MR12-02 みらい観測航海ブログ

MR12-02 集合写真

  • 集合写真
    集合写真
    Leg1参加者
    Leg1参加者

2012年7月11日 陸揚げ準備、八戸寄港

船内時間=日本時間
  • (航海終了まで後2日)
    6:00 40-40N / 141-38E
    気温15.9度、気圧1011hPa、波高0.5m、風速1.6m/sec。
    八戸沖合。濃霧+霧雨。航海中は霧の影響がなかったのが救われた(霧だと係留系・漂流系の発見・回収が困難になるため)。
  • 6:30 デッキでコーヒーを飲みながら携帯メールをうっていたStevenと立ち話。観測も船内生活も本当にうまくいった航海であったこと、これからのサンプル分析計画、来年度以降の話等。
  • 8:00 八戸港に接近中、だと思うが濃霧のため何も見えない。船窓からの視程50m程度?舳先の次席一等航海士が霞むぐらい。本船は汽笛(霧笛)を鳴らしながら航行。
    8:50 (トランシーバーから)船長「防波堤から300mだけれどまだ見えない?」。次席一等航海士「まだです」。
    8:53 次席一等航海士「左舷側11時方向に見えてきました」。
    9:01 まだ見えませんけど…
    9:20 あっ、見えた。左舷20m。
    9:30 八戸入港(白銀埠頭)。給油。
    船内では陸揚げ準備。
    自分はデータ整理。航海のまとめ作成。
  • 昼休み上陸。お金をおろしにコンビニまでジョギング。勢い余って陸奥湊駅まで行って東北新幹線の切符を購入。往復6km弱?体が重い。マジヤバッ。
  • 17:00 八戸出港。再び霧の中を航行。
    18:00 乗船者会議
    クルレポ、メタデータシート、共有データサーバのものの処理について。
  • 明日はむつ関根浜帰港。19:00現在まだ霧の中。明日の入港は大丈夫か?
  • 以上、本日を持ちまして航海報告を終了いたします。
    当初、40日間毎日かかさずそれなりの報告(写真付)ができるか不安でしたが、観測の様子、船上生活の様子、自分の思っている事をまとめて書き留めるという作業はストレス解消にもなり、終わってみれば楽しく継続する事ができました。陸上からの好意的な感想もやる気をおこさせてくれました。
    時に筆が滑って一部の方にご迷惑をおかけすることがあったようです。この場を借りてお詫び申し上げます。

    Leg.1では3回の台風の影響を受け、Leg.2では逆に休む暇がないようなハードスケジュールでしたが、ケガなく、事故なく、観測達成率はほぼ100%でした。
    外国からの乗船者も初期の目的を達成することができたことを喜び、改めてR/Vみらいの性能、乗組員・マリンテクニシャンの技術と知識の高さを賞賛しています。これらは(乗組員、乗船者のチームワーク”と日頃の行いの良さ”以上に….)陸上からの暖かいご指導ご支援、不在中の陸上業務のバックアップの賜物だと思っています。

    下船後は、得られた試料・データをできるだけ早く解析し公表することが我々の責務であり皆様への御礼であることを肝に命じて頑張りたいと思います。
    ありがとうございました。
思い出
思い出
MR12-02クルレポ表紙
MR12-02クルレポ表紙
赤の◆が、2012年7月11日5:00時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年7月11日5:00時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年7月10日 陸揚げ準備、洋上セミナー

船内時間=日本時間
  • (航海終了まで後3日)
    9:00 39-49N / 142-15E
    気温17度、気圧1010hPa、波高0.5m、風速3m/sec。
    快晴、ベタ凪。本船は東北沖約100kmを八戸に向かって航走中。
  • 船内では本格的に陸揚げ準備が始まる。
    今回は観測・分析終了から帰港まで比較的時間がある方。多くの観測・分析が終了しており、いつものように「まだ食事中に皿を片付けられたり、周囲を掃除される」ような光景は見られない。第一ブイ格納庫には空パレットがずらりと並べられる。
  • サンプルの梱包をした後は、居室でデータ整理、クルレポ執筆。メタデータシート作成。最初メタデータシートが見つからず真っ青になった(採取したサンプルのリスト。サンプルの種別、日時、緯度経度全てを手入力。既に100個ほどの情報を入力。再入力などまっぴらごめん)。
    結果、何かのはずみでパソコンのゴミ箱に捨てていた。あわてて回収。九死に一生を得る。
  • 10:00 船内ツアー
    備品倉庫や機関室等”バックヤード”を含む船内ツアーが行われる。
    ツアコンはGODIM技術員。外人さんには同時通訳つき。食料品保管庫は自分も初めて。長期航海が増えてきたため、ウオークインの冷凍冷蔵庫以外に設置されたストッカー(冷凍庫)を見学。殺風景な部屋に長さ2メートル程度のものが3台並列されている。少し不気味。夜中に一人で来て蓋をあけるのが怖い。
  • 15:30 洋上セミナー
    講演者はKeith Ronnholm (NOAA / University of Washington)さん。
    講演タイトルは「Escape from an exploring volcano」。
    KEOブイの観測機器の運用・データ処理解析担当の技術者であるKeithさんは、ワシントン大学院生であった1980年5月、セントヘレナ火山近くでキャンプ中噴火に遭遇、命からがら生還された。
    セミナーではその時の体験談を豊富な写真を使って生々しく紹介。稲光が発生する噴煙に飲み込まれた様子、噴石でボコボコになったピックアップトラック。呆然とした長髪・スリムジーンスの若者(30年前の本人)。
    これらの写真はテレビ番組やNature等の雑誌、地質学の教科書等で使用されたとのこと(40,000回以上だって)。
    英語ではあったが、娯楽性の高い話だったので参加者は(いつものように居眠りすることもなく)興味津々で聴講。講演の後もいろいろ裏話を聞かせてもらった。
  • 明日は給油のため八戸寄港。夕方には出港。学生、外国人の中には「回転寿し」弾丸ツアーを計画している者がいるとの情報あり。
少し不気味なストッカー
少し不気味なストッカー
火山噴火
火山噴火
赤の◆が、2012年7月10日0:40時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年7月10日0:40時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年7月9日 観測点F1 セジメントトラップ設置ほか

船内時間=日本時間
  • 5:00 観測点F1 北緯36度29分、東経141度30分 最終日
    気温20.0度、気圧1008hPa、水温24.8度、塩分33.8、波高1.1m、風速2.8m/sec
    天気:朝から晴れ!絶好のBBQ、ではなくBGC(セジメントトラップ)係留系作業日和。
  • 5:30 甲板へ。すでに準備が始まっている。Stevenも荷物運びの補助。
    Steven「OHAYOGOZAIMASU」
    I「Good morning, sir!」
    Steven「Good day for BBQ」
    I「Excuse me, sir?」
    Steven 「for mooring, too」
    この師匠にして自分あり。
  • 6:00 先取りブイ投入開始。"朝飯前の仕事"だが慎重に、ケガのないように。
    6:05 500mセジメントトラップ投入
    6:25 1000mセジメントトラップ投入
    6:37 切離装置吊り出し
    7:12 シンカーレッコ
    7:30  着底
    7:35 位置出し(positioning)終了。みらいの音響装置を使えばアっという間の作業。シンカーはほぼターゲットポジションに着底したようである。
    8:00 Disable command 送信。GODI若手技術員GTOくんの”子守唄”が良かったのか、すぐに寝てくれた。来年7月までオヤスミなさい。
  • これにて本航海の全ての甲板作業は終了。大気観測、表層連続観測はまだ続くが、本格的な撤収・陸揚げ作業が始まる。
  • 本当に良い天気となる。絶好のBBQ、ではなくIONESSプランクトンネット天日干し日和である。
  • 居室でデータ整理しながらクルレポ作成。クルレポ表紙コンテストの集計をしながら(後6票。これからの1票1票が勝敗を決する。それぐらい今回はデッドヒート)
  • 12:30 ゾンデ放球(JAXA用)。快晴。絶好のBBQ、ではなくCO2・CH4カラム積算量測定日和である(しつこいのでもうやめます)。
  • 16:45 集合写真撮影
    17:00 BBQディナー
    航海の成功と互いの労をねぎらう恒例のイベント。乗船者、乗組員が一同に会して、組織の垣根を越えて、無礼講で、懇親を深める。
    宴"たけなわ"となった頃、Stevenから感謝のプレゼント贈呈。船長、チョッサー、機関長、司厨長そして新婚のボースン。そして本日のメインイベントMR12-02クルーズレポート表紙コンテスト優勝作品・作者の発表。今回の優勝者はNGKのN村さん。2006年に続いて2回目の優勝。今回はML社に関係のあるStevenとも親交を深められたし意義深い航海になったことだろう。
  • 23:30  ゾンデ放球(JAXA用)。
F1トラップ投入直前
F1トラップ投入直前
IONESSネット天日干し
IONESSネット天日干し

