私たちについて

■背景及び目的

熱帯域においては周期約30-60日という季節内の時間スケールで東進する変動現象が卓越していて、発見者にちなんでマダン・ジュリアン振動(もしくは略して“MJO”)と呼ばれています。このMJOはしばしば中・東部インド洋で発生し、西部熱帯太平洋へと移動する数1,000km規模の雲群として観測されます。

MJOは熱帯で卓越するもっとも顕著な現象の1つであることから熱帯域における気候の理解のために必要なだけでなく、例えば積雲対流雲群に吹き込む強い西風(これを西風バーストと呼ぶ)が西部熱帯太平洋に存在する暖かい海水を東に押し出して、いわゆるエルニーニョ現象の発生の引き金になったり、熱帯低気圧の発生を引き起こすなど、全球規模での気候変動を理解する上でも重要な現象です。発見から30年以上経った現在、大規模な構造や特徴、上記のような影響などが明らかになってきましたが、未だその発生メカニズムは解明されていません。この最大の原因の1つは、積乱雲群が活発に発生するインド洋での観測事例がほとんどないため、十分な研究が実施されていないことです。そこで、「MJOに伴う積雲対流活動が活発化する海域において、海洋と大気の特徴を調べること」を主目的とする本観測研究が計画されました。

このため、過去の研究から積雲対流活動が発生しやすい時期と場所を選び、海洋地球研究船「みらい」により海洋から大気までの集中観測を実施し、詳細なデータを取得します。雲の発生には海洋の状態が大きく影響し、同時にMJO自身も海洋へ影響を及ぼすことから、係留ブイによるネットワークを構築し海洋観測を充実させます。また、MJOは大規模な現象ですので、その空間構造の理解のため近隣の島(モルディブ諸島)においても同時期に観測を行うこととなりました。

*なお、MISMO(ミスモ)とは、スペイン語で “Ahora mismo”(「今すぐ」とか「ちょうど今」の意)から、「まさに今こそインド洋での航海を実施しよう」の意を込めています。




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