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2010年9月10日発表
日本近海の海面水温異常は、日本の夏に強く影響 する!
偏西風 を北上させると猛暑 に、偏西風を南下させると冷夏に
地球上の気象や気候をかたちづくる上で、海の表面の水温(海面水温)は重要な役わりを果たします。その海面水温は大気の流れと強い関係があるのですが、これまでの研究では、その大気の流れに大きく
そこで今回、研究者は、地球の自転が大気におよぼす影響などを
研究者は、「この研究成果を生かして、異常気象の
![大気が地球の自転による影響をうけるって、どういうこと?](img/q_and_a_01.jpg)
![自転による影響で、北半球の海流や大気は、進行方向の右へ右へと曲げられているのです。](img/q_and_a_02.jpg)
地球は
![地球の自転](img/fig1.jpg)
図1:地球の自転
地球でくらすみんなには感じられないけれど、その自転は、海や大気の流れる方向に影響をおよぼします。たとえば、風くんがA地点からB地点にまっすぐ向かうとしましょう(図2)。A地点もB地点も地球の自転にともなって東に動いています。ですから、B地点を目指す風くんの動きを
![地球の自転による影響](img/fig2.jpg)
図2:地球の自転による影響
その自転の影響によって、日本列島の位置する北半球の
![偏西風](img/fig3.jpg)
図3:偏西風
その偏西風の通り道は海面水温の変化と強く関係することが
![どんなふうに研究したの?](img/q_and_a_03.jpg)
![過去約50年のデータを解析しパターンを明らかにして、傾向(けいこう)を調べました。](img/q_and_a_04.jpg)
まず研究者は、地球の自転がおよぼす大気への影響や偏西風の位置についてくわしく調べられる方法を考え出して、ヨーロッパ、アメリカ、イギリスの研究機関が保管してきた過去50年分ものデータを月ごとに調べました。次に、夏に起こりがちな異常なパターンを見つけ、その異常なパターンによく
![結果はどうだったの?](img/q_and_a_05.jpg)
![太平洋の本州北部沖と日本海中心部の海面水温が、日本列島の夏の気象に大きな影響をあたえることがわかりました。](img/q_and_a_06.jpg)
研究の結果、6月ごろから本州北部沖と日本海中心部の海水温が、異常に高くなると日本列島は猛暑に、反対に異常に低くなると日本列島は冷夏になることをつきとめました。その原因は、海面水温の変動が大気に影響をあたえ、偏西風の通り道をずらすため。6月から本州北部沖と日本海中心部の海面水温が異常に高くなると、偏西風はふだんより北におし上げられ、南からのあたたかくしめった空気が入りやすくなり気温が上がるのです(図4)。
![猛暑の場合](img/fig4.jpg)
図4:猛暑の場合
反対に、海面水温が異常に低くなると、偏西風はふだんより南に下がり、北からの冷たい空気が入りやすくなって気温が下がるのです(図5)。
![猛暑の場合](img/fig5.jpg)
図5:冷夏の場合
海面水温が日本列島の気温に与える影響は、弱まりながらも9月まで続くこともわかりました。
![これからはどうするの?](img/q_and_a_07.jpg)
![研究を続け、予報に役立てていきます](img/q_and_a_08.jpg)
今回の研究によって、本州北部沖と日本海中心部の海面水温が夏の気象に大きな影響をあたえることがわかりました。研究者は、「この研究成果を生かして、異常気象の予報改善につなげていきたい」と話しています。
ところで、今年(2010年)のデータを調べたところ、6月上旬から本州北部沖と日本海の海面が異常にあたたかくなっていました。今年(2010年)の夏は猛暑でしたが、これは地球温暖化とは関係なく、偏西風の通り道がずれたことが主な原因だったのです。