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研究概要

研究概要

D-ARK(Deep-sea Archaic Refugia in Karst)は、南大東島周辺海域等の深海洞窟をターゲットとして生物多様性把握のための深海調査に取り組む研究プロジェクトです。

鍾乳洞は依存種の宝庫

 鍾乳洞は外界から半ば隔絶された独特の環境を形成し、陸域や淡水域、浅海域の鍾乳洞からは「生きた化石」とも呼ばれる遺存種が数多く報告されています。深海洞窟も同様に遺存種の貴重な生息地となっている可能性がありますが、これまでに本格的な生物調査は実施されていません。本研究 (D-ARK: Deep-sea Archaic Refugia in Karst)では、南大東島周辺海域を中心とした深海域において、生物多様性把握のための調査・研究に取り組み、深海洞窟に潜む謎を一つずつ解き明かします。

南大東島周辺海域の調査

 南大東島は約5千万年前に赤道付近で形成された海洋島であり、その後、一度も他の陸域と地続きになることなく北上し、現在の場所に位置しています。また、南大東島の基盤であるフィリピン海プレートは、北上に伴ってユーラシアプレートの下に沈み込んでいるため、島の上部に継続的にサンゴ礁が形成されています。その結果、陸域を含め、島の上部2千メートルが石灰岩で形成されているというユニークな海洋島になりました。島の陸域には大規模な鍾乳洞が発達し、浅海域においても海底洞窟が形成されていることが知られています。 一方で、同島周辺の深海域では過去に有人潜水調査船や無人探査機を用いた目視調査は実施されておらず、本格的な深海生物調査の記録もありません。

  • 南大東島の海岸
  • 島随一の鍾乳洞「星野洞」

 本研究では南大東島周辺海域を中心に、生物多様性把握のための深海調査を実施します。そのために無人探査機(ROV)やベイトカメラ、海底設置型360°カメラ等を用いて生物の映像を記録し、ROV装備のマニピュレータ(マジックハンド)や水中掃除機、釣りなどによって生物を採集します。また、CTD多連採水装置や現場ろ過装置を用いて環境DNA試料を採取し解析を進めるほか、大型ROVから出動可能なMiniROVや深海内視鏡の開発を行い、深海洞窟の有無や生物相を明らかにすることを目指します。

実施体制

 海洋研究開発機構(代表研究機関)、琉球大学、いであ株式会社、株式会社FullDepth、新江ノ島水族館の5機関が中心となり、調査・研究活動を実施します。
 本研究は、(公財)笹川平和財団オーシャンショット助成事業のもとに実施いたします。

外部リンク:採択課題名 Limelight on limestone caves: refugia for relict fauna?