地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

CDEX
Face:五感を駆使して機器に向き合う

人類初のマントル到達を目指して研究を続ける探査船「ちきゅう」。その心臓部ともいうべき場所が合計8基ディーゼル発電機を備えた機関室だ。ここで作られる電力は推進や掘削に使用されるほか、船内照明や海水の浄水といった乗組員の生活用途にも使われる。堀江誠機関長に「ちきゅう」が安全に航行できる仕組みを伺った。
(2011年12月 掲載)

堀江 誠 取材協力
堀江 誠
「ちきゅう」機関長
日本マントル・クエスト株式会社

探査船という特別な使命をもつ船として

 探査船という特別な使命をもつ船として「ちきゅう」には船舶用中速ディーゼルエンジンが搭載され、ここから船内に必要なすべての電力が生み出される。通常の船はエンジンの動力をそのまま駆動力にするが、「ちきゅう」は発電して電力で掘削機器を動かし、船の推進力としている。
 「発電機のキャパシティとしては1000人規模の客船に匹敵します。『ちきゅう』の最大乗船人員は200人ですから、人数に比べたら、いかにこの船の目的が特殊なのかがおわかりいただけるかと思います」

 そう語る堀江誠機関長はこの仕事に就いて30年以上のベテランだが、長く豊富なキャリアのなかでも「ちきゅう」は特別な船だという。発電機の大きさもさることながら、「統合国際深海掘削計画(IODP)の主力船」という位置付けゆえに、安全性については比類ないレベルが要求されるのである。

エンジンのモニタリング室の様子。エンジンの運転状況をここのモニタリング室で監視できる。

 

休憩時間にチームのメンバーたちと談笑する様子。同じ船の中で、長期間ともに働き、信頼関係を築き、技術を伝えあっていく。