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日本海洋事業(株)中村船長、千葉元司令が令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「研究支援賞(高度技術支援部門)」を受賞

2026.04.17

海洋研究開発機構が有人潜水調査船「しんかい6500」および深海潜水調査船支援母船「よこすか」の運航・管理を委託している、日本海洋事業(株)の中村義行 船長、千葉和宏 元司令が、令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「研究支援賞(高度技術支援部門)」を受賞されました。

本表彰は、文部科学大臣が、科学技術に携わる者の意欲向上を図り、我が国の科学技術の水準の向上に寄与することを目的として授与しています。研究支援賞(高度技術支援部門)は、科学技術の発展や研究開発の成果創出に向けて、高度で専門的な技術的貢献を通じて研究開発の推進に寄与する活動を行い、顕著な功績があったと認められる個人又はグループを対象としています。

業績名

有人潜水調査船の運航による海洋研究への貢献

受賞者
中村 義行(日本海洋事業(株)船長)
千葉 和宏(元 日本海洋事業(株)潜技長)
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『高度技術支援のお世話になっている研究者として、野牧秀隆・川口慎介より』

「しんかい6500」は支援母船「よこすか」とともに1990年に運用を開始し、36年間で1900回近い潜航調査を行っています。建造当時は世界で最も深い水深まで潜航可能な有人潜水調査船として名を馳せ、他国の有人潜水調査船に最大潜航深度を追い抜かれた今でも、深海調査の最前線で年間数十回におよぶ潜航調査を続けています。

これらの潜航調査により、世界中の深海底で数多くの発見を成し遂げてきました。時系列で具体的にあげると、1992年には鳥島沖で世界2例目となる鯨骨生物群集の発見、2005年には東北沖でこれまで知られていなかった火成活動「プチスポット火山」の発見、2009年にはインド洋かいれいフィールドにおいて世界で唯一硫化鉄でできた鱗を持つ生物・スケーリーフットの大群集と、なぜか硫化鉄を持たない白いスケーリーフットを発見、2010年には、南部マリアナ海域で海溝部では初となる蛇紋岩化流体の湧出に伴う炭酸塩チムニー群と化学合成生物群集を発見、2011年8月には東北地方太平洋沖地震でできた深海底の亀裂と深海生物大量死でできたバクテリアマットの発見、2019年には房総半島南東沖において深海底に堆積した大量のプラスチックごみを発見などなど、枚挙に暇がありません。

2003年には元宇宙飛行士の毛利衛氏が乗船し宇宙と深海という2大極限&未知環境の共通性と特異性を探り、2013年にはカリブ海の水深約5000mから光ファイバーを用いて世界初の有人潜水船深海調査生中継を実施、2019年からは海洋学以外の専門を持つ大学生・大学院生も「しんかい6500」乗船への門戸を開く「ガチンコファイト航海」を行うなど、深海調査とその魅力を伝えるアイコンとしても大活躍してきました。また、1998年にはリスボンで行われたリスボン海洋博に参加し世界の海洋関係者にお披露目されたほか、2013年にはトンガ王国で国賓級の訪船を受けるなど、科学技術外交においても活躍しています。

近年では、医療・産業への応用が可能な有用微生物の単離源となる多様な環境の堆積物試料を採取したり、深海プラスチックごみ汚染軽減の一助となる「深海でも生分解する生分解性プラスチック」の開発や深海微生物が持つ分解酵素探索を行うなど、産業応用も見据えた研究開発も進めています。

これらの潜航調査は、支援母船である「よこすか」の船長および乗組員の方々と「しんかい6500」の司令と運航チームの方々の、熟練した技術と、研究者との信頼関係に基づくプロ意識により実現されています。「しんかい6500」はその高い操船性とマニピュレータ(ロボットアーム)の操作性により、複雑な海底地形、潮流の強い海底でも必要な観察や計測、サンプル採取を限られた時間内で完了させ、「よこすか」は船上からの「しんかい6500」の安全な着水作業、潜航中の追尾・サポート・指示、浮上後の慎重かつ正確な揚収作業を行い、これらの調査を支えています。また、航海に参加する研究者の研究目的を理解し研究活動をサポートするために綿密な打ち合わせを実施し、必要に応じて深海調査に必要な調査機器を船上で作成・改良するなど、初めて海洋調査に参加する研究者でも最大限の成果を得られるよう惜しみないサポートを提供してくださっています。

これら36年間にわたる「しんかい6500」「よこすか」の研究支援に対し、この度、中村義行船長と千葉和宏元司令が令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「研究支援賞(高度技術支援部門)」を受賞されました。お二人をはじめ、これまでの調査を支えてくださった運航関係者の皆様に深く感謝申し上げます。今後も「しんかい6500」およびその支援母船の「よこすか」により数々の科学的発見がなされるとともに、これらの深海調査活動を通じて多くの方々が海洋・深海調査に関心を持ってくださることを心の底から期待しています。