これまで南太平洋からのみ報告されている肉食性ホヤFimbrora calsubia(新称和名ヨリフサボヤ)を沖合海底自然環境保全地域の宝永海山水深2027mにおいて「しんかい6500」を用いた生物相調査によって発見しました.先行研究ではFimbrora属は鰓内の乳頭状突起や神経腺開口部の形質状態が不明でしたが,本調査で得た標本によってこれらの形質について記載することができました.また,本研究でFimbrora属の系統的位置が初めて推定されたことにより,ホヤ綱において肉食性が独立に3回獲得されたことが明らかになりました.今回の成果は北海道大学と共同で実施した研究によるものです.なお本研究は環境省委託事業「令和4年度沖合海底自然環境保全地域調査等業務」の一環として実施しました.