海洋調査船「なつしま」
海洋調査船「なつしま」は2016年2月に退役となりました。
「なつしま」は、1981年に「しんかい2000」の支援母船として建造、運用されました。2002年の「しんかい2000」運用休止以後は3,000m級無人探査機「ハイパードルフィン」の母船として改造され活躍しています。
他にも深海底表層・地層地形や地質構造を解明する深海調査曳航システム「ディープ・トウ」や「シングルチャンネル音波探査装置」、またはピストンコア、ドレッジを搭載し、深海・海溝域の総合的な調査観測研究を行うことができます。
ミッション
- 3000m級無人探査機「ハイパードルフィン」の潜航支援
- 深海調査曳航システム「ディープ・トウ」の潜航支援
- 海底地形調査
- 海底下深部の構造探査
- 海底堆積物の採取
- 海洋観測の単独調査、地震計、係留系等の設置・回収
特徴
- 後部操舵室
- 船の後部で「ハイパードルフィン」の投入や揚収をするため、作業を見ながら船を操作できるように後部にも操舵室があります。
- コントロールルーム
- コントロールルームはコンテナとなっており、コンテナごと船上に搭載されています。中には大型画面のプラズマディスプレイが6台あり、「ハイパードルフィン」から送られたハイビジョン映像をあたかもその場にいるかのように臨場感たっぷりに映し出します。

後部操舵室
主要目
全長 |
67.3m |
幅 |
13.0m |
深さ |
6.3m |
喫水 |
5.0m(ソナードーム含) |
国際総トン数 |
1,739トン |
航海速力 |
約11ノット |
航続距離 |
約10,800マイル |
定員 |
55名(乗組員37名/研究者等18名) |
主推進機関 |
ディーゼル機関 625kw×2基 |
主推進方式 |
可変ピッチプロペラ×2軸 |
研究者のための設備
「なつしま」には、総合指令室、ラボラトリー、ビデオラックがあり、「ハイパードルフィン」及び母船の観測装置で計測したデータの解析、採取したサンプルの分析、保管のために使用することができます。
また、これら常設の設備のほか、研究者が必要な機器を持ち込み、設置することができます。
主な経歴
2016年2月 |
退役 |
2008年2,3月 |
護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」衝突事故海域調査を実施 |
2007年3月 |
深海生物追跡調査ロボットシステム「PICASSO(ピカソ)」初の海域試験に成功 |
2006年5月 |
マリアナ海域の海底において大規模な海底火山の噴火を確認~静穏な海の下で猛る激しい海底噴火~ |
2006年2月 |
相模湾で新種の生物の採集に成功~相模湾鯨骨生物群集の調査結果について~ |
2005年2月 |
スマトラ島沖地震緊急調査を実施 |
2004年5月 |
“支援母船”から“海洋調査船”に改名 |
2004年3月 |
「しんかい2000」運用停止(退役) |
2002年11月 |
「しんかい2000」運用休止 |
2002年1月 |
「ドルフィン-3K」関連機材撤去および「ハイパードルフィン」搭載工事実施 |
1999年12月 |
「H―IIロケット8号機」の第1段ロケットの3次調査を実施 |
1999年2月 |
「しんかい2000」により伊豆・小笠原弧で大規模な多金属硫化物鉱床を発見 |
1999年 |
AMVERに関する表彰を受ける |
1997年12月 |
「ドルフィン-3K」にて学童疎開船「対馬丸」船体を確認 |
1997年1,2月 |
「ナホトカ号」沈没地点における調査にて「ディープ・トウ」「ドルフィン-3K」により船体を確認 |
1995年6月 |
海上自衛隊ヘリコプター墜落事故 機体及び乗員の発見 |
1992年7月 |
小笠原海域にて火災漁船から乗組員を救助 |
1987年1月 |
赤道太平洋にてエルニーニョの観測を実施 |
1985年2月 |
宮崎沖にて漁業障害物を調査 |
1984年5月 |
焼津沖にて沈船とコンクリート魚礁を調査 |
1983年10月 |
日本海青森沖にて日本海中部地震震源域調査を「ディープ・トウ」により実施し、震源域の海底地割れや噴出物、変色を発見 |
1981年 |
竣工 |