ブラジル航海レグ2終了!

2013/05/24

YK13-04 Leg2首席研究者
藤倉 克則(海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域)

このような大がかりな航海は、とてもたくさんの方々の協力で成り立っています。ブラジルとの協力関係を結ぶために数年前からネゴシエーションをしてくれた方々、入港したときにさまざまなイベントの開催に向け準備してくれた方々、調査船を安全に運航するためにかけずり回ってくれた方々、そして乗船しなくてもいっしょに研究してくれる方々などなど、そういった方々が日本とブラジルの両国にたくさんおられます。皆さんに心よりお礼申し上げます。

この航海は10回の潜航を予定し、そのうち9回潜航できました。世界一周航海がはじまって、最も打率の良い潜航調査でした。これまでのレポートで「嵐を呼ぶ男」だとか「台風さん」とか、誤解多きニックネームで呼ばれていた某首席研究者についての噂は、根も葉もないことが証明されたわけです。

さて、この航海では、南大西洋ではじめて石油やガスの湧き出しにともなった本格的な深海化学合成生態系をみつけることが鍵でした。結果は、これからのサンプルやデータを解析することで明らかになってくるでしょう。「おおおおっ、こんな海底見たことねえ!!」ということもあったかもしれません。

次の寄港地サントスに向けて回航している途中で、海底から石油を掘り出すオイルリグがたくさん見えました。よくよく見るとオレンジ色の炎を吹き上げていました。日本近海なら、まちがいなくイカ釣り漁船と思われるでしょう。それを見ながら「すごい資源だよね。あの下に潜ったら、きっとすごい化学合成生態系があるよね」などと言いながら、また研究室に引き上げました。

まもなく、サントス港に入港します。そこでは、日系人を含むブラジルの方々、ブラジルで働いている日本人の方々が訪船してくださることになっています。きっと楽しいひとときを過ごせると期待しています。


漁り火じゃないですよ。海底から石油を掘り出しているオイルリグの集団です。


QUELLE2013ブラジル沖サンパウロ海台潜航の様子