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地球深部探査船「ちきゅう」による国際海洋科学掘削計画(IODP³)第502E次研究航海「日本海溝JTRACK観測孔への再訪:長期温度モニタリングシステムの回収と再設置」の終了について

2025.10.30
国立研究開発法人海洋研究開発機構

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和 裕幸)は、地球深部探査船「ちきゅう」※1 による国際海洋科学掘削計画(IODP³: International Ocean Drilling Programme)※2 の最初の航海として実施していた、IODP³第502E次研究航海「日本海溝JTRACK※3 観測孔への再訪:長期温度モニタリングシステムの回収と再設置(Extended Monitoring and Resurveying of Japan Trench Borehole Observatories)」について、本研究航海の目的を達成し、予定の作業を全て完了しましたのでお知らせします。

1
実施内容
 本研究航海では、東北地方太平洋沖地震が発生した日本海溝(図1)において、地球深部探査船「ちきゅう」を用い、二つの掘削孔での長期孔内温度計測装置(以下、「装置」という)の回収と再設置を行うため、2025年10月18日に開始いたしました(2025年10月20日既報)。
2012年のIODP第343次研究航海(JFAST)の掘削孔C0019D及びJTRACKの掘削孔C0019Qに設置した装置を船上に回収し、装置に設置されたセンサーからのデータダウンロード、バッテリーの交換、より長期にわたる観測に向けたプログラムの再設定、センサーを繋いでいるロープの状況確認と必要な整備等を行ったのち、C0019D及びC0019Qの2つの掘削孔への装置を設置完了しました。その後、「ちきゅう」は10月29日に宮城県仙台港(高松第二埠頭)に入港し、本研究航海を完了いたしました。
2
結果概要及び今後の展望
 本研究航海では、東北地方太平洋沖地震が発生した、日本海溝の断層帯周辺の掘削孔(C0019D、C0019Q)に設置した長期孔内温度計測装置を回収し、JTRACK航海後から記録され続けている温度データをダウンロードした後、再び装置を同じ孔内に設置しました。今後、得られた温度計測データの解析や孔内調査により、断層帯周辺のより詳細な水理構造を時間変化とともに捉え、また、それらと地震活動との関係を明らかにすることを目指します。
3
特設ウェブサイト
 本航海に関する特設ウェブサイトを開設しています。本ウェブサイトでは、研究航海の概要や参加研究者の紹介を行うとともに、航海の進捗を随時更新する予定です。
https://www.jamstec.go.jp/chikyu/j/exp405/
用語解説
※1

地球深部探査船「ちきゅう」
IODP³の科学掘削に日本が提供する掘削船

ちきゅう©JAMSTEC/IODP³

※2

国際海洋科学掘削計画(IODP³: International Ocean Drilling Programme)
国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)を引き継いで、2025年4月より開始された日欧が主導する海洋科学掘削に関する多国間科学研究共同プログラム。現在、掘削プラットフォームを提供する海洋研究開発機構と欧州海洋研究掘削コンソーシアム(ECORD:European Consortium for Ocean Research Drilling)がコアメンバーとなり、掘削船を保有しない豪州・ニュージーランド国際科学掘削コンソーシアム(ANZIC: Australian and New Zealand International Scientific Drilling Consortium)がアソシエートメンバーとして参加している。本プログラムは海洋科学掘削2050サイエンスフレームワーク(2050 Science Framework: Exploring Earth by Scientific Ocean Drilling)に基づいて実施され、日欧がそれぞれ提供する掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行っている。

※3

JTRACK
2024年9月から12月にかけて実施した国際深海科学掘削計画(IODP)第405次研究航海「日本海溝巨大地震・津波発生過程の時空間変化の追跡(Tracking Tsunamigenic Slip Across the Japan Trench)」の略称。JTRACKは2013年10月から開始された多国間科学研究協力プロジェクトであるIODPの枠組みにおける最後の研究航海となった。(2024年12月既報

図1

図1 調査海域図

図2

図2 掘削計画

1
長期孔内温度計測システムの回収(C0019D)
掘削孔C0019Dのウェルヘッドに掘削パイプを接続し、パイプ内に回収ツールを通して、JTRACKで設置した長期孔内温度計測システムを回収しました。
2
長期孔内温度計測システムの回収(C0019Q)
掘削孔C0019Qのウェルヘッドに掘削パイプを接続し、パイプ内に回収ツールを通して、JTRACKで設置した長期孔内温度計測システムを回収しました。
3
長期孔内温度計測システムの設置(C0019D)
掘削孔C0019Dのウェルヘッドに掘削パイプを接続して、孔内に長期孔内温度計測システムを設置しました。
4
長期孔内温度計測システムの設置(C0019Q)
掘削孔C0019Qのウェルヘッドに掘削パイプを接続して、孔内に長期孔内温度計測システムを設置しました。
図3

写真1 10月21日 掘削孔C0019Qへの再接続の様子

お問い合わせ先

国立研究開発法人海洋研究開発機構
(IODP³及び本航海について)
 研究プラットフォーム運用部門 地球深部探査船運用部
(報道担当)
 海洋科学技術戦略部 報道室