2012年7月8日 観測点F1 マルチプルコアラほか

船内時間=日本時間
  • (航海終了まで後5日)
    6:00 観測点F1 北緯36度29分、東経141度30分
    気温18.6度、気圧999hPa、水温23.9度、塩分34.0、波高2m、風速13m/sec
    天気:曇り。
  • 8:00 マルチプルコアラ(水深 約1300m)
    風速14m/sec、波高2.2m。風波やや高い状況で開始。
    結局、カップ麺容器などの”高圧実験”希望者はゼロ。
    水深が浅いためか?最近のカップ麺容器が”紙”製だから?もう飽きちゃった?

    9:30 マルチプルコアラondeck
    K2, S1に比較すると採取量は少なかったが、それでも約20cm長の海底堆積物が4本得られる。ここは福島第一原発から南東へ約90kmの場所であるが、放射線量はバックグランド値と同程度のものであった。その後、コア試料はウエットラボにて”解体ショー”。
    (甲板では担当者K村研究員の指示の下、IONESSネット洗い・解体ショー)
  • 13:00 pCO2センサーテスト
  • 自分は明日投入のセジメントトラップ準備。
    昨日のサンプル処理で魚やエビといった生物(業界用語で”スイマー”という)がたくさん混入することがわかったので Stevenの提案によりスイマー防止用スクリーン(ネット)を張ることにした。
    その後は担当者3人で捕集カップ取り付け、スケジュール初期設定。夕食前に終了。
  • 明日は6:00から”大トリ”のセジメントトラップ係留系設置。
    本日は午後から天気は快晴だった。明日もこうであって欲しい。特に夕方。
  • クルレポ表紙コンテスト投票中。
    投票は自分へのメールで。それをエクセルで集計。20時の段階で投票率85%。各自の嗜好、組織票、作品による支持層(年齢層)等がわかって面白い。一人でニヤニヤ。残り11名+α(海外からの不在者投票)。だいたい3作品にしぼられてきたが、まだ当確はでない。
  • 23:00 N研究員主催 "F1でF1"集会をのぞく。
    早くもヒートアップしている参加者。画面を食い入るように見つめている。「ハードでこれだけリードしているんだから…」「いつまで引っ張るんだ?」「琢磨は攻めるから」「アロンソか?ハミルトンか?」(……………)飛び交う意味不明な会話。質問するのも憚れるような世界。自分は、フェラーリのマーク入ネクタイをもらって「何?この馬のマークは?」と言ったような人間。明日も早いので1時間ほどで辞去
私もネット洗い隊
私もネット洗い隊
クルレポ表紙候補作品
クルレポ表紙候補作品
赤の●が、2012年7月8日5:20時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年7月8日5:20時点の「みらい」の位置。
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2012年7月7日 観測点F1 セジメントトラップ係留系回収ほか

船内時間=日本時間
  • (航海終了まで後6日)
    5:00 観測点F1 北緯36度29分、東経141度30分
    (福島第一原発から南東へ約90km)
  • 気温22.0度、気圧994hPa、水温21.9度、塩分33.3、波高1.2m、風速10m/sec
    予定より1時間も早く起床。やはり少し緊張しているのか?
  • 6:40 ブリッジにて。「少し風が強くなることがあるが支障はないでしょう」ということで作業決行となる。
  • 6:50 切り離し作業開始。繋船甲板からトランスデューサーを吊り降ろしての作業。
    6:54 ENABLE command送信。応答あり。とりあえず係留系は設置場所にある。
    6:55 RELEASE command送信。応答あり。上昇確認。とりあえずアンカーは切り離され、切離装置は上昇を開始。しかし”上物”を見るまではまだ安心できない(経験者は語る)。
    7:00 浮上確認。他のBGC係留系は数分で浮上するので5-6分が長く感じられた。数珠つなぎになったガラス球が確認され、全長約1200mの係留系全てがつながっているのを確信。
  • とりあえず朝食(昨日から、人によっては待望の、塩辛が食卓へ。みらい自家製。イカが大きく”エグ味(?)”も少なく、確かにウマい)
  • 8:00 係留系揚収作業開始。
    8:25 流向流速計ondeck。
    8:30 500mトラップondeck。水を切った瞬間、回転板が予定通り動作し、各捕集カップにかなりの量のサンプルが捕集されていることが確認できた。同じく水面を見つめていたStevenとガッチリ握手。
    8:40 ガラス球第二集団ondeck。
    8:46 1000mトラップondeck。こちらも水を切った瞬間にうまくサンプルが取れていることが確認できる。Stevenは大興奮。この数日間のために米国西海岸から20日間の航海に参加。しかも一年限りのNSF予算(震災緊急予算RAPID)なので後がない。それだけに喜びもひとしおだったようである。
    9:10 セジメントトラップの捕集カップおよび上下ワイヤー・チェーンを回収する前に、放射線取扱主任による放射線量測定。バックグランドレベルであることを確認して作業開始。
    9:20 切離装置ondeck。短いので1時間30分で終了。本係留系設置・回収に携わったSteven, JAMSTEC K研究員、MWJ I技術員といっしょに記念撮影。
  • 10:30 採水(ルーチン+放射能採水)
  • 夕食後、Steven、K研究員とセジメントトラップ試料の整理。500mトラップカップには大量の試料が。前処理には結構時間がかかりそう。陸に近いため生産性が高い?再懸濁堆積物?放射性セシウムは高い?今後の化学分析結果が楽しみ。
  • 21:00 - 23:00 IONESS
    本航海のfinal IONESS。ジムに行ってシャワーも浴びたので居室から応援しようかと思ったが、小腹が空いてハンバーガーを食べてしまったので、参加することに。
    ”釣果”は今ひとつ、かつネットが6枚だけだったので40分ほどでサンプル処理終了。
  • 船内ではクルレポ表紙コンテスト投票が始まる。今回は海外にいる(陸上に居る)Leg.1参加者の不在者投票も受け付ける。候補作品7点(後に9点)。いつも以上に力作ぞろい。自分が優勝すれば4回目、彼の場合は2回目、彼女の場合は初優勝。そうだ、優勝の数だけメットに星をつける、というのはどうだろうか。サッカーワールドカップ優勝国のように……
  • 「今晩24時、BSフジで予選です!本戦は明日23時から!」とウレシそうに教えてくれるN研究員。
    「F1でF1(Formula 1)!」と、前から観戦を楽しみにしていた彼。M大M野くんやきょうこちゃん等結構乗船者にファンがいるとのこと。このN研究員、鈴鹿サーキットのフェラーリチーム特別席でレースを観戦した経験を持つ。何故、フェラーリを持っているわけがない彼が、フェラーリオーナーの中でも選ばれた人しか座れない席で観戦できたのか?話せば長~~い話になるのでここでは割愛(キーワードは、パリ・ドゴール空港、ベネチア、YMD)
500mトラップ
500mトラップ
トラップ試料の放射線量測定
トラップ試料の放射線量測定
赤の●が、2012年7月7日2:40時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年7月7日2:40時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年7月6日 航走+観測点F1 現場ろ過

