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小惑星「リュウグウ」の地表面と地球帰還試料の素顔を明らかに
〜小型モニタカメラCAM-Hによるタッチダウン撮像とリュウグウの花吹雪〜

2022年 2月 21日

炭素質小惑星「リュウグウ」の地表面の撮像、タッチダウンサンプリングのオンサイト観察、地球帰還粒子の性状に関する研究成果が、2022年2月10日付で科学誌「Science」に掲載されました。本研究成果には、はやぶさ2サンプラーチームメンバーとして、生物地球化学センター(BGC)の高野 淑識 センター長代理が参画しています。

はやぶさ2探査機には、たくさんの皆様から頂いたご寄付により製作・搭載した小型モニタカメラ(CAM-H)が備えられており、2回のタッチダウンサンプリングの現場を記録しました。タッチダウンの撮像では、あたかも「花吹雪」のように舞うリュウグウ地表の砂や砕屑物の様子が捉えられています。リュウグウから回収したサンプルを用いた科学計画を進行中の高野センター長代理は、「そのカメラおよびすべての撮像データは、リュウグウのサンプルを採取した現場の目撃者であり、サンプルの真正性を証明できる一次データになっていることに改めて深い感動を覚える。これからリュウグウは、さらに何を語るのか、チーム全員で解明したい」と語ります。

1 回目の着地後、探査機上昇中のCAM-H画像。左画像の白丸上の粒子は画面右から左に回転しながら移動し、1秒後の画像(右)では平坦な形状を見せる

サンプルリターン探査で帰還した一次試料は、対象となる天体の諸性状・位置情報・地質情報とともに回収・格納され、地球大気との接触はありません。このため、その起源が不詳なまま、地上回収される地球外物質とは科学的価値が異なります。本プロジェクトによって初めて、C型小惑星の元素組成や物質科学的性状が明らかになると期待されています。

成果の詳細は、JAXAによる解説をご参照ください。

参考リンク

[1]
2022年2月10日付 「Science」誌
【原題】
Pebbles and sand on asteroid (162173) Ryugu: in situ observation and particles returned to Earth.
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abj8624
【JAXAによる論文の解説】
https://www.isas.jaxa.jp/topics/002942.html
[2]
Sawada, H. et al. (2017) Hayabusa2 Sampler: Collection of asteroidal surface material. Space Science Reviews, 208, 81-106. doi: 10.1007/s11214-017-0338-8.
はやぶさ2探査機に搭載された小型モニタカメラと航行中のサンプラホーンの様子(2018年9月5日)
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180905/
[3]
第1回タッチダウンにおける小型モニタカメラ撮影映像 / Hayabusa2_1st Touchdown movie(2019年2月22日:日本時間)
https://www.youtube.com/watch?v=-3hO58HFa1M&list=PL-XJoa_8IGlKzQtPeNfs1arSBfmISDCWS&index=1
[4]
第2回タッチダウンにおける小型モニタカメラ撮影映像 / Hayabusa2_2nd Touchdown movie(2019年7月11日:日本時間)
https://www.youtube.com/watch?v=gl3eH0W1iPc&list=PL-XJoa_8IGlKzQtPeNfs1arSBfmISDCWS&index=2
[5]
「はやぶさ2」サンプルリターン探査:太陽系始源天体探査における位置づけ(概要の総説)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/chikyukagaku/48/4/48_265/_article/-char/ja/
[6]
はやぶさ2サンプリング装置開発チームによる日本機械学会 宇宙賞の受賞について(2021年3月17日)
https://www.jamstec.go.jp/j/jamstec_news/20210525/