本研究では,相模湾初島沖の湧出域から発見した無腸動物Hoftherma hatsushimaensis gen. et sp. nov.(ハツシマシアワセウズムシ)を新属新種として記載しました.無腸動物亜門は浅海域からの報告がほとんどであり,熱水・湧水域から見つかった初めての例となります.複数の遺伝子に基づいた分子系統解析の結果,珍無腸動物門における化学合成生態系への進出は少なくとも2回独立に生じていること,浅海における還元的な泥環境への適応が湧水域への前適応として機能している可能性が示唆されました.