船内時間=日本時間
  • (航海終了まで後7日)
    6:30 34-36.9N / 142-52.7E
    気温23.2度、気圧1004.7hPa、水温22.8度、塩分34.5、波高1.6m、風速5m/sec
    本船は最後の観測点F1に向けて航走中。
    =BS放送受信復活=
  • 天気快晴。海はベタ凪。
    甲板では昨日回収したKEOブイの片付け作業。Keith, Davidおよび乗組員によりセンサー撤収、移動、洗浄など。
  • 自分は、午前中、実験室内でフリーフォールセンサー・制御部の片付。
    さらに、久々に”光合成”したい(日光浴したい)気分だったし、昼飯前に少しでも運動しておきたかったので、甲板上に設置してある光量子計、照度計の撤去作業を実施。傍らではJAXAの測定装置が、太陽-装置間の二酸化炭素(CO2) / メタン(CH4)カラム積算量を観測中。
    この装置には太陽自動追尾機能があり、1分間に一回センサーが太陽の位置を捜索。探し出せない場合は待機モードに入り受光部は下を向いている。これまでは曇り・雨の日が多く、一分毎に360度空を見回した後、カクッと”首をうなだれていた”。それだけに太陽を微動だにせず直視しているその姿は凛々しく、ウレシそうであった。
  • 汗だくになって働いた報酬はカレーライス。
    (しかし自分の一言で金曜日はカレーライスの日になったのかな……)
  • 午後からはメタデータ整理ほか。
  • 15:30 F1セジメントトラップ係留系に関する打ち合わせ
    作業開始時間、作業手順、再投入等について。
  • 17:00 観測点F1到着(北緯36度29分、東経141度30分) いよいよ最終決戦。
    福島原発事故による人工放射性核種拡散状況を把握するため昨年新たに設けた観測定点。数日間滞在し、海水、プランクトン、懸濁・沈降粒子、海底堆積物を採集予定。
  • 18:00 現場ろ過
    2時間ポンピング中、海水処理室と第一ブイ格納庫で漂流トラップの分解、収納作業。
  • 21:00 現場ろ過器ondeck。21:30作業終了。
  • 明日は朝からセジメントトラップ回収作業。WHOIとJAMSTECの合同観測。Stevenさん、長らくお待たせしました
有孔虫のソーティング
有孔虫のソーティング
JAXA CO2:CH4カラム濃度測定装置
JAXA CO2:CH4カラム濃度測定装置

2012年7月5日 観測点KEO NOAA-KEOブイ回収

船内時間=日本時間
  • 観測点KEO
    32-19N / 144-32E
  • 気温22.5度、気圧1011.7hPa、水温22.8度、塩分34.5、波高1.9m、風速6m/sec
  • <KEOブイ回収>
    13:00 船とブイを接続。
    14:30 トップブイondeck。JKEOほどでもないが、それでも生物付着多し。
    15:00 CTD、流向流速計、フェアリングをとりはずしながらワイヤー巻き込み。海況も穏やか。大きさは多少異なるが、Leg.1でJKEO回収をしたばかり。作業者全員が内容を良く理解しており作業は順調に進行。

    (1)フェアリングはずしは甲板部No.2のコマちゃん。
    お手製の"鎚”で、リズミカルに、フェアリングを"たたき"はずしていく。野球部出身の彼、トスバッティング連打、あるいはノックをやっているよう。時々こちらにフェアリングが飛んでくる。「ファールボールにご注意下さい」という感じ。シアトルからやってきたKeith、見事な手さばきをビデオ撮影。シアトルマリナーズファンの彼、イチローに興味を持ったスカウトマンのようであった。

    (2)回収作業陰のヒーローは、黙々と回収されたセンサーから貝を剥ぎ落としてくれた人、ワイヤーを手動で木ドラムに巻き取ってくれた人、張力をひたすらモニターしてくれた人達。
  • 16:30 全ての作業終了。担当者のKeithとDavidそしてJAMSTEC側のカウンターパートTKさんもホッとした様子。Keithは手を合わせて(仏教徒?胸の前で手を組もうとしていたのかも?)いろいろな人に感謝していた。
  • 17:00 本船は最後の観測点F1に向けて航走開始。F1着予定は明日の夕方の予定。
    なおF1までは”ゾンデ祭り”(2時間おきにゾンデ放球)実施。
いよいよ回収
いよいよ回収
貝落としボランティア
貝落としボランティア
赤の◆が、2012年7月5日10:10時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年7月5日10:10時点の「みらい」の位置。
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2012年7月4日 観測点KEO NOAA-KEOブイ設置

船内時間=日本時間
  • 観測点KEO
    32-19N / 144-32E
  • 7:00 気温23.2度、気圧1007.7hPa、水温22.8度、塩分34.5、波高1.9m、風速7m/sec
  • 8:00 KEOブイ係留系投入作業
    先日のJKEO, KEOブイ設置で慣れているとはいえ大きさが異なるようでトップブイ設置まで少し時間がかかった。しかしタワーのセンサーを損傷する事なく無事トップブイを投入。
    しばらくはセンサーの取り付け、フェアリングの取り付け。この辺りはJKEO, KEOブイと同じ要領。スイスイ進む(本家、元祖はNOAAであるが、CTD装着/フェアリングはめこみの手際はMWJの方が良かったような….おまけに投入直前の切離装置に犠牲陽極がなかったことをMWJの技術員が発見。お手柄)

    その後のナイロンロープくりだしはなかなか大掛かりな作業となった。
    ○ナイロンロープの繰り出し:昨日見た巨大な木箱に”互い違いに”キレイに折り畳まれた全長約5000mのロープを繰り出し。箱詰めに二人掛かりで二日かかったとか(でしょうね)。回収時はロープが水を吸っているので箱に戻すのは絶対無理だろうなと見学者間で立ち話。
    ○巨大スプールからの繰り出し:昨日見た巨大な木のドラムを多間接クレーンでつり上げ”ウマ”に乗せ全長約2500mのナイロンロープ繰り出し。回収時は手動でドラムにケーブルを巻き込むことになる。誰がドラムを回すの?
  • 風速は13m/sec。海面に白波多し。波高2m。
    このような海況の中安定して作業ができるのがR/V「みらい」。
  • 12:40 シンカーレッコ
    鉄道車輪を串刺しにした約2トンのシンカー2つを並列した約4トンのシンカー。
    何もかも巨大というかダイナミック。
    Keith, DavidはR/V「みらい」の乗組員の安全、正確、迅速な作業ぶりに感動していた。
  • 13:00 採水(600m)
    シンカーが着底するまでの時間を利用して採水。
    KEOブイのセンサーのキャリブレーションのため。
  • 14:30 位置出し
    本船の音響装置は送信周波数が異なるので、繋船甲板からトランスデューサーを吊り降ろしての作業。3点測距のため約1時間。

