「みらい」北極航海レポート

2008年9月11日(木) アラスカ夏時間

採水器とテフロン加工

採水器

テフロン加工というとフライパンで有名だと思う。フライパンの表面をテフロンで覆うことで、フライパンが焦げ付かないようにするものだ。料理後に洗いやすくもなる。じつはこのテフロンが「みらい」の研究観測でも利用されている。
採水観測では塩分や水温など色々なデータを取るが、鉄分の観測はとくに難しい。鉄は日常のさまざまな物に使われているので、使用前の採水器内にそれらの鉄が入り込んでしまうのだ。そんな採水器で海水を採っても、元の海水に含まれていた鉄の量はわからない。鉄の入り込んでいない採水器が必要なのだ。
テフロン ここで、テフロン加工が登場する。採水器の内側をテフロンで覆うのだ。テフロンは酸に強いので、酸で管内を洗浄して鉄を洗い流すことができる。酸を使って鉄や金属を洗い流すこと自体はポピュラーな方法だが、普通の採水器だと酸で傷んでしまうのだ。また、テフロンは汚れが付きにくいので、洗った後に再び鉄が付いたりしにくい。そうして鉄の入り込んでいない採水器を用意するのだ。そんな特別なものなので、通常の採水器と区別するために黄色のラベルが貼られている。
 鉄は植物プランクトンに必要なミネラルだ。植物プランクトンは光合成で二酸化炭素を吸収し栄養を作り出している。その鉄が北極海にどう分布しているのかを調べているのだ。


(「みらい」北極航海取材チーム 広報乗船者 米本)