プレスリリース


2012年 2月 7日
独立行政法人海洋研究開発機構

平成23年度海洋研究開発機構研究報告会「JAMSTEC2012」
−新しい海洋立国への道−
の開催について

独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)は、平成23年度研究報告会「JAMSTEC2012」を下記のとおり開催いたします。

この研究報告会は、当機構の活動状況や成果概要などを一般の方々に紹介する目的で、毎年開催しています。

今回の研究報告会では、「新しい海洋立国への道」をテーマとして、第1部では、東日本大震災への対応として実施した緊急調査の結果や、今後の展望等を中心に、ご報告いたします。

第2部では、「新しい海洋科学技術の展開」をテーマとして、震災後の復興に関与する海洋資源や新エネルギー、新しい海洋生命科学等について、パネルディスカッションを行う他、会場ロビーにおいて、当機構の研究活動および今年の成果等に関するポスターセッションを実施します。

1. 日時 平成24年3月14日(水)13:00〜17:30(開場は12:30)
2. プログラム 別添リーフレット参照
3. 場所 東京国際フォーラム ホールB7(定員450名)
東京都千代田区丸の内3−5−1
4. 入場 自由(事前登録不要)
会場にて要旨集を配付
5. 講演者 別紙参照
6. 主催 独立行政法人海洋研究開発機構

別紙

【第1部】 平成23年度成果報告
●海と地球の理解をめざして −JAMSTECの2011年の歩み−

白山 義久(しらやま よしひさ)
海洋研究開発機構 理事

専門は海洋生物学。東京大学大学院理学系研究科動物学専攻博士課程修了。理学博士。日本学術振興会奨励研究員、東京大学海洋研究所助手、助教授を経て、京都大学理学部附属瀬戸臨海実験所教授。2007年から京都大学フィールド科学教育研究センター長。2011年より現職。研究部門を担当。小型底生生物(メイオベントス)の生態学、線形・動吻・胴甲動物の系統分類学、深海生物の保全生物学などの研究を主に進めてきた。近年は、海洋酸性化の生物影響などの研究も行っている。CoMLプロジェクトでは、科学推進委員会の委員を務めた。

●東日本大震災時の海底巨大変動や地震発生メカニズムについて

小平 秀一(こだいら しゅういち)
海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域 海洋プレート活動研究プログラム プログラムディレクター

専門は海洋底地球物理学、構造地震学。北海道大学、ベルゲン大学などを経て、現職。海底地球物理観測データに基づき、プレート沈み込み帯を含んだ大陸縁辺域や海洋プレートの活動と構造の研究に従事。最近は、地震発生帯活動、海洋性島弧形成、海洋地殻掘削などに関する様々な国際プロジェクトで日本発のユニークな研究成果を発信している。

●東日本大震災後の化学・生物環境や海洋生態系の変動について

高井 研 (たかい けん)
海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域 深海・地殻内生物圏研究プログラム プログラムディレクター

専門は地球生物学、宇宙生物学。ある意味、宇宙に行くことより難しいとされる深海。その深海に存在する生命が生息できないように感じられる暗黒の極限環境。そんな世界の極限環境を日本の誇る深海探査技術を駆使して冒険的調査を行い、そこに生息する生命達の世界の姿と生命駆動原理を明らかにしてきた。さらに、その単純な原理こそが、地球に生命が誕生し、生命に満ちあふれた惑星となった基本原理であることを現場環境の観察結果とともに例証した。それを地球外惑星や衛星においても証明したい。

●福島原発から放出された放射性物質の海洋拡散について

河野 健 (かわの たけし)
海洋研究開発機構 地球環境変動領域 海洋環境変動研究プログラム プログラムディレクター

専門は海洋学。博士(工学)。近年は船舶観測を通じて海洋環境の変動を明らかにする研究に従事。海洋底層の水温上昇と南極オーバーターンの変化を研究している。東京大学大学院新領域創成科学研究科客員教授。

●東日本大震災に伴う洋上漂流物のシミュレーション

石川 洋一(いしかわ よういち)
海洋研究開発機構 地球情報研究センター データ技術開発運用部 データ統融合・付加価値グループ グループリーダー

専門は海洋物理学。1999年京都大学大学理学研究科博士課程修了。博士(理学)。主な研究テーマは海洋大循環モデル、データ同化システムの開発を通じて海洋表層循環のシミュレーション、予測。近年は海洋物理だけでなく、大気海洋結合系、海洋生態系についてのシミュレーションも行っている。

●東日本大震災と地震学

深尾 良夫(ふかお よしお)
海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域 海洋プレート活動研究プログラム 海底ネットワークデータ解析チーム チームリーダー

