深海生物多様性と環境変動による影響について研究し、
海洋資源の持続可能な利用と海洋生物多様性の保全を推進する

 深海生物多様性研究グループでは、魚類を始めとした高等動物から原生生物や真菌類といった真核微生物に至る深海生物の多様性を理解し、環境変動により深海生態系が受ける影響を、研究船を用いた現場観測や環境DNA解析などを通じて把握する事を目標としています。

 近年、気候変動や人間活動の増大に伴う生態系の変化が、地球規模で顕著に現れています。そしてその変化は今後さらに拡大すると懸念されています。海洋生態系では、海水温上昇や海洋酸性化による造礁サンゴの消失、乱獲による水産資源の減少などが特に深刻な問題となっており、保全対策を目的とした生物多様性のモニタリングや環境変動が生態系へ及ぼす影響評価などが行われています。しかしながら、地球上最大の生命圏の一つである深海においては、環境変動に伴う生態系への影響に関する理解がほとんど進んでいません。

 深海は多くの水産そして鉱物資源を有し、化学合成生態系や希少種などが存在するユニークな環境でもあります。また、創薬につながる遺伝的資源の供給源としても期待されています。私たちは、深海生物多様性と環境変動による影響について研究し、深海も含めた限りある海洋資源の持続可能な利用と海洋生物多様性の保全を推進します。

activities

2025/01/22
深海生物生態図鑑(あかね書房)
2024/11/25
西太平洋から採集したクマノアシツキ科多毛類の新種記載
2024/11/25
伊豆小笠原弧・須美寿カルデラの底生動物相の報告〜動物分類群横断的調査の重要性〜
2024/11/11
西七島海嶺の海山より採集したカイメン類に生息するアナエビ科2種の新種記載
2024/10/23
北西太平洋の海山で発見された巨大で長寿命なツノサンゴ類コロニー
2024/09/20
オーシャンショット南大東島沖から新種のゴカイを発見〜笹川平和財団オーシャンショット助成事業の成果〜
2024/08/27
島根県隠岐島周辺から新種の動吻動物を発見
2024/08/27
深海5,707 mに生息する深海キノコの新種を発見
2024/08/27
イベントカメラ(EVS)を用いたプランクトン遊泳行動の定量評価
2024/07/31
ハツシマシアワセウズムシの発見〜湧水域から無腸動物亜門を初報告〜
2024/06/19
40年間謎に包まれていたゴカイの正体〜砂浜直下2 mに棲むスナイトゴカイ属の新種発見〜
2024/06/04
ディノフィシス目渦鞭毛藻の共生シアノバクテリアゲノムの収斂縮退進化
2024/06/01
ピンク色のたまごは誰のもの?〜深海に眠る寄生性扁形動物フェカンピア〜
2024/05/06
ホッキガイに共生するヒモビルの発生過程解明
2024/04/16
伊勢湾南部潮下帯の底生動物相
2024/04/05
奄美リフトで熱水域を発見〜底生動物相の報告〜
2024/03/04
汽水性ヒモムシの海洋分散を発生実験によって示唆
2024/03/04
真核生物のrRNA遺伝子コピー数の網羅的計測方法を確立 〜多様性と存在量を同時に把握する環境DNA解析の確立に向けて〜
2024/01/26
沖合海底自然環境保全地域から北太平洋初報告となる肉食性ホヤを発見
2024/01/11
深海由来真菌より強力な抗真菌活性を示す新規化合物を発見
2023/08/23
栄養を供給してくれる微生物を自分の細胞内に維持できるメカニズムを解明 〜深海に住む貝が何も食べずになぜ生きていける?~
2023/01/17
海洋深層水を用いた魚類の多様性モニタリングのための環境DNA解析方法を確立
2022/10/28
海生菌類の分類における今後の生態学的・海洋学的展望
2022/08/18
シマイシロウリガイの細胞内共生菌の硫黄酸化酵素SoxXの特性を解析
2022/07/01
ヨコヅナイワシが2000m以深に棲息する世界最大の深海性硬骨魚類であることを明らかに
2022/05/12
シンカイテナガエビ属の希少種Bathypalaemonella pandaloidesを沖合海洋保護区より発見(国内初記録)
2022/05/09
長野由梨子がJAMSTEC HPのコンテンツ「JAMSTEC EYE」の記事に協力