    最初の場所でなかなか切離装置と交信ができなかったが、ここでもMWJ技術員のアドバイスとMWJが日頃使用しているデッキユニットを使用したおかげでうまくいく。

    15:30 送信データのチェック
    表層ブイに接近し、ブイからの送信データ確認。

    16:00 データ送信良好。これで全ての作業終了。
    担当者のKeithとDavidにとってHappyな独立記念日になったことだろう。
  • 16:30 切離装置テスト(for F1)
    F1の係留系で使用する切離装置を500mまで吊り降ろし、送受信テスト。
    動作良好。
  • 18:00 過去のNOAA切離装置確認
  • 17:00 ゾンデ祭り
    自分も手放球に挑戦。とりあえずゾンデとセンサーを切断することもなく、船のマストや煙突にひっかかることもなく、空高く飛ばすことに成功。これから明朝5時まで2時間毎に放球。
    19:00はランチャー放球。初めてこのシステムを見たStevenは大興奮。
  • 食事中「いかの塩辛」がでてこない、ことが話題となる。
    待ち望んでいる人が結構多い。自分は、カレーライスと違ってあまり気にならないし、カレーライスと違って要求する気もおこらなかったが、いちおう皆を代表して司厨部員に確認。結果、現在熟成中、2日後ぐらいから食卓にでる予定、とのこと。
    塩辛党の皆さん、もうしばらくお待ち下さい
Depoyment of NOAA KEO buoy
Depoyment of NOAA KEO buoy
シンカーとブイ担当者
シンカーとブイ担当者
赤の●が、2012年7月4日6:20時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年7月4日6:20時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年7月3日 観測点KEO 採水、シービーム

船内時間=日本時間
  • 7:00 北緯31度23.3分、東経144度39.5分
    気温22.0度、気圧1005hPa、水温22.1度、塩分34.4度
    波高1.8m、風速7m/sec。
    本船はKEOに向かって航走中。
  • 8:30 甲板では明日のKEOブイ設置に向けた準備が行われる。
    本ブイは米国大気海洋庁(NOAA)太平洋海洋環境研究所(PMEL)が黒潮続流(Kuroshio Extension)の観測研究を実施するために設置しているもの。Leg.1で設置したJAMSTECのJKEO観測はKEO観測のカウンターパート。海洋気象、海洋物理の観測が主目的だが、pCO2センサー、酸素センサー、蛍光光度計も搭載されており海洋化学観測も実施。

    10:00頃、陽気も良いので様子を見にデッキへ。縦横1.8m、高さ1mの木箱にギッシリつまったロープ。直径約1.7mのドラムに巻かれたワイヤーロープ。全てがアメリカサイズ、何もかもデカい。
  • 11:00 KEOブイ設置に関するミーティング。
    設置・回収手順、シンカー投入位置、シービーム海底地形調査範囲、採水など。
    「明日のアメリカ独立記念日があなた達にとってhappyな一日になるように。でも花火は禁止ですよ」
    とオシャレに会議を締めくくろうと思ったが、トチってしまった。悔しい!
  • 12:00過ぎ 現在設置中のJKEOブイに横を通り過ぎる。明後日回収予定。
  • 13:00 観測点KEO(北緯32度19分、東経144度32分)に到着
    採水(ルーチン 5500m)

    採水中にS1で回収したセジメントトラップ試料の整理。K2に比べると非常に少ない。Stevenもお手伝い。「この捕集カップは不安定、キャップがフラットでなく字を書きにくい、だからML社のトラップの方がすぐれている」とあいかわらず冗談を言いながら。自分、K研究員と3人で流れ作業でサンプル処理。効率的な作業に「like a Sediment trap factory(まるでセジメントトラップ工場だね)」とSteven。
  • 17:00 採水終了後、シービーム。KEOブイ周辺の本格的な海底地形調査。
  • 18:00 F1係留系の打ち合わせ。いよいよStevenの出番。
  • 23:00 ゾンデ放球
  • あいからずテレビではEURO2012のグループ予選が繰り返し放映中。一試合通して見た事がない、コマ切れでしか見た事がない、ので今でも新鮮。個人的にはありがたいがサッカーに興味がない人には鬱陶しいかも。
    カレーライスと同様、人には好き嫌いあり。首席特権乱用しないよう肝に銘じる。
  • 明日はKEOブイ設置。Keith, David, you're on!
    (それにしても、今更ながら、JAMSTECとNOAAのロゴマークはミラーイメージだなあ…….)
採水ガンバリ隊
採水ガンバリ隊
JAMSTECとNOAAのロゴ
JAMSTECとNOAAのロゴ
赤の●が、2012年7月3日5:50時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年7月3日5:50時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年7月2日 S1(七日目)BGC係留系設置など

船内時間=日本時間
  • S1
    30N / 145E
  • 5:30 採水(バクテリア 2000m)
    6:00 気温23.0度、気圧1009.4hPa、水温23.5度、波高1.4m、風速6m/sec
  • 8:00 BGC係留系(セジメントトラップ係留系)設置作業
    ”雨合羽、着れば止み、脱ぐと降るよな気まぐれ天気”の中での作業。
    波高1.5m、風速10m/sec.
    8:13 トップブイ水面
    8:23 200mトラップ水面
    8:36 500mトラップ水面
    途中ガラス球の接続を補助するが、チェーンの撚りがとれていない、リングの向きが逆、ということでやり直し。却って邪魔をすることになり反省。「巨大なゼロを作ってはいけない」。これ仕事の鉄則。

    10:10 4810mトラップ水面
    10:47 切離装置・シンカー接続
    切離装置にはLeg.1で乗船したU研究員のCTDが装着される。これは国際的に呼びかけられている「Deep Sea Observation Network」に貢献。何らかの中長期変動が検出されるか?地球環境変化の影が太平洋深層にも忍び寄ってきているか?

    11:38 シンカーレッコ
    12:30 位置出し・スリープ コマンド送信(来年の切り離しまで、切離装置をスリープ状態にし係留期間中雑音に対して反応しないようにする)
    12:45 終了。これにて無事S1の係留系作業終了。
  • EURO2012決勝は圧倒的な強さでスペインがイタリアを下す(4-0)。予想外の大差。中3日のスペインに対し、中2日のイタリア。やはり疲労が残っていたか?それともマリオ・バロテッリ(伊)が誰かを道連れに退場しなかったせいか?
  • 12:00 ゾンデ放球
    久しぶりにコンテナからランチャーを使って放球。
    写真を撮るがバックが曇り空だとイマイチ。
  • 13:00 採水(RI 4000m)
    17:00 採水(Argoデータ用 2000m)
    セジメントトラップ試料処理用の海水もあわせて採水。
    蒸し暑い第一ブイ格納庫で雨合羽(capa:ポルトガル語)姿での採水で汗だく。
  • 21:00 IONESS
    24:00 ondeck。サンプル処理
    サンプル処理開始時には皆ボーとしているが、終了時には何故かハイになっている。おまけに途中から大雨。
    25:00 終了。少しヤケクソ気味の中で、最後に皆で記念撮影。
    24:00 Argoフロート投入
  • これにてS1観測全て終了。海況にめぐまれ100%の観測達成率。
    休む間もなく、飲む暇なく、ウレシイ悲鳴。皆さん、大変お疲れさまでした。
  • 本船はKEOに向かって航走開始。
    到着時刻明日(本日)昼過ぎ。まずは採水、シービーム。
ゾンデ放球
ゾンデ放球
真夜中のIONESS隊
真夜中のIONESS隊
赤の●が、2012年7月2日5:20時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年7月2日5:20時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年7月1日 S1(六日目)POPPS係留系設置など

船内時間=日本時間
  • S1
    30N / 145E
  • 2:30 採水(PP 300m)
    睡眠時間3時間弱。眠い目で簡単に歯磨き、洗顔。今流行の細身で短丈のパンツ(作業ズボン)に、素足で革靴(安全靴)というミラノ系(ミライ系)ファッ ションの、無精髭”チョイ悪”オヤジがCTD室へ。後方散乱計のスイッチON。班長の野帳から停止水深(採水水深)を書き留める。
  • 3:15 採水器ondeck
    後方散乱計のスイッチOFF。
    取り外し・データ吸い出しは次の採水で再度計測してから。
    漂流系作業まで2時間仮眠。
  • 3:30 FRRF
  • <漂流型セジメントトラップの回収>
    5:44 船窓からトップブイを確認。
    トランシーバからは「本日は左舷から揚収します。アプローチ開始します」とブリッジとデッキの会話。