専門は地震学。東京大学理学部地球物理学科博士過程を卒業し、名古屋大学理学部助手・助教授・教授、東京大学地震研究所教授を経て、2004年海洋研究開発機構地球内部変動研究センター長。現在、同機構地球内部ダイナミクス領域上席研究員。その間、日本地震学会長(1991-1995)、東京大学地震研究所長(1993-1997)など。1995年恩賜賞・日本学士院賞受賞。東京大学名誉教授、アメリカ地球物理学連合フェロー、日本学士院会員。主な著書に「地震・プレート・陸と海」(岩波ジュニア新書)などがある。

【第2部】 新しい海洋科学技術の展開
●海洋科学技術の目指すところ −熱水環境を例として−」

平 朝彦 (たいら あさひこ)
海洋研究開発機構 理事

専門は海洋地質学、地球進化論。テキサス大学大学院博士課程修了。高知大学、東京大学海洋研究所を経て、2002年から海洋研究開発機構地球深部探査センター長、2006年より理事を務める。現在、開発推進部門を担当。プレート沈み込み帯における付加作用の研究で、2007年に日本学士院賞受賞。東京大学名誉教授。深海掘削に長く参画しており、IODPと「ちきゅう」の総合的推進に中心的な役割を果たしている。

●パネルディスカッション
<パネリスト>
□田近 英一(たぢか えいいち)

東京大学 大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 教授

東京大学大学院理学系研究科地球物理学博士課程修了。東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻准教授、文部科学省学術調査官(併任)などを経て現職。日本地球惑星科学連合理事、日本惑星科学会副会長などを務める。物質循環による地球環境進化に関する理論的研究により第29回山崎賞、日本気象学会堀内賞を受賞。地球や惑星の長期的な環境進化から海洋生物化学循環を通じた地球環境の短期的変動まで幅広い関心を持つ。主な著書に「凍った地球」(新潮社)、「地球環境46億年の大変動史」(化学同人)などがある。

□山田 吉彦(やまだ よしひこ)

東海大学 海洋学部 教授

海洋政策研究財団客員研究員。海洋問題研究家。埼玉大学大学院経済科学研究科博士課程修了。東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)勤務、日本財団(日本船舶振興会)勤務を経て、2008年東海大学准教授に就任、2009年より現職。主な著書に「海の政治経済学」(成山堂書店)、「日本は世界4位の海洋大国」(講談社+α新書)、「海洋資源大国 日本は「海」から再生できる」(海竜社)などがある。

□吉田 弘 (よしだ ひろし)

海洋研究開発機構 海洋工学センター 海洋技術開発部 探査機技術グループ グループリーダー

専門は電磁物理学。1985年都立工業高等専門学校卒。無線機システムメーカ勤務後退職し、1994年、金沢大学大学院へ進学。1999年博士号(理学)取得。2002年に海洋科学技術センター(現・海洋研究開発機構)入所。入所後は無人探査機の研究開発に携わる。これまでに6機の無人探査機を世に送り出した。現在は資源探査のための自律型無人探査機の開発プロジェクトを担当。ライフワークとして深海環境での電磁物理についても研究を進めている。

□小守 信正(こもり のぶまさ)

海洋研究開発機構 地球シミュレータセンター シミュレーション応用研究開発プログラム 観測システム設計手法開発研究チーム チームリーダー

専門は海洋物理学・計算気候学。2002年京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻博士後期課程修了。同年4月、海洋科学技術センター(現・海洋研究開発機構)入所、地球シミュレータセンターにて大気海洋結合モデルの開発・改良および大規模シミュレーション研究に従事。2011年4月より主任研究員、6月より現職。現在はシミュレーションを応用した観測システム研究およびアンサンブルデータ同化手法開発の陣頭指揮を執る。

□江口 暢久(えぐち のぶひさ)

海洋研究開発機構 地球深部探査センター 運用室 IODP推進グループ グループリーダー

東京大学理学系研究科博士課程修了。2001年に海洋研究開発機構に設置されたiSAS Officeにて深海掘削計画(ODP)から統合国際深海掘削計画(IODP)への移行期からサイエンスコーディネーターとして計画に関わる。その後2004年よりIODP中央管理組織に所属し、サイエンスコーディネーターとして、IODP科学諮問組織の管理運営を行う。2007年に海洋研究開発機構地球深部探査センターに移籍し、ちきゅう船上研究区画およびIODP航海を管理・運営担当する。2010年4月より現職、地球深部探査センター国際関係担当および研究区画管理・運営、IODP航海のマネージメントを行う。複数のIODP航海でExpedition Project Managerを担当。


リーフレット[PDF:1.1MB]

お問い合わせ先:

独立行政法人海洋研究開発機構
(本研究報告会について)
事業推進部 推進課長 中村 亘 電話:046-867-9230
(報道について)
経営企画室 報道室  奥津 光 電話:046-867-9198