小惑星どうしの衝突の『痕跡』を発見
隕石の中から、18万気圧という超高圧でしかできない特別なガーネットが見つかりました。これは、小惑星どうしが衝突したときに生まれる“痕跡”で、太陽系のなりたちを知る手がかりになります。また、地球の深い場所(マントル)で物質がどんな条件でつくられるのかを考えるヒントにもなります。宇宙と地球のつながりを探る大切な成果です。
高知コア研究所では、貴重な地球科学試料をもとに、
地震発生域や生命圏、宇宙など様々な分野の研究を進めています。
これまで、地球内部の現象や物質循環、生命のあり方を探ってきました。
このページでは、過去10年間の主な研究成果を紹介します。
テンハム隕石中の超高圧ガーネット
隕石の中から、18万気圧という超高圧でしかできない特別なガーネットが見つかりました。これは、小惑星どうしが衝突したときに生まれる“痕跡”で、太陽系のなりたちを知る手がかりになります。また、地球の深い場所(マントル)で物質がどんな条件でつくられるのかを考えるヒントにもなります。宇宙と地球のつながりを探る大切な成果です。
喜界島の塊状ハマサンゴ
喜界島と父島の長生きのハマサンゴの骨格を詳しく調べたところ、海が酸性に近づくにつれて、サンゴが石灰をつくるための液体のpHも下がってしまうことがわかりました。これは、二酸化炭素の増加によって海の化学がどう変わり、その変化がサンゴの成長や生態系にどんな影響を与えているのかを示す大切な証拠です。サンゴが残した「海の変化の記録」を読み解いた重要な成果です。
メタンの起源を探る同位体分析
地球深部探査船「ちきゅう」が熊野灘の泥火山を掘削したところ、地中570mの深さまでメタンハイドレートが広がっていることがわかりました。その量は約32億m³と、これまで考えられていた規模の10倍以上です。さらに、このメタンの多くは微生物がつくったものだと判明。海の底でガスがどう生まれ、地球の中で炭素がどう巡っているのかを探る、大きなヒントとなる成果です。

深海底で採取した玄武岩質ガラス塊
深海底の火山でできたガラスを詳しく調べたところ、そこに含まれるフッ素の量が、マントルの“水の量”を読み取るカギになることがわかりました。この方法によって、地球が誕生したばかりの頃、マントルにどれくらい水があったのかを初めて見積もることができました。地球の始まりにどんな水が存在していたのか、そのヒントを教えてくれる重要な発見です。
DNA解析で明らかになった海底下微生物の多様性
世界各地の海底に積もった泥をDNA解析したところ、深い海の下にも、地上の土や海と同じくらい多様な微生物が暮らしていることが明らかになりました。ほとんどエネルギーのない“極限の環境”なのに、これだけの生き物が存在しているのは驚きです。海底の見えない世界が、生命のしぶとさや適応力の大きさを物語っており、生命の普遍的なしくみを知る手がかりになります。
南海トラフ掘削孔から噴き出す高圧の流体
地球深部探査船「ちきゅう」が南海トラフでスロー地震が起きる場所を掘ったところ、震源付近に“高い圧力がかかった水”がパッチ状に分布していることがわかりました。これは、静かにゆっくり動くスロー地震がどう発生するのかを考えるうえで重要な手がかりです。巨大地震との関わりを探るヒントにもなり、地震予測や防災に向けた新しい知見をもたらす成果です。
リュウグウ粒子中の、水が関与してできた鉱物群
小惑星リュウグウの石をくわしく調べたところ、水や有機物(いのちのもとになる物質)は、太陽系の外側で生まれた可能性が高いことがわかりました。リュウグウにふくまれる水は、地球の水より少し「重い」性質をもっていて、地球の水は1つの場所だけでできたのではなく、いくつかの場所から集まってきたと考えられます。この研究は、宇宙の中で物質がめぐり、やがて地球が生まれた流れをつなぐ、新しい考え方を示したものです。
南海トラフの地震活動とすべり特性の空間分布
南海トラフをモデルにした実験を行ったところ、プレートが沈み込むときに起こる鉱物の変化が、断層の摩擦を強める働きをしていることがわかりました。さらに、沈み込みでできる「イライト」という鉱物が、温度の上昇に応じて地震を起こしやすくする性質を持つことも確認。地震がなぜ発生するのか、その仕組みを実験で再現して理解を深めた重要な成果です。