GlyfinTMS

「GlyfinTMS」の開発

 糖鎖研究では、糖鎖の構造を調べ、その機能を知る事が重要な解析の一つですが、糖鎖の構造は単糖の配列、結合様式、鎖の長さ・分岐様式などが多様であり、非常に複雑な構造をしているため、研究の推進も遅れている状態でありました。しかしながら、近年の分析機器の高性能化に伴い、「MALDI-TOF/MS」や「LC-IT/MS」 (※)といった質量分析機を用いた糖鎖構造の分析が可能になってきました。
 JAMSTECに於いてもLC-IT/MSを用いた糖鎖解析をスタートさせたが、当時LC-IT/MSより得られたデータから糖鎖を解析する専用のソフトはほぼ存在せず、1回の分析で質量分析機が出力する数千に及ぶデータをすべて手作業で確認する必要があり、膨大な時間と経験が必要でした。そこで我々は、LC-IT/MSより得られる膨大なデータの中から、いち早く糖鎖構造由来の候補データを見つけ出し、表示するソフトウェア「GlyfinTMS」の開発を行いました。

【名前の由来】
グライフィンティエムエス:
Glyco peak Finder from Tandem Mass Spectrometry」の略とJAMSTEC発のソフトウェアで世界の糖鎖(Glyco)研究を飛躍推進させたいと言う意味合いで、魚の鰭(Fin)=翼の造語として考案された。
【※「MALDI-TOP/SM」「LC-IT/MS」について】
MALDI:マトリックス支援レーザー脱離イオン化法
LC:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
TOF-MS:飛行時間型(TOF)質量分析機(MS)
IT/MS:イオントラップ型(IT)質量分析機(MS)

ソフトウェアの概要

 「GlyfinTMS」は、質量分析機(主にLC-IT/MS)から得られた膨大な量の分析データから、独自のアルゴリズムにより、数分足らずで糖鎖由来の候補データを同定します。各候補データには、予測される糖鎖由来のピークには糖の種類がラベルされ、より直感的に研究者が糖鎖の存在を実感できるようになっています。さらに、多段階測定したデータを同時表示したり、任意に選択したピーク間の差分を自動計算し、該当する糖を表示したりと、糖鎖構造を詳細に調べるために必要な作業をより簡単にできるように設計されています。(図1、2)

従来の解析手順とGlyfinTMSの比較
図1 従来の解析手順と「GlyfinTMS」の比較


「GlyfinTMS」の解析画面例
図2 「GlyfinTMS」の解析画面例

販売

『本ソフトウェアは、IT化支援ラボ株式会社に独占的利用権を許諾しています。』

  IT化支援ラボ株式会社
  GlyfinTMS紹介ページ:http://itsl.jp/glyfintms/
  お問合せ:info@itsl.jp