国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和裕幸、以下「JAMSTEC」)は、令和6年能登半島地震を踏まえ、令和6年8月30日より調査航海を行う予定ですのでお知らせいたします。本調査航海は傭船により実施いたします。
本調査航海は、令和6年1月及び2月において二度にわたり実施した「白鳳丸」緊急調査航海により設置・回収した海底地震計※1 の暫定的な解析結果(参考(4))から、能登半島北東沖で本震とは異なるメカニズムの地震が発生していることが明らかになったこと等を踏まえ、令和6年6月に実施した第四次調査航海に引き続き実施するものです。
本調査航海では、第四次調査航海において設置した海底地震計等を用いて震源域の海底下構造探査※2 を実施します。海底地震計を回収後、得られたデータを詳細に分析し、今回の地震を起こした断層の実態や地震・津波の発生メカニズムを明らかにすることを目指します。
調査結果は、地震調査研究推進本部地震調査委員会等に随時報告するとともに機構ホームページ等において公表予定です。
本調査航海は、令和6年4月23日に閣議決定された令和6年度一般会計予備費により実施いたします。
記
海底地震計(OBS: Ocean Bottom Seismograph)
船舶により海底に設置し、耐圧容器に内蔵したセンサーにより数か月から1年程度地震波を観測し、レコーダーによりデータを蓄えることができる。音響通信により錘を切り離し、自己浮上したところを船舶により回収する。
海底下構造探査
本調査航海では屈折法地震探査及び反射法地震探査を行う。屈折法地震探査は、船舶から曳航したエアガンにより海中で弾性波を発震し、海底下の地殻内を伝播した屈折波を海底地震計で捉える手法であり、解析によって弾性波の速度を求めて、海底下を構成している物質を知る手がかりを得る。反射法地震探査は、屈折法地震探査と同様に船舶から曳航したエアガンにより発震した弾性波が堆積層や地殻内で反射して、再び海中へ戻ってきた反射波を船舶から曳航している受振器(ハイドロフォン)を内蔵したストリーマーケーブルで捉える手法であり、解析によって海底下の堆積層や地殻内の反射面をイメージングし、それらの形状や断層の分布などを得る。これらの調査手法によって得られたデータを詳細に解析することにより、地震断層に関連した構造の把握を目指す。