あたし待つわ,いつまでも待つわ!編

2013/02/17

川口 慎介(海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域)

【夢はつまり思い出の後先】
2月8日から2月12日までの5日連続潜航の後,海況が悪化したため,2月17日まで の5日間は一度も潜航調査を実施出来ていません。なかなか言い出せませんでした。ごめんなさい(?)。

「よこすか」船上では,毎日予報を凝視して,潜航の可能性を探っています。研究者側は研究を進めたいので,いつでも潜航をしたいのですが,船員側はすべての乗船者とともに無事港に戻ることが第一ですから,荒れた危険な海で潜航させるわけにはいきません。こういう想いが交錯する中,潜航可否の最終決定者である船長との間で,硬軟織り交ぜたタフな交渉が繰り広げられていますが,肝心の海況自体がいかんともしがたく,首を縦に振ってもらうことはかないません。船長だって出来れば潜航を実施したいと思ってくれているはずです。しかし内心では,潜航の可能性を探したけれど,探したけれど見つからないのに,まだまだ探す気ですか。それよりボクと踊りませんか。夢の中へ行ってみたいと思いませんか。うふふ。と思っているかもしれません。(編集注:そんなことは無いです)

過去に起こったことを,それが過ぎ去ったものであるがゆえに,自分の中で美化し懐かしむことを思い出と呼び,未来に起こることを,それがいまだ起こっていないことであるがゆえに,自分の中で美化し願うことを夢と呼ぶのであれば,夢と思い出は現在からの時間の後先の問題でしかないわけで,ソリティアの思い出は,かいれいの夢。


写真:青空に残された私の心は夏模様