    6:00 漂流系回収作業
    表層ブイがからんでいた。また係留策全体に”縒り”が入っていたようで最後の3台は上澄み海水をまき散らしながらぐるぐる回転して水切り。「like a centrifuge」とSteven。
    また水深500mの8本のトラップのうち1本の捕集カップが脱落していた。しかしその他は全て無事回収。マリンスノーもしっかり捕集されていた。次は”スイマー”との戦い。

    8:00 上澄海水サイホン
    終了後、サンプルは一旦冷蔵庫へ。スイマーは少ないができるだけ早くろ過をしたいもの。
  • 8:00 FRRF
    8:30 採水(P-E 300m)
    自分は後方散乱計のキャリブレーション。
    採水終了後、データ吸い出し、電池交換、そして200mセジメントトラップへの装着。これから約1年間、水深200mの後方散乱および蛍光光度を測定する。マリンスノーの時系列変化とうまく連動するか?陸起源物質の供給が明らかとなるか?
    隣ではN氏がpCO2センサーの調整。先日、水深3000mのpCO2測定に成功。
    本人曰く世界記録だとか。
  • 11:30 フリーフォール
    11:45 FRRF
  • 13:00 POPPS係留系設置作業
    本日のメインイベント(?!)
    ゼロ災の後、作業開始。観測ブイ、水中ウインチ、自動採水装置RAS、ADCPが丁寧に海面に吊り降ろされる。
    気温21.7度、風速8m/sec、波高1.5m。時折”通り雨”。本係留系関係者のN氏(システム全体)、M氏(FRRF)、W氏(RAS )が見つめる中順調に作業は進む。
  • 16:15 シンカーレッコ
    17:00 位置出し(シンカーの設置地点の特定作業)
    ターゲットポジションから北へ約200m。これまで5回の設置の中でニアピン賞。

    19:30 水中ウインチ・観測ブイ切り離し。測深。
    これまでは位置出しの際に本作業を行ってきたが、シンカーレッコ後、係留系トップが最浅水深に戻ってくるまで2時間程度かかることから時間をおいて観測ブイの測深を実施。
    結果、ほぼ予定どおりの水深に投入できたことを確認。関係者一同安堵。
  • 16:25 FRRF
    17:30 pCO2センサー (1.5hr)
  • 自分はK研究員と漂流トラップ試料のろ過。
    スイマーは少ないものの浅い層の試料のろ過に時間がかかる。18時から開始して終了は22時。
  • 待機時間を利用して家に電話。今夜のEURO2012総集編+決勝戦の録画をお願いする(ハードディスク容量が少なく、娘のバラエティを消すか、パパのワールドカップを消すか、ママの韓国ドラマを消すか、で一悶着)。明朝、目覚めた時にはEURO2012の優勝チームが決定しているはず。スペインかイタリアか。予選では両者同組で1vs1のドロー。果たして決勝は?自分はイタリアが勝つと思う。絶対に!命かけます!(*)
  • 21:00~24:00 IONESS
    貯蔵していた赤まむしドリンクを飲んでいざ出陣。参加者13名。
    やはりS1の生物量は少なかった。
  • 長い一日が終了。水割り飲みながら航海報告作成。いよいよ明日はS1最終日
  • (*)”命”という漢字が書けます。娘の小学校で流行っているシャレ。
機器調整(pCO2センサーと後方散乱計)
機器調整
(pCO2センサーと後方散乱計)
POPPS係留系関係者
POPPS係留系関係者
赤の●が、2012年6月30日23:40時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月30日23:40時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月30日 S1(五日目)マルチプルコアラなど

船内時間=日本時間
  • S1
    30N / 145E
  • 5:00 気温23.4度、気圧1009hPa
    水温23.5度、塩分34.3、波高2.3m、風速12m/sec。
    少し風がでてきた。波も若干高い。
  • <マルチプルコアラ>
    5:15 集合
    リーダーはMWJハッシー。ラジオ体操、安全確認後、投入準備。
    6:00 投入
    =ブリッジにて海況確認。現在の風波は一過性の低気圧の影響とのこと。=
    7:45 ペンレコの針が大きくふれる。張力が6トンから5トンに。着底。
    9:20 マルチプルコアラondeck。乱れもない30cm長のコアの採取に成功。
    きもP、ユリ姐を中心に、ウエットラボにてコア4本をスライス、半割、キューブ採取。Stevenもお手伝い。
    半割の残り(アーカイブ)はMWJハッシーが真空袋づめ(真空布団袋の要領)。あまりにもきれいなラッピングなので「自分で使うのでリボンはかけなくて結構です」と冗談。海底堆積物はチョコレート色。きれいにキューブを並べるとチョコレートの詰め合わせのよう。堆積物学者へのバレンタインデイの贈り物に使えそう。
  • 9:30 フリーフォール
    有光層 約90m。
  • 10:30 IONESS
    昨日より風がある。涼しい中でのサンプリング。
    14:30 現場ろ過
    目的は懸濁物中の福島原発由来の人工放射性核種の有無。
    17:30 NORPACプランクトンネット
    「今日はこの後、観測ないんですよね。ネット曵きまくって有孔虫、絶滅させちゃおっかな~」ときもP。彼がいうと冗談に聞こえないから恐ろしい。いちおう時計を指差し時間厳守を示唆。
    第一ブイ格納庫ではワッキーが自動採水装置RASの最終準備。手間隙かけて魂こめて。
  • 夜、テレビでは「東京タワー」が放映される。この映画内で使われている「東京」という曲を歌っているのは「マイペース」というグループ。
    このボーカルの人は高橋アキラ(同姓同名の漫画家がいたような………..)さんといって、自分が函館での学生時代、行きつけの飲み屋で働いておられた。
    時々歌ってくれるカラオケは(今風に言うと)ハンパなかった。何を隠そう、この人が函館名物「イカ踊り」を作詞作曲したのである。
  • 24:00 ゾンデ放球
    (すみませんがお先に休ませていただきます)
  • 本日も無事予定通り観測終了。明日から係留系二連戦。
    真夜中の採水、漂流系回収、夜のIONESSもあり、多忙な二日間。
    最後まで”ゼロ災”でいきたい。
マルチ着底記録
マルチ着底記録
堆積物スライス
堆積物スライス
赤の●が、2012年6月29日21:10時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月29日21:10時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月29日 S1(四日目)IONESSなど

