プレスリリース


2012年 9月 27日
独立行政法人海洋研究開発機構

地球深部探査船「ちきゅう」による
統合国際深海掘削計画(IODP)第337次研究航海
「下北八戸沖石炭層生命圏掘削」について

独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦)は、地球深部探査船「ちきゅう」による統合国際深海掘削計画(※1 IODP) の一環として、第337次研究航海「下北八戸沖石炭層生命圏掘削」を平成24年7月26日より実施しておりましたが、9月23日に調査海域での作業を終了し、9月26日に清水港に入港しましたので、お知らせします。

1.調査概要

メタンハイドレートや天然ガス等の大陸沿岸の海底下の炭素循環システムの理解は、我が国のエネルギー資源問題と直結した問題であるばかりでなく、過去の地球環境における温暖化イベントや生態系の変化を理解し、将来持続的な低炭素社会を構築する上でも重要な科学的課題となっています。

本研究航海は、海底下の炭素循環システムとそれに重要な役割を果たしていると考えられている地下深部の生命活動を解明することを目的とし、八戸沖の海域(図1参照)において、海底下1,276.5m〜2,466mの区間で、コア試料(図2参照)を採取するとともに、地層の物性データの取得を行いました。

今後、海底下深部の石炭層を起源とするメタンハイドレートや天然ガス等の形成に寄与する地下微生物活動の評価、および遺伝子情報の解析や培養観察による微生物代謝機能および進化プロセス等について、地球科学や生命科学を融合した最先端研究を展開します。

なお、本航海に関する具体的な研究成果については、論文等としてまとまった段階で公表します。

2.今後の「ちきゅう」の運航予定
・10月3日 清水港出港
・10月3日〜平成25年1月13日 IODP第338次研究航海「南海トラフ地震発生帯掘削計画」の実施(平成24年9月25日既報

※1統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)

日・米が主導国となり、平成15年(2003年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧州、中国、韓国、豪州、インド、ニュージーランド、ブラジルの26ヶ国が参加。日本が建造・運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船ジョイデス・レゾリューション号を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行う。

図1 調査海域

八戸市の沖合80kmの海域(北緯41度11分、東経142度12分、水深1,180m)

図2.海底下から採取されたコア試料(※コア画像は採取区間からの一部)

お問い合わせ先:

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(本内容について)
地球深部探査センター
企画調整室長 山田 康夫 TEL:045-778-5640
(報道担当)
経営企画部 報道室長 菊地 一成 TEL:046-867-9198