1章:Fortran90プログラミング概要
1.2 ハードウェア・ソフトウェア構成
1.2.1 ハードウェアの構成
コンピュータのハードウェアは以下の装置群から構成されている。
■CPU(中央処理装置)
システム全体の制御、算術演算や論理演算の実行、命令やデータの記憶・取り出しを行う装置である。CPU には、算術演算やデータの大小比較、正負の判定などを行う演算装置と命令や実行を制御する制御装置がある。
■主記憶装置・外部記憶装置
主記憶装置は CPU との間でやりとりされる命令やデータを一時的に記憶しておく装置である。
主記憶装置は複数のコンポーネントから構成され、そのコンポーネントの1つは実行中のプログラムの命令とデータを記憶するために使われる。2つ目のコンポーネントは、レジスタと呼ばれる高速記憶領域である。主記憶装置に利用される記憶装置の RAM の何千倍も高速にデータへアクセスできる。
主記憶装置に記憶された情報は、コンピュータの電源を切ると失われてしまう。そのため、失うことのできない重要な情報は外部記憶装置に記憶しておく。
外部記憶装置には、コンピュータのハードディスクやフロッピーディスク、CD-ROM、フラッシュメモリなどがある。
■入力装置
命令やデータなどを入力する装置である。人間が理解できる形からコンピュータ内部で処理できる形へ情報を変換する。入力装置には、キーボードやマウスがある。
■出力装置
実行結果などを出力する装置である。入力装置とは逆に、コンピュータ内で処理できる形から人間が理解できる形へ情報を変換する。出力装置には、ディスプレイやプリンターなどがある。
1.2.2 ソフトウェアの構成
コンピュータのソフトウェアは以下のように分類できる。
■基本ソフトウェア
コンピュータを効率良く使用できるようにするための基本となるソフトウェア。
基本ソフトウェアは、制御プログラム、言語処理プログラム、ユーティリティプログラムから構成される。
■制御プログラム
プログラムの実行や入出力を制御したり、データや通信の管理をしたりするプログラム。オペレーティングシステム(OS:Operating System)がこれにあたる。
■言語処理プログラム
プログラム言語で書かれたプログラムをコンピュータが理解できる機械語に翻訳するプログラム。
プログラムをコンピュータ上で実行させるには、そのコンピュータが理解できる機械語でプログラムが記述されている必要がある。そのため、コンピュータごとに機械語が異なり、数字のみのプログラムなので人間には理解しにくいものであった。
やがて、プログラムを略号や記号で表現できる「アセンブリ言語」が考え出された。しかし、これも機種ごとに依存するプログラム言語であったため、人間にも理解しやすく機種にも依存しない言語、「コンパイラ言語」が考え出された。
ただし、アセンブリ言語もコンパイラ言語もコンピュータではそのまま実行できないため、言語処理プログラムを使って機械語へ翻訳する必要がある。
アセンブリ言語から機械語へ翻訳を行うことを「アセンブル」、コンパイラ言語から機械語へ翻訳を行うことを「コンパイル」という。
Fortran はコンパイラ言語の1つである。
プログラミング言語で書かれたプログラムを「ソースプログラム」、機械語に翻訳されたプログラムを「オブジェクトプログラム」という。
■ユーティリティプログラム
利用者のプログラム作成を支援するためのプログラム。
ユーティリティプログラムには、プログラムの入力や修正を行うために使用するエディタや作成したプログラムのテストに使用するデバッガなどがある。