地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

CDEX
For the Future:東センター長インタビュー 「ちきゅう」の将来を考えるときがきた

2012年、春から秋にかけて「ちきゅう」は忙しく活動している。この半年で、いったい何を得たのか。そして「ちきゅう」はこれからどこへ向かうのだろうか。
(2012年10月 掲載)

取材協力
東 垣
地球深部探査
センター(CDEX)
センター長

「東北地方太平洋沖地震調査掘削」を次に生かす

東センター長

 「ちきゅう」は、2012年の4月から5月にかけて「東北地方太平洋沖地震調査掘削(JFAST)」を行いました。JFASTは東北地方太平洋沖地震の震源域における掘削同時検層、断層試料の採取、断層帯への温度計の設置を目的としていました。当初予定していた航海期間中では、天候が優れず、機器の不調もあり、予定していた目的をすべて果たすことはできませんでした。しかし、急遽7月に追加実施を決め、最終的には断層帯への温度計の設置という目的を果たすことができました。地震の発生から、駆け抜けるような勢いで進めてきた計画でした。この計画を成功させるため、多くのみなさまのご協力をいただきました。
 この経験は、2012年10月からはじまる南海トラフ地震発生帯掘削計画(南海掘削)にも活かされます。
 本年度の南海掘削では、水深約2,000mの海底を深さ3,600mまで掘削し、試料採集などを行う予定です。そう遠くない将来に発生すると予想されている東海・東南海・南海地震については現在さまざまなシミュレーションモデルが発表されています。そうしたシミュレーションモデルをより正確にするためには地震発生帯の地層サンプルが不可欠です。「ちきゅう」がねらう試料はそうしたサンプルとなることが期待されています。また、東北沖で得た試料と南海掘削で得られる試料を比較研究することで、多くのことがわかってくるでしょう。