船内時間=日本時間
  • S1
    30N / 145E
  • 7:00
    気温23.9度、気圧1013hPa
    水温23.4度、塩分34.4、波高1m、風速5m/sec。天候:晴れ、穏やかな朝。
    本日は比較的”人道的な”スケジュール?!
  • *昨夜、福島原発調査関連の科研費が採択された、との連絡あり。
    様々な学会に所属する陸海空の観測研究者とモデラーが共同提案したもの。自分は海の分野の研究分担者。これから忙しくなりそう。
  • 8:00~10:00 プランクトンネット(2hr)
    今日も元気に”きもP”ネット。昨年、採取された珍しい有孔虫が捕捉されるか?
    =甲板で行われているKEOブイ準備も順調のようである。=
  • 10:30 IONESS
    StevenとKeithがもの珍しそうに見学。
    =自分は居室でLeg.1メタデータシートの整理。単調だが正確を期す仕事。少しやると眠くなる。どちらかと言えば不得意な分野。=
  • 12:00 ゾンデ放球
    大気中の気温、湿度の鉛直分布を測定。うまくいけば30,000mまで上昇する。最後は気球が破裂してセンサーは落下。陸域付近ではパラシュートをつけるそうである。
    本日は手放球。少し風が強いのでベテランの漁労長が放球。助手はユリ姐。
    久しぶりのスカっとした青空。
  • 13:30 IONESS ondeck
    一応、放射線量を測定してから(まったく問題なし)サンプリング。気温25度。”水遊び”が気持ちよい。しかし、K2に比べると、"釣果"は寂しいもの。
  • 14:30 現場ろ過(9hr)4000m
    設置に1時間半弱。見学に来たSteven(現場ろ過器もML社製でStevenも開発に携わっている)と昔話に花が咲く。20年前まで遡って、いっしょ に行った航海やWoods Holeの店、研究者仲間のその後、等々。英会話がうまくいかなくても「あれ、これ、それ」で伝わる仲。
  • 夕食時、むつ研究所の一般公開 → ガンマ線測定装置の披露 → 隣の「むつ科学技術館」とのコラボ → 原子力船「むつ」という話になる。
    何と同じテーブルの一等機関士は原子力船「むつ」に乗船されていたとのこと(モチロン事故後の航海であるが)。貴重な話をいろいろ拝聴する。
  • 夕食後、セジメントトラップ捕集カップに防腐剤を注入、取り付け、スケジュール初期設定作業。私のセジメントトラップの師匠、Stevenにも手伝ってもらう。
    「古いトラップには捕集カップが取り付けにくい」「ターンテーブルの孔の一つにはネジが切っていない」「ターンテーブルが脱落しやすい」。今から約25年前、ML社トラップの開発製造に携わったStevenにいろいろ文句(笑)。
    彼もいろいろ反論「NGKのものはリークが激しい」「回転速度がのろい」「全ての孔にネジが切ってあると、誤って全部の孔にカップを取り付けてしまうかもしれないじゃないか」(笑)。隣ではNGKのN君が水中ウインチ準備中。
    全てが冗談 (笑)とはいえ少しハラハラ。「Don't fight. No more war」(笑)
  • 21:00 現場ろ過器揚収作業。
    22:30 現場ろ過器ondeck。海水処理室で塩抜き、ラッシング(固縛)
  • 本日も無事終了。明日は0515スタンバイ、6:00 マルチプルコアラ投入開始。
  • EURO2012準決勝は、まさかのドイツ敗退。決勝は、そのドイツを破ったイタリアと優勝候補No.1のスペイン。何となくイタリアが勝つような気がしてきた。

    2006年ドイツW杯、決勝はフランスと青息吐息で勝ち残ってきたイタリア。その試合でイタリアの問題児マセラッティに侮辱行為を受けたフランスの英雄ジダンが頭突、一発退場。試合はイタリアが勝利。今回は、イタリアの暴れん坊FWバロテッリが、スペインのファンタジスタ シャビやイニエスタを道連れに退場、PK戦でイタリア。そんな光景が目に浮かぶ。=
プランクトンネット
プランクトンネット
ゾンデ手放球
ゾンデ手放球
赤の●が、2012年6月29日21:10時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月29日21:10時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月28日 S1(三日目)漂流系投入など

船内時間=日本時間
  • S1
    30N / 145E
  • 2:30 採水(基礎生産)300m
    後方散乱計、pCO2センサーも共に海中へ。
    セッティングのため2:00起床、CTD室へ。
    3:30 FRRF (Fast Repetition Rate Fluorometry)
    基礎生産培養と平行して植物プランクトンの光合成”潜在能力”の日変化を測定。
  • <漂流系>
    5:15 研究者スタンバイ
    トラップへ高塩分水を注入。係留策の展開。
    6:00 漂流系投入開始
    6:40 投入終了
    気温22.7度、水温22.8度、塩分34.4。
    波高1.3m、風速1m/sec。天候:晴れ。多少のうねりはあるがいわゆる凪。

    8:00 FRRF
    8:30 採水(POM)500m
    10:00 採水(Cs, Paleo)1000m
    11:30 Free Fall
    有光層深度 約80m。
    11:45 FRRF
  • 13:00 採水(バクテリア)5300m
    自分は係留系に関する打ち合わせ。回収したデータを基に、係留系の構成について検討。
  • 14:30 現場ろ過電池交換補助。
    作業しながら、地味ながらこの作業キツイよね、と皆で納得。
    その時にでたキツイ観測作業:

    ○真冬のK2での夜のIONESS
    ○投入直前の漂流トラップへの高塩分水供給
     (20Lポリタンクを持ち上げヒザ上高さの漂流トラップに高塩分水注入)
    ○放射能用30L海水の運搬と試薬添加後の撹拌
    ○延々と終わらないろ過。
    ○係留系ガラス球運び
    ○メタン、フロンもある真冬の採水 ボトル5本分……

    ..書き出せば枚挙にいとまがない。
    なお”きもPのプランクトンネット”に関しては賛否両論。
    おしゃべりは楽しいものの海水処理室は蒸し風呂状態。汗だく。
  • 17:00 FRRF
  • 18:30 pCO2センサー試験
    自分はセジメントトラップ電池交換。その後、居室でデータ整理
  • 21:00~24:00 IONESS
    作業員16名。漁労長はGODI M氏。「一人で9枚のネットを引き上げ、洗った」という伝説の持ち主。白い悪魔(雨合羽が白い)の異名を持つ。満を持してLeg.2から登場。若者のネット洗いに厳しいダメ出しが。彼がいると現場がキリリとひきしまる。

    25:00 デッキ作業終了
    長い一日が終了。
  • 本日のニュース
    KP研究員からの報告(きもP便り)

    (1)POPPSブイについていたヒドロ虫を洗って、それについている粒子を顕微鏡で見たところ、有孔虫がめちゃたくさんいた!という話です。
    しかも、浮遊性有孔虫だけでなく、底生有孔虫もたくさんいたのです。
    彼らはどうやってここまできたのか、大変興味があります。
    また、膠着質(こうちゃくしつ)といって、体のまわりに粒子を付けることで自身の殻とするものも結構いました。
    その粒子はどこから来たものを使っているのか、大変興味深いです。底生有孔虫の「渡り」を考える上でも非常に貴重なデータとなり得、しっかりしたデータを取れば論文にできそうです。
    これだけたくさんブイを回収したのに、そのような観点でサンプリングしておけばよかったと後悔しきり。

    (2)昨日の現場ろ過で採取した水深80mのサンプルを昨晩顕微鏡で見てみました。すると、有孔虫に混じって、膨大な数の円石藻が採れてしまいました(電顕でしっかりみないと確定できませんが、比重からみてもたぶん間違いないと思います)。
    直径は10-20um程度、肉眼では雲のように見え、また顕微鏡で見ると天の川銀河のようです。(写真)この倍率にもなると、船のエンジンの振動を拾うのでしっかりフォーカスがあいません。
    松本さんのHPLCの結果待ちですが、昨年同様、円石藻とシアノバクテリアがこの海域の主生産者のようですね。

有孔虫と円石藻の天の川
有孔虫と円石藻の天の川
採水器降下開始
採水器降下開始
赤の●が、2012年6月28日5:10時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月28日5:10時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月27日 S1(二日目)POPPS係留系回収等

船内時間=日本時間
  • 6:00 S1
    30N / 145E
    気温22.3度、水温23.2度、塩分34.4。
    波高1.6m、風速7m/sec。天候:小雨
    海況は良さそうである。
  • POPPS係留系回収作業
    6:30 スタンバイ
    6:40 切り離し作業
    GODIの若い研究員G君によりENABLEコマンド、RELEASEコマンド送信。ギャラリーが多いので緊張気味。
    しかし一発でコマンド送信成功。
    6:51 浮上確認
    本係留系メーカーNGKのN氏。ホッと胸をなでおろす(のはまだ早いでっせ)。

