アジア―太平洋の各国は1994年の夏に異常な天候を経験しました。日本では雨が非常に少なく猛暑となる一方、インド亜大陸と東アジアはモンスーンによる雨のため、各地で洪水が起こりました。インド亜大陸におけるモンスーンの雨の経年変化はエルニーニョと関係があると信じられてきました。1994年は弱いエルニーニョの兆候はありましたが、統計的にはエルニーニョとモンスーンの雨は逆の関係を持つため、エルニーニョではインドモンスーンによる降水を説明できません。一方、熱帯インド洋の南東部では平年よりも海面水温が低く、熱帯インド洋中央部の海面水温は平年よりも高く、秋季に見られるYoshida-Wyrtki jetジェットは消えていました。これらのアジア―太平洋領域の異常な状態が Indian Ocean Dipole.現象の発見につながります。
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Behera et al. (1999) で明らかにされたように、海洋の力学と対流、風、蒸発の間の正のフィードバックは海面水温偏差の双極子構造を維持します。その結果、熱帯インド洋の南東部から輸送される水蒸気偏差はインド亜大陸と東アジアの対流を強化します。すでに知られているようにフィリピンの北で強まった対流は日本の雨と逆の関係を持つため、インド洋東部の異常な状態が1994年の日本の猛暑と関係していることが示唆されます。
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- References:
- P. N. Vinayachandran, N. H. Saji and Toshio Yamagata, Response of the equatorial Indian Ocean to an unusual wind event during 1994. Geophysical Research Letters, vol. 26, no 11, pages 1613-1616, 1999.
- Behera, S.K., Krishnan, S., and Yamagata, T., Unusual ocean-atmosphere conditions in the tropical Indian Ocean during 1994. Geophysical Research Letters, vol. 26, no 11, pages 3001-3004, 1999.