今、求められること 今、求められること

海洋科学には、何が求められている?

海やそこに暮らす生物たちはもちろん、私たちの暮らしにも影響を及ぼしている海洋プラスチック。しかしながら、海洋プラスチックに関するデータは足りていません。現状と推測を見ながら、科学には何が求められているのか考えてみましょう。

リゾート地を埋め尽くすプラスチックごみ

“The Missing Plastics”
―プラスチック行方不明問題

流出した海洋プラスチックの内、海水に浮くような軽いプラスチックはその半分(約7500万トン)(※1)。さらにその中で、海岸などに漂着せずに、海を漂い続けているプラスチックは約4500万トン(※2)と推測されていました。しかし、実際の観測を基に計算してみると、約44万トンしか説明できません(※3/※4)。

The Missing Plastics The Missing Plastics

わずか「1%」。海の表面を漂っているはずのプラスチックの総量に対し、存在を説明できるのはたったこれだけなのです。自然環境下ではなかなか分解されないはずのプラスチック。残る「99%」はどこへ行ってしまったのでしょうか?今有力視されているのは、深海をはじめとした「未観測の場所」です。

日本近海にもある?
プラスチックの「たまり場」

海を漂うプラスチックが集まると見込まれているのが、世界にある大きな5つの「ジャイア(環流)」の中です。実際、日本近海も通っている「北太平洋環流」の中には、「グレートパシフィックごみパッチ」という名前の海洋ごみの集積ポイントがあります。ここに国境を越えて、多くの海洋プラスチックが集まっているのです。

■国境を越えて海洋プラスチックが集まる「ごみパッチ」(※5

また、日本の近海では、他の地域に比べて多くのマイクロプラスチックが含まれていました(※6)。これが意味するのは、さまざまな国から排出されたプラスチックが日本の近海にも流れ着いているということです。そのため日本の近海にも、海洋プラスチックのたまり場があると推測されています。

推測を証明する調査データが必要

多くの推測がされている一方で、海洋プラスチックを知るためのデータは不足しています。例えば、マイクロプラスチックの計測。現在は、一粒ずつ海水や堆積物から拾い出して、それをまた一粒ずつ機械で計測していく手法がとられています。

とても小さなプラスチックも計測できる上、ほとんどの種類のプラスチックを判別できるというメリットもありますが、正確さに欠けることや時間がかかりすぎる問題もあります。より素早く、そして正確に分析をしていける方法の確立が必要なのです。もちろん、分析だけはありません。観測でもさらなる広がりが求められています。

一粒ずつマイクロプラスチックを拾い出している様子
  • 【参照】
  • ※1 7500万トンは、PlasticEurope 2015による「生産されたプラスチックの半分が海水よりも軽い」からの推定(試算)
  • ※2 4500万トンは、Lebreton et al. 2012による「軽いプラスチックの6割以上は外洋に流出する」からの推定(試算)
  • ※3 Eriksen et al. 2014
  • ※4 Van Sebile et al. 2015
  • ※5 https://marinedebris.noaa.gov/info/patch.htmlを参考に作成
  • ※6 Isobe et al. 2015