    8:00 POPPS係留系回収作業開始
    作業艇降下。雨の中の作業。
    8:05 観測ブイが作業艇に揚収される。
    8:54 水中ウインチondeck
    Stevenは興味津々。N氏にいろいろ質問。「後で名刺を」「英語のパンフレットは?」新たな両”社”の物語が始まる?
    8:59 自動採水装置(RAS)ondeck
    上下のフロートがからまっている。水面を見つめる担当者ワッキーの不安そうな顔。水を切った瞬間、五体満足、かつサンプルバッグが膨らんでいる(キチンと海水サンプルがとれている)ことが確認できた。
    手を挙げて大きく「マル」を示すと白い歯を見せてニッコリのワッキー。内心では「キターッ!」と叫んでいたのだろう(色の黒さと白い歯が織田裕二似)。
    無事、第一ブイ格納庫前に運ばれたRAS。本人を含め多くのギャラリーが興味深く覗き込む。
    外洋域における時系列自動採水に成功した例は極めて少ない。うまく行けばチャンピオンデータに。「おめでとう。やったね」「でも一部のサンプルバックの膨らみが完全ではないです」。ねっ、子を持つ親の心境でしょ。
  • 9:37 音響ドップラー式流向流速計(ADCP)ondeck
    11:15 切離装置ondeck。無事回収作業終了。お疲れさまでした。
  • 11:30 フリーフォール(水中光測定)
    オペレーション(トランシーバーで各部署にセンサー深度を通知)中、StevenやKeith (Washington Univ.)が話しかけてくる。
    これは何の数字?このスペクトルは何?有光層の深さは?思わず深度を英語で言いそうになる。
  • <閑話休題>
    ところで乗船者は船内では様々なキャップ(野球帽)をかぶっている。
    JAMSTECのものが一番多いが、他研究所のもの、寄港地の地名入りのもの、服飾メーカーのもの、他研究船のもの等々。
    自分はIrobot社のもの。Irobot社は海洋観測機器分野では水中グライダーを製造販売している。
    Leg.1に乗船していたJAMSTEC ArgoチームのH氏は研究費でグライダーを購入、操作訓練を受けているので " certified pilot"と刺繍された同社のキャップをかぶっていた。それでは何故私が?実はIrobot社の日本代理店がグライダーの売り込みに来た時「私もIrobot社のおそうじロボット”ルンバ”のオーナーでパイロットなんだけど….」と言ったらしぶしぶくれたのであった。申し訳ないので、グライダー購入は家内と相談します、と言っておいた。
    *ちなみに私のキャップの刺繍は”Robots that make a difference”である。
  • 13:30 現場ろ過(有孔虫1000m、 7時間)
    工学センター N研究員開発中のpCO2センサーのテストも兼ねて。本人にてスリムな装置が水中1000mへ。
    14:30~19:30まで、5時間の現場ろ過。
    (20:00回収 pCO2センサーも無事船上へ。作動状況は良好だった模様)
  • 15:00 漂流系組み立て
    ムシムシする中、関係者により上部のロープ、ブイを接続。
    甲板では甲板水槽の光測定、KEOブイの組み立て、第一ブイ格納庫ではセジメントトラップへのブライダル取り付けが行われていた。皆汗びっしょりである。
  • 19:30 現場ろ過 回収作業
    夜でも蒸し暑かった。
    20:30 終了
  • 21:00 NORPACネット(動物プランクトン 0.5hr)
    23:30 ゾンデ放球
  • 本日も無事終了。
    明日は午前2時30分から採水。自分も後方散乱計のキャリブレーションのため同採水に参加。
水中ウインチ
水中ウインチ
自動採水装置RAS
自動採水装置RAS
赤の●が、2012年6月27日1:40時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月27日1:40時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月26日 S1・BGC係留系回収ほか

船内時間=日本時間
  • 6:00 ほぼS1
    30-09N / 144-53E
    気温21.1度、水温22.9度、塩分34.4。
    波高2.1m、風速7m/sec。天候:今にも雨が降りそうな曇天。
    我々は梅雨前線の真下にいるとのこと。しかしまずまずの海況。これから一週間、S1での集中観測。まずは係留系。
  • 6:45 調査指揮室からENABLEコマンド送信(一発で応答あり)
    距離測定:距離5900m、水平距離1000m
    6:49 RELEASEコマンド送信(二発目で応答あり)
    6:53 浮上確認
    Steven(ウッズホール海洋研究所(WHOI)から参加したSenior Research Specialist。私のセジメントトラップ研究の現場コーチだった)は調査指揮室からの切離装置との”会話”に感心しきり。
  • 8:00 作業艇投入
    8:55 トップブイondeck
    150m水深にもかかわらず生物付着多し。

    8:55 200mトラップ(㈱NGK製)ondeck。
    スケジュール通り、過去1年間の25本の時系列サンプルを見事ゲット。捕集量もそれなりに多い。乗船中の㈱NGKのN氏もほっとした様子。

    9:15 500mトラップ(ML社製)ondeck。
    こちらもスケジュール通り、過去1年間の時系列サンプルを採取。ML社の技術者でもあったStevenもウレシそう。しかし捕集カップの数 でNGKに負けた(こちらは20本)と悔しがっていた。
    梅雨前線が北へ移動したのか、天気は快晴。

    10:35 4810mトラップ(ML社製)ondeck。
    こちらもバッチリ全て作動。20本の時系列サンプル。
    Stevenは「20 x 2 = 40本 (vs 25本)!俺の勝ちだ!」と大喜び。「でも捕集総量はどっちが多いですかね?」と言ったら悲しそうだった。二人にはそれぞれ「NGKのものはNo.1 in the worldだね」「ML社のものはNo.1 on the earthですね」と言っておいた。最後は両社のトラップ前で、仲良く記念撮影。業界の人にとっては意味深な歴史的写真である。

    11:00 切離装置ondeck。
    今回はロープが絡むことなく回収された。再利用できるベクトランロープに変えたK研究員の決断は大正解。
  • 12:00 ゾンデ
    13:00 採水(ルーチン:5500m)
    気温22度。風速4m/sec。汗ばむ陽気。甲板では回収したガラス球ばらし・破損チェック・組み立て、KEOブイの組み立て、甲板の疑似現場水槽の水中光量子チェック等が実施されている。

    17:00 採水器ondeck。
    (配水終了は19:00。皆さん、お疲れさまでした)
    17:30 現場ろ過(Po 2hr.)
    19:30 NORPACネット(有孔虫 1.5hr)
    新たなパートナーはNYさん。あだ名はユリ姉。
    コンビを組んで5年以上。息はピッタリ?!
    21:20 NORPACネット(動プラ 1hr.)
    21:40 終了
  • 幸先の良いスタート。
    明朝はPOPPS係留系の回収からスタート。
  • P.S. ひょんなことから、ブログがWeblogの略であることを初めて知った。
No fight !
No fight !
甲板水槽光量チェック
甲板水槽光量チェック
赤の●が、2012年6月26日9:10時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月26日9:10時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月25日 S1に向けて航走中

船内時間=日本時間
  • 7:00
    34-20N / 142-30E
    気温20.3度、水温22.5度、塩分34.4。
    波高1.2m、風速10m/sec。天候:曇り。
    S1に向けて航走中
  • 8:00 米国人向けオリエンテーリング(船内生活ブリーフィング)
  • 9:00 KEOブイ組み立て作業
    雨の中、船側と米国テクニシャン、MWJ技術員が協力し、”コマのような”ブイにタワーを取り付ける。
  • 10:30 新乗船者オリエンテーリング
  • 船上では甲板水槽の再設置、漂流トラップ組み立て、ろ過海水作成、分析機器立ち上げが始まる。いよいよLeg.2の観測モードに突入。
    昼過ぎ、衛星放送が映らなくなる。待ってましたとばかり「EURO2012」チャンネル開局。
  • 14:30 POPPSブイ係留作業打ち合わせ
    15:00 乗船者会議
    今のところ、しばらくは海況は良さそう。
  • 16:45 金比羅
    航海の安全と実りある成果を祈願して。
  • 明日から観測点S1における集中観測開始。まずはBGC係留系の回収。
KEO buoy組み立て
KEO buoy組み立て
金毘羅
金毘羅
赤の◆が、2012年6月25日10:00時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月25日10:00時点の「みらい」の位置。
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2012年6月24日 小名浜

