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活動報告

活動報告

Report vol.8南大東島でD-ARKイベントを開催!

那覇空港からプロペラ機に乗り南大東島へ 那覇空港からプロペラ機に乗り南大東島へ

D-ARKプロジェクトの調査地である大東諸島には2つの有人島、南大東島と北大東島があります。島民の皆さんにもD-ARKを応援していただき、共にプロジェクトを盛り上げていきたいと考えています。
そこで、2025年5月から航海調査中の7月にかけて、南大東島にてイベントを開催しました。

調査船「かいめい」からの特別授業!

オンライン特別授業中の小学校 オンライン特別授業中の小学校
オンライン特別授業中の中学校 オンライン特別授業中の中学校

2025年7月10日より、いよいよ2回目となる大東諸島沖での調査が始まりました。
これに合わせて、調査船「かいめい」と南大東島の小・中学校をオンラインでつなぎ、特別授業を行いました。

授業の冒頭では、今回の深海調査で活躍している無人探査機を紹介した後、続いて小型水中ドローンのカメラ映像に切り替え、南大東島沖にある深海洞窟「ピッグ・ノーズ」(研究チームで命名)の内部をリアルタイムで子どもたちと一緒に観察しました。

深海洞窟「ピッグ・ノーズ」 深海洞窟「ピッグ・ノーズ」

D-ARK航海に参加している学生たちが中心となって、D-ARKクイズを出題しながら授業を進行していきました。

学生たちが中心となってクイズを出題 学生たちが中心となってクイズを出題

前年のD-ARKの調査により日本の海で初めて記録された「ホラアナヒスイヤセムツ」が洞窟の入口に現れると、子どもたちからは「色がきれい!」「初めて見た!」と驚きの声が上がりました。

ホラアナヒスイヤセムツ ホラアナヒスイヤセムツ

さらに、深海洞窟の入口付近に多く生息する「ウフアガリアカサンゴスナギンチャク」が刺激を受けて光る様子を観察できました。和名の「ウフアガリ」は、沖縄の古い言葉で「東の涯て」を意味し、「ウフアガリジマ」は大東諸島を指します。
「ウフアガリアカサンゴスナギンチャク」はD-ARKで発見した新種です。詳しくはプレスリリースをご覧ください!

ウフアガリアカサンゴスナギンチャク ウフアガリアカサンゴスナギンチャク

授業中、水中ドローンのパイロットに向けて「がんばって!」と声援が飛ぶ場面もありました。今回が初めての試みで、私たちD-ARKチームも内心ドキドキでしたが、通信は最後まで安定し、生き物たちも絶好のタイミングで登場してくれ、子どもたちも研究者も大興奮の授業となりました。

イベント詳細
イベント名D-ARKオンライン特別授業
日時2025年7月17日(木)11:25~12:15
場所南大東村小学校、中学校
参加者小中学生75名+学校教員、村役場職員

海の中を自分で調査してみよう!水中ドローンの操縦体験

ゲームのコントローラーで操作します ゲームのコントローラーで操作します

D-ARKの調査で欠かせない水中ドローン。その操縦を、島の子どもたちに体験してもらうイベントを行いました。子どもたちが実際にドローンを操作し、ウミガメやハリセンボン、グルクンの大群など、さまざまな海の生き物を観察することができました。

南大東島は島全体が断崖に囲まれており、海がすぐそばにあるのに、普段は気軽に海中をのぞくことが難しい環境です。今回の水中ドローン操縦体験を通して、島の周囲にどれだけ多くの魚が暮らしているか、そして、海がどれほど美しく豊かなのかを、子どもたちの目で確かめてもらうことができました。

水中ドローンに興味津々のハリセンボン 水中ドローンに興味津々のハリセンボン
イベント詳細
イベント名水中ドローン操縦体験
日時2025年5月31日(土)
場所南大東島 亀港
参加者105名

近くで生き物を観察してみよう!移動水族館

子どもたちに大人気!タッチプール 子どもたちに大人気!タッチプール

D-ARKのキーメンバーが所属する新江ノ島水族館が中心となり、南大東島の沿岸で採集した魚などを水槽で展示したり、タッチプールを実施しました。
間近で観察したり触れたりする機会が少ないので、多くの子どもたちが長い時間タッチプールにかじり付いていました。

沿岸で採集してきた魚 沿岸で採集してきた魚

また、淡水魚のイモリやドジョウ、深海生物のプラスティネーション標本や生きたオオグソクムシも展示し、普段島の子供達が見慣れない生き物も紹介しました。

恐る恐るオオグソクムシの標本を触る子ども 恐る恐るオオグソクムシの標本を触る子ども

星砂ってなに?小さな生き物を知ろう

星砂探しに夢中になる子どもたち 星砂探しに夢中になる子どもたち

お土産屋さんで売られている「星砂」、これらは有孔虫などの小さな生き物の殻です。沖縄本島の海にはこの星砂でできた白い砂浜がありますが、南大東島は砂浜がほとんどない環境です。星砂ワークショップでは、子どもたちが砂の中から小さな生き物を見つけて、研究者と一緒に観察しました。

大東諸島の海洋生物に関する研究を紹介

難しい論文もわかりやすく解説! 難しい論文もわかりやすく解説!

これまでに大東諸島で発見された生物に関する論文や資料を展示しました。D-ARKで新たに発見したゴカイの仲間「ダイトウヒメクマノアシツキ」についてもご紹介!

さらに、海で採集した魚を魚屋さん風に並べて展示すると、来場者からは「美味しそう!」という声がありました。オスとメスで姿が異なる魚がいることや、種類によって体表の質感が違うことなど、実際に触れながら学べる機会になりました。

研究者の話に大人も興味津々 研究者の話に大人も興味津々
大東諸島に生息する色鮮やかな魚 大東諸島に生息する色鮮やかな魚

深海洞窟を探る!D-ARKトークショー

D-ARKトークショーの様子 D-ARKトークショーの様子

二日間にわたるイベントの締めくくりとして、トークショーを開催しました。まず深海生物の研究者から、深海とはどのような環境なのか、そこで暮らす生き物たちの姿について紹介しました。あわせて、D-ARKの調査で大東諸島にて2つの大きな深海洞窟を発見したことや、新種・希少種を見つけた成果を報告しました。

続いて魚類の研究者からは、大東諸島に暮らす魚を紹介しました。沿岸ではかつて、新種「ダイトウハタンポ」が発見されていることから、深海でもさらなる発見が期待できます。

最後に、南大東の漁師・ダイバーの方やネイチャーガイドの方から、南大東の海の豊かさを守りたいという思いと、D-ARKへの温かい声援をいただきました。

ダイトウハタンポに続く魚類の新種に期待 ダイトウハタンポに続く魚類の新種に期待
イベント詳細
イベント名移動水族館、D-ARKトークショー
日時2025年6月1日(日)9:00〜17:00
場所南大東村多目的交流センター
参加者移動水族館参加者216名、トークショー50名

島民のみなさんからいただいたご声援のおかげもあり、2025年7月に実施された2回目の調査でも、多くのすばらしい発見がありました。私たちはこれからも、研究の成果を発信し、多くの方と感激を共有できる機会をつくっていきたいと思います。

イベントの開催にあたって、南大東村教育委員会、南大東小中学校にご協力いただきました。ありがとうございました。