潜航5日目

2013/04/27

舩窪 舞(海洋研究開発機構 広報課)

今日の潜航はサンパウロ海嶺の東側海山を麓から中腹まで登ります。
潜航者は地質調査所リオグランデドノルデ州都ナタール支所のエウジェニオさん。自身は岩石のプロフェッショナルですが、首席の北里さんが説き続けたOne for all, All for oneの精神が浸透し、堆積物や生物など様々なサンプルを採取してきました。


写真1:エウジェニオさんと番組取材に協力して頭にカメラを装着している副操縦士の石川さん。「しんかい6500」内部で撮影。


写真2:本日も目的に応じた様々なサンプルの採取に成功しました。
「しんかい6500」が船上へ上がってくると、甲板が賑わいます。乗組員や「しんかい6500」運航チームは揚収作業、研究者はサンプル回収に走り、潜航者は降りてきて興奮気味に状況報告をしています。

どのようにサンプリングしているのでしょうか?
研究者がサンプルを採取するために「しんかい6500」に積み込むペイロードといわれる道具類をいくつか紹介しましょう。


写真3:「柱状採泥」いろいろな種類の採泥器がありますが、これは番号の書かれた柄の部分を「しんかい6500」の手(マニュピレーター)でつかんで海底に突き刺すと上の弁から海水が排出され、堆積物がサンプリングできるタイプ。取ってきた柱状サンプルはコアと呼ばれます。


写真4:今回は9本持っていきました。潜航前に筒の中に水を入れて空気を抜いておかないと、潜航中に水圧でつぶれてしまうそうです。


写真5:このような柱状のサンプルが取れます。
首席の北里さんが長年の経験から開発した、コア切り台。
研究者曰く、お好み焼き返しで切断する、世界一エレガントな切り分け方とのこと。


写真6:「ニスキン採水器」任意の水深で採水するための道具。海水を採取したい場所に着いたら、マニュピレーターで緑やピンクの輪になった引き金を引っ張り、蓋を固定している結束バンドを引きちぎると筒両端の蓋が閉まる仕掛け。


写真7:スコップ
海底の堆積物を掬いとる際に使用します。
海中で浮くスーパーボールは紐を持ちやすくして、スプーンの取手をつかみやすくする工夫。

まだまだあるのですが、紹介しきれませんので、また次の機会に。