[2010年]
我々シュガープログラムは東京大学の橋本和仁教授のグループと共同で深海底熱水噴出孔から採取したチムニーの電気化学的な解析を行った。これにより、ブッラクスモーカーによって形成された硫化鉱物チムニーは高い電気伝導性を持つことが明らかとなった。さらに自然環境ではチムニーの内外で電池のような化学反応が起きチムニーの壁を電気が流れることも明らかにした。これらの結果は、地球の内部エネルギーが海底に放出される際に電気エネルギーに変換されることを世界で最初に実験的に証明したものであり、極めて画期的な研究成果である。この「熱水チムニー電池」とも言うべき現象は深海熱水活動域の生命活動や物質循環、更には生命の起源を説明する新たなメカニズムとして注目される。
(左図)今回実験で使用したブラックスモーカーチムニーの塊の写真
(右上図)チムニー内壁面の拡大写真(走査型電子顕微鏡)
(右下図)チムニー横断電流の概念図