地球上では数十万種に及ぶRNAウイルスが知られており、その多くは微生物に寄生しています。しかし、RNAウイルスの多様性や進化、生態系における役割はまだ解明されていません。
本研究では、RNAウイルスのゲノム情報を精度良く捉える独自開発の検出手法を用い、雲仙および霧島の噴気地帯の高温酸性温泉中に存在する、生命の共通祖先に近い高度好熱性の微生物集団から、全く新奇なRNAウイルスのゲノムを発見し、このRNAウイルスをHot spring RNA virus(HsRV)と命名しました。HsRVは、好熱好酸性バクテリアを宿主としていると推測され、生命誕生の場とされる高温環境にもRNAウイルスが生息することが明らかになりました。さらに、HsRVの遺伝子配列は、分類上、既知の2つのRNAウイルス界の配列とは大きく異なり、これらとは異なる第3のRNAウイルス界が存在する可能性も示します。
今後、HsRVを保持する宿主株を単離・培養し、このウイルスの形状や生態を解明するとともに、今回用いた検出手法をさまざまな微生物や動植物に適用し、未知のRNAウイルスのさらなる探索を進めます。
図 本研究の概要
本研究では、高温酸性温泉の極限環境を対象に、FLDS法を用いて、一般的手法では検出できないような新規性の高いRNAウイルスを探索した。今回見いだされたHsRVは、RdRPを持つ界とRTを持つ界のどちらにも属さず、新たな第3の界を形成する可能性が示唆された。
詳細は 筑波大学のサイトをご覧ください。
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