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超先鋭研究開発プログラム

トピックス

[2025年6月2日]

【米国ビゲロー海洋研究所より発表】デジタルタイプ標本を確立させるプロジェクトが笹川平和財団「Ocean Shotイニシアティブ」の助成金を獲得

2025年4月--ビゲロー海洋研究所が主導するX-star研究員を含む国際的な研究チームが、笹川平和財団の「Ocean Shotイニシアティブ」より総額220万ドル(約3年間)の研究助成を受け、深海に生息する未知の生物を発見・解析するための革新的技術の開発を進めます。本プロジェクトでは、水中ロボティクス、最先端イメージング技術、遺伝子解析を組み合わせたアプローチにより、これまでアクセス困難だった中層海域における生物多様性の解明を目指します。研究チームには、ビゲロー海洋研究所のほか、ハーバード大学、ロードアイランド大学、バルーク大学、モントレー湾水族館研究所、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が参加しています。JAMSTECではX-starのリンズィー主任研究員及びサンゲカー臨時研究補助員、そしてRIGCの高橋朋子研究員が分担します。

代表研究者のジョン・バーンズ博士は「この支援により、従来の手法では不可能だった深海生物の"発見・分類・保存"を新たな方法で実現できます」と述べています。プロジェクトでは、折り紙構造に着想を得た捕獲用ロボット装置を進化させ、マンティスシュリンプの構造を応用した非破壊の生体サンプリング機能を搭載予定。さらに、AIを活用した画像解析技術や、影によって内部構造を可視化する新型シャドウグラフシステムの開発も行います。今後は、南大西洋や南極海など、ほとんど調査されていない中層海域での調査航海を実施し、新種の発見とデジタル記録の収集を進めていきます。

この取り組みは、オーストラリア・日本(東北大学)・米国の他の研究者チームとも連携し、未知の海洋生物に関する多角的な研究を推進します。笹川平和財団の「Ocean Shotイニシアティブ」は、海洋探査と技術革新に挑む非営利組織を支援する国際的なプログラムであり、本プロジェクトはその理念を象徴する取り組みです。詳しくはこちら


浅海用シャドウグラフシステムで撮影されたカブトクラゲ