知ろう!記者に発表した最新研究

2012年2月20日発表
世界最高水準(せかいさいこうすいじゅん)の慣性航法装置(かんせいこうほうそうち)、誕生(たんじょう)!
位置を計算する精度(せいど)がUP!

深海へ挑(いど)み、海底地形や海底下構造(かいていかこうぞう)を調査する深海探査機。探査機が広い範囲を航行するには、探査機の位置や姿勢(しせい)をいつも知っておくことが必要です。けれど、深海はまっくらで目印も無く、電波もとどかないのでGPSも使えません。そこで、探査機には、自分で位置を計算する慣性航法装置(かんせいこうほうそうち)(INS)という装置(そうち)がついています。そのINSの位置情報をたよりに探査機は目的のルートを目指すので、INSの性能は極(きわ)めて重要です。

このたび、新しいINSの開発に、石橋(いしばし)正二郎(しょうじろう)博士と日本航空電子工業株式会社が成功しました! その性能は、日本の知見と最新の技術(ぎじゅつ)を結集させた世界最高水準(せかいさいこうすいじゅん)! 日本の海洋技術に新たな幕(まく)開けです!


新INS

写真:新INS


INSはどうやって現在地を調べるの? 移動した方角と距離(きょり)から計算するのです。

たとえばみなさんが歩くとき、北へ2歩、東へ2歩、というように、出発点を基準(きじゅん) にした方角と距離がわかれば、位置がわかりますよね。

そこでINSは、探査機が航行した方角を測る「ジャイロスコープ」とそのときの加速度を測る「加速度計」で構成(こうせい)された、「センサ部」を持っています。そのセンサ部が得たデータを使って、「演算部(えんざんぶ)」が探査機の位置を計算します(図1)。

INSのイメージ

図1:INSのイメージ

探査機はINSの位置情報(いちじょうほう) をたよりに目的のルートを目指すので、INSの性能はきわめて重要です。けれどこれまで、INSは小型というと海外製品が主流でした。そこで、純国産、かつ小型の新INSの開発に、2004年から石橋博士は挑んできました!

どんな装置を開発したの? 純日本製で、新機能を備え、高性能化・小型化しました!

新INSの機能を紹介しましょう!

1つ目は、「GPS/ドップラ速度計(DVL)/音響測位(おんきょうそくい)ハイブリット機能」(図2)です。海中では潮(しお)の流れの影響やINSそのものの誤差(ごさ)もあるので、INSの位置情報だけで長時間航行すると、探査機は目標ルートからだんだんずれてしまいます。そこで、できる限(かぎ)り正しい位置に補正(ほせい)するために、ドップラ速度計(DVL)を使って速度を測ったり、音響測位装置(おんきょうそくいそうち)を使って海底に設置されたトランスポンダと通信したり、海上ではGPSと通信したりして位置を確認できるようにしました。こうしたデータを参考に新INSは自分の計算方法を補正(ハイブリット)できるので、位置情報の精度(せいど)がアップ!


GPS/DVL/音響測位 ハイブリット機能

図2:GPS/DVL/音響測位 ハイブリット機能


2つ目は、「DVL Dead Reckoning 出力機能」です。新INSの姿勢データとDVLの速さだけで、現在地を計算できる機能です(図3)。DVLの速さが正確なほど正しい位置を計算できます。

DVL Dead Reckoning 出力機能

図3:DVL Dead Reckoning 出力機能

3つ目は、「地上/船上/海底/ストアヘディング アライメント機能」です(図4)。アライメント機能とは初期設定(しょきせってい)のようなもので、探査を始めるときに北を探して方角をとらえ、水平を探して自分のかたむき(姿勢)を調べておく機能です。INSでは、このアライメントを探査前にしておくことが必要となります。

けれどこれまでの技術では、たとえば探査中にトラブルが起きて探査機の電源(でんげん)を入れ直すと、アライメント情報(じょうほう)は消えてしまいました。これでは探査機を海上にもどしてアライメントし直す手間がかかって大変。

そこで今回は、電源を切る直前のアライメント情報を覚えておけるように、ストアヘディング アライメント機能を開発しました。これで、電源を入れ直しても、地上、船上、海底どこでもすぐに探査再開OK!

ストアヘディング アライメント

図4:ストアヘディング アライメント

4つ目は、「センサRawデータ出力機能」です。新INSがとったそのままの生(Raw)データを、補正(ほせい)したり計算したりせずそのまま出力する機能です。研究者が目的にあわせて自由にデータをあつかうことができます。

新INSは、これまでと比べると、ほら(図5)!

比較

図5:比較

この小ささで0.5Nm/hr CEPの精度は、世界最高水準です!例えば、探査機が1時間で約5.5�qくらい移動したとして、その時の誤差(ごさ)は0.9kmくらい。これまでの30%減に相当します! 

これからはどうするの? 実用化を目指して、実際(じっさい)の海で試験をします

2012年3月末には、新INSを新型海中探査機にのせて、海で試験を行う予定です。また、この装置は海だけではなく、航空機や鉄道試験機などさまざまな分野での移動する物の位置や姿勢を知るための装置として、活躍が期待されます。

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