth and Environment, Rowan University, Glassboro, NJ 08028, USA.
- Lunar and Planetary Laboratory, University of Arizona, Tucson, AZ 85721, USA.
- School of Physical Sciences, The Graduate University for Advanced Studies, Hayama 240-0193, Japan.
- Marine Works Japan Ltd., Yokosuka 237-0063, Japan.
- Aizu Research Cluster for Space Science, University of Aizu, Aizu-Wakamatsu 965-8580, Japan.
- Research of Interior Structure and Evolution of Solar System Bodies, National Astronomical Observatory of Japan, Mitaka 181-8588, Japan.
- Department of Planetology, Kobe University, Kobe 657-8501, Japan.
- Department of Physics and Astronomy, Seoul National University, Seoul 08826, Republic of Korea.
- Research and Development Directorate, JAXA, Sagamihara 252-5210, Japan.
- Faculty of Science, Niigata University, Niigata 950-2181, Japan.
- Department of Physics, Rikkyo University, Tokyo 171-8501, Japan.
- Center of Data Science, Ehime University, Matsuyama 790-8577, Japan.
- Instituto de Astrofísica de Canarias, University of La Laguna, Tenerife E-38205, Spain.
- Faculty of Engineering, Kindai University, Higashi-Hiroshima 739-2116, Japan.
- JAXA Space Exploration Center, JAXA, Sagamihara 252-5210, Japan.
- Department of Chemistry, University of Tokyo, Tokyo 113-0033, Japan.
- Department of Mechanical Engineering, Kanagawa Institute of Technology, Atsugi 243-0292, Japan.
- *. Deceased.
- DOI番号:
- 10.1126/science.abn9033
- 公表日:
- 日本時間2023年2月24日(金)午前4時(オンライン公開)
5. 脚注
- (注1)
- 安定同位体
炭素(C)、窒素(N)、水素(H)、酸素(O)、硫黄(S)などの元素には決まった重さ(質量数)がある。同じ元素で質量数が異なるものを同位体といい、安定に存在するものを安定同位体という。地球外物質の安定同位体比は地球上の物質と異なることがある。
- (注2)
- 電子スプレーイオン化法(ESI)
溶液試料を用いた質量分析でのイオン化法の一つである。個々の有機分子を壊すことなくイオン化できるので、観測する分子(親イオン)の一次情報を取得することができる。極性官能基を多く含む分子群についての評価性に優れる。
- (注3)
- 大気圧光イオン化法(APPI)
前述のESI とは異なり、導入した溶液試料を紫外光でイオン化する方法で、ESIではイオン化しにくい炭化水素などの非極性分子をイオン化することができる。
- (注4)
- フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FT-ICR/MS)
超伝導磁石を用いたフーリエ変換型の質量分析計で、超高質量分解能により小数点以下5-6桁の精密イオン質量を決定することができ、網羅的な分子群データを高感度かつ高分解能で取得できる。
- (注5)
- 光学異性体
互いに重ね合わせられない分子対称性を示す化合物のこと。右手と左手の関係に例えて鏡像異性体ともいう。
(参考)
- 国立研究開発法人海洋研究開発機構
- 海洋科学技術戦略部 報道室