概要

社会に大きな影響を及ぼす異常気象や極端現象の母胎となるのが、より時空的に大きな海盆スケールの気候変動現象である。そこで気候変動現象で最も卓越する熱帯太平洋のエルニーニョ/南方振動現象や研究代表者(山形俊男)らが発見したインド洋のダイポールモード現象(Saji et al 1999, Nature)については、世界各国で活発な予測実験がなされている。ところが、近年、地球温暖化の影響を強く受けて、気候変動現象そのものが変質し、新たな気候変動現象が頻発し始めた。熱帯太平洋では研究代表者が命名したエルニーニョモドキやラニーニャモドキなる現象が頻発している(Ashok and Yamagata 2009, Nature)。世界各地への影響もこれまでの現象とは著しく異なる。加えて、研究代表者らは、最近、中緯度の大陸西岸に沿岸ニーニョ/ニーニャなる地域気候変動現象が発生することを見出した。 例えば、2011年2月、豪州西岸域の海水温は過去に先例の無いほど異常に暖まり、周辺の珊瑚礁・漁業・農業に甚大な被害を与えた。この現象はニンガルーニーニョと名づけられ、我々のグループではその発生予測可能性を検証しつつある。(Doi et al. 2013, Scientific Reports)

本研究では、これら最近頻発している新しい気候変動現象の発生メカニズムやその周辺国の気候への影響を解明し、SINTEX-F1季節予測システムや新たな予測システムを用いて、その予測精度を向上させる。更にその予測情報をアジア・オセアニア域に対して詳細化(力学的ダウンスケーリング手法を用いて)し、農業等の実社会活動に応用する気候サービスのプロトタイプを確立させる。




INFORMATION

2016-04-15
Ratnam主任研究員らが執筆したインドの熱波に関する論文「Anatomy of Indian heatwaves」がScientific Reports誌に掲載されました。[LINK]。
2016-01-07
"ダカール・ニーニョ/ニーニャ現象を世界で初めて発見"についてプレスリリースしました[LI NK]。
2015-12-03
"オーストラリアの冬小麦収量を左右するのはインド洋のダイポールモード現象"についてトピックスを掲載しました[LINK]。
2015-12-02
第二回アドバイザリーボード会合を開催しました。
2015-10-09
"沿岸ニーニョ現象が切り開く季節予測の新展開"についてコラムを掲載しました[LINK]。
2015-7-22
中間評価ヒヤリングがありました
2015-5-9
シンポジウム"季節を読む-予測科学の最前線-"を開催しました。[LINK]。
2015-4-21
シンポジウム"季節を読む-予測科学の最前線-"についてのHPを掲載しました[LINK]。
2015-2-13
"ニンガルーニーニョ研究の最先端"についてコラムを掲載しました[LINK]。
2014-12-01
第一回アドバイザリーボード会合を開催しました。


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