船内時間=日本時間
  • 7:30
    37-09N / 142-19E
    気温16.6度、水温17.0度、塩分33.7。
    波高1.0m、風速4m/sec。天候:晴れ。
    一部乗船者交替のため小名浜へ向かい航走中。
  • 午前中、船側、MWJによる資材機材重量物の移動。
    Leg.1でのみ使用のものは第二ブイ格納庫へ。Leg.2で使用されるものが第一ブイ格納庫へ。NOAA PMELのブイは甲板へ。NOAAブイにはpCO2センサー、酸素センサー他生物化学用センサーが搭載される予定。明日からテクニシャンにより組み立てが開始される。
  • 天気快晴。デッキでは談笑する乗船者の姿が。
    自分はデスクワーク(Leg.1データ整理、メタデータシート作成、Leg.2観測計画の検討)

    昼食前 外を見ると船の舳先にカモメがギッシリ。映画「鳥」(米1963、ヒッチコック監督)を思い出す。昨日の「エイリアン」(米1979)よりマシ。正午の汽笛を鳴らした瞬間、一斉に飛び立つ。芸術的。
    昼食 ハヤシライス
    昼食後 陸が見えているのに気がつく。携帯もアンテナが一本立ったり二本立ったり。
  • 15:30 小名浜沖。海は穏やか。いよいよ一部乗船者の下船・乗船。
    下船者の中には昼頃からデッキでソワソワしている人も。
  • 16:00 乗下船開始
    大きなタグボートで2往復。下船者の皆様、それぞれがお土産を(宿題も?)持って、収穫ありの航海だったことだろう。お疲れさま。
    米国人3名も無事乗船。うち1名は1992-1994年米国ウッズホール海洋研究所に滞在中、公私ともににお世話になったSteven Manganini氏。通称Dr.Mango。昨年会っているとはいえ懐かしかった。彼も「みらい」乗船は2001年以来。鮮明に覚えているのは9月11日を船上で迎えたから。今回はいっしょに福島沖セジメントトラップ係留系を回収・再設置する。
    乗船者、陸上支援者からは新たな差し入れあり(新聞、週刊誌、お酒)。
    何よりもウレシかったのがNY研究員からのEURO2012の録画ビデオ。今晩から忙しくなりそう。
  • 17:00 S1に向けて航走開始。着予定6/26朝。
  • 夜 Steve、NOAAの2人、そして彼らをアテンドしてくれた工学センターNY研究員と懇親会。
  • 最近、作業ズボンがキツくなってきた。
    乾燥機のせい?それとも自転車漕ぎで筋肉ついた?いえいえそうではありません。
    Leg.2での目標
    ○間食しない、完食しない
舳先にカモメ
舳先にカモメ
タグボート
タグボート
赤の●が、2012年6月24日5:30時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月24日5:30時点の「みらい」の位置。
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2012年6月23日 JKEO

船内時間=日本時間
  • 6:00
    37-37N / 146-15E
    気温15.9度、水温15.7度、塩分34.3。
    波高2.9m、風速10m/sec。天候:晴れ。
    JKEOまで後2時間。海況は……(ん~)

    6:30 JKEOまで後2時間。いちおうJKEOブイ回収の予定で準備を開始。
    ただし海況によっては中止の可能性あり。
  • 8:30 JKEO (ブイ位置)着
    38-05N / 146-23E
    波高2.4m、風速7m/sec。ブリッジからゴーサイン。ブイ回収に着手。
    8:30 作業艇降下。波高2.2m。船から見ると小さな波だが、作業艇上では壁のように見えるはず。時折波間に消えながらもブイに到着、先取りロープを装着。

    9:30 シンカー切り離し作業。
    切離装置の周波数が総合指揮室の音響装置のものと異なるため、トランスデューサーを繋船甲板から吊り降ろし、海水処理室にセットしたデッキユニット(船上音響装置)からコマンド送信。ギャラリーが見守る中、水深5300mにある切離装置にENABLEコマンド送信、距離測定、そしてRELEASEコマンド送信。
    見事、一発で成功。
    (自分で係留系の回収・設置をしていた頃は、この切り離し作業が一番緊張した。切離装置となかなか交信できないと脂汗が……..送信・受信周波数は記録通りで合っているのか?切離装置の送信周波数とはデッキユニットの受信周波数。記録のものはどっちがどっち?エッ?エッ???と疑心暗鬼、負の連鎖・無限ループが始まる。英語で書かれた取扱説明書で役に立ったのは ”DON'T PANICK."だけ)
  • 10:50 ブイondeck。
    驚いたのはブイ水中部のおびただしい量の付着生物。
    遠目からはモコモコの毛糸帽をかぶっている様。エボシ貝の仲間、とのことであったが、これが異様、奇怪、グロテスク。二枚貝だけかと思いきや、長いもので全長80cmぐらいの皮を剥かれた蛇のような柄(キノコの傘を支える部分状)の上にエボシ状の二枚貝。その口から、ワカメサラダに良く入っている紅藻のような触手が何本も飛び出してうごめいている。どこからか泡もでてきて、まさにその姿は映画「エイリアン」そのもの(拡大写真は、昼食前の方や心臓の弱い方には不適切なので、掲載できませんでした)。恐いもの見たさ、で多くのギャラリーが集まる。
    生物学者KMは黙々とサンプリング。”えびげっちゅ”KPはカニを見つけて大喜び。

    その後は付着生物のついたセンサー、フェアリングをはずしながら回収作業。
  • 12:30 ゾンデ放球(JAXA)
    人知れず、と思い応援に駆けつけると結構な人が。本日の手放球権獲得者は放医研O氏とJAMSTEC SM嬢。一人が風船、一人がセンサー、仲良く分担、手放球)
  • 14:30 JKEOブイのガラス球、切り離し装置、ondeck。無事回収。
    関係者の皆様、特にMWJのU技術員、係留系2系列の設置と1系列の回収お疲れさまでした。Good Job!
  • これにてLeg.1の観測は終了。台風3個に翻弄されながらも観測達成率ほぼ100%。
    本船は一部乗船者の乗下船のため、小名浜に向けて航走開始。
    夜 ささやかな集会。
JKEO切り離し作業
JKEO切り離し作業
JKEOブイの付着生物
JKEOブイの付着生物
赤の◆が、2012年6月23日9:40時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月23日9:40時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月22日 NKEO(NKEOブイ設置)

船内時間=日本時間
  • 6:00 観測点NKEO
    33-50N / 144-54E
    気温21.8度、水温20.3度、塩分34.3。
    波高2.9m、風速8m/sec。天候:晴れ。
    まだ凪の状態ではないが….本日午前にNKEOブイの設置がなくなれば、Leg.1でのJKEO5ブイの回収もなくなる。Leg.2に宿題を残したくないが…….
  • 6:45 ブリッジにてNKEOブイ設置作業に着手することに決定。
    南に高気圧が居座っているのでしばらくは風は収まらない。作業的には良い海況とは言えないが、後のスケジュール等総合的に判断した結果。
  • 早飯して、コーヒー飲んで、歯を磨き、トイレに行って、立ち会い準備。
    7:30 TVには、担当者のN研究員ときょうこちゃんがメット(ヘルメット)、ライジャケ(ライフジャケット)姿でスタンバっている(スタンバイしている)様子が。
    5分前集合どころか30分前集合である。
  • 8:00 NKEOブイ設置作業開始
    波が高い海況、ブイの投入が最大の山場であった。
    が、船側の甲板作業と操船の見事なチームワークで10tonウインチワイヤー、ふれ止めロープがセンサーに干渉することなくブイは水面へ。
    300mまでフェアリング取り付け。前回以上にスムーズ。CTD, TDの取り付け。JKEOブイに比べると数量が少ないのでこちらも