航海に後悔なし

2013/03/26

宮崎 淳一(海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域)

今日も引き続き下船地であるポートルイスに向かって航走しています。

本日の夕方、船側が盛大な立食パーティを催して下さいました。
ありがとうございました。
おいしかったし、楽しかったです。
そして、2ヶ月もの長い間ありがとうございました(まだ2日ありますが・・・)。

自分は2月に行われたYK13-02航海のみの乗船予定で、本来この場にいる予定はありませんでした。

しかしながら、YK13-02航海では悪海況で聖地「かいれいフィールド」に近寄ることすらできず・・・当初の目的を達成することができず無念。
なんとしてでも「かいれいフィールドのサンプルをっ!」という思いから、急遽このYK13-03航海にも怒濤の連闘をすることとなりました(ご協力して下さった方、感謝です)。

「延長乗船したのに、残念だったね〜」
とは言われますが、はっきりとこれだけは言えます。
「後悔は無し」

乗船しないと「かいれいフィールド」に行くチャンスも、そこでサンプルを採取するチャンスも、すべて無しです。
たったかいれいフィールドでの潜航調査は1回だけの実施となってしまいましたが、行けた(しかも自ら潜れた)ということは、サンプルを確保し、今後の研究を展開する上で価値のあるものでした。

それで、成果は?となるのですが、「黒スケーリーフットを採取できたこと」をその1つとして挙げます。
今回船上で"飼育実験"や"現場実験"を行うことによって「硫化鉄のコーティングはどのように形成されるのか?」の検証を行いましたが、採取した黒スケは陸上で引き続きその検証を行うと同時に、
「うろこは何からつくっているんだ?、実は硫化鉄がくっつきやすいんじゃね?」
「おまえの祖先は、その特徴的なうろこをどうやって獲得したんだ?」
「そもそも現場でなにして生計をたてとるんじゃい?」
「おまえをつくり出す設計図、おしえろや」
などの検証、取り調べを行う予定です。
ただし、黒スケは残念ながらしゃべることはできませんので、DNAやRNA、タンパク質といった分子レベルから情報を引き出し、証拠を取り出すことによって行う予定であります。
結果にご期待下さい。
よろしくお願いします。
(そして、新たな疑問を抱えてふたたびここへが野望です)


写真1:中村首席の音頭ではじまった船上立食パーティ


写真2:今日の黒スケさま
「リラックスしていいかんじです」