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海の底は何でできている? 海洋地殻にかかる圧力を支える縁の下の力持ち「ガブロ」

さまざまな鉱物を含んだ、強くて美しい岩石

この岩石は、深海から持ち帰ったガブロです。

図3:深海底から採取した「ガブロ」(はんれい岩)。(写真/JAMSTEC)

よく見ると、白い点のようなものがたくさんあるのがわかります。これは「斜長石」という鉱物で、ピクライトやマントルの岩石にはほとんど見られないものです。

ガブロは、結晶化した物質を多く含む岩石で、「輝石」や「かんらん石」も包み込んでいます。この二つの鉱物は無色ですが、ガブロを薄くスライスして偏光顕微鏡で見ると、鮮やかな干渉色を楽しむことができます。偏光顕微鏡の中の世界はとてもカラフルで魅力的です。

ガブロが、海洋地殻を下から支えている!

ガブロは、マグマが地中で停滞する「マグマだまり」と呼ばれる場所でつくられます。そこでは、鉱物となる成分が沈んで集積されやすく、それがガブロに含まれるのです。

地中でつくられるため表に出ることのないガブロですが、実はとても美しい鉱物をたくさん秘めている岩石なのです。

また、ガブロは海の底(海洋地殻)の下部を構成している岩石でもあります。海の水と地殻上部の枕状溶岩などの岩石の重みに耐えながら、地球の表層と海を支えてくれるとても大切な存在です。ハンマーで岩石を割ったことがある人ならわかると思いますが、ガブロはとても硬くて、割れ目が入りにくく、大きいハンマーを使っても、うまく割るのが大変です。

ガブロから、海洋地殻の謎の解明に!

もう少し詳しく説明すると、海底を開くように新しいプレートを作りだしている中央海嶺では、マントルの溶けたマグマが上がってきます。そのマグマの一部は枕状溶岩(玄武岩)となって海中に流れ出し、岩脈と一緒に地殻の上部を構成します。残りのマグマは表出されませんが、地中でいくつもの鉱物が集積した岩石となって地殻の下部になります。これがガブロと呼ばれるのです。

図4:JAMSTEC 2022年9月21日プレス発表資料を改変。このプレス発表では、地殻とマントルの境界について新しい説を出している。(図/JAMSTEC)

この図は、現在定説となっている「ペンローズモデル」とよばれる、中央海嶺の高速拡大境界のモデルを絵にしたもので、海底の下部を説明しています。「はんれい岩」と書いてあるところがガブロです。

海洋地殻やマントルのことを知りたければ、上部の枕状溶岩だけでなく、下部のガブロの両方を調べることが重要です。ただ、ガブロは海洋地殻の下部にあるので、通常は海の中に出てきません。

参考

海洋地殻とマントルの境界でガブロ(はんれい岩)が混入する場合があるかもしれないという新しい考え方を、JAMSTECの研究者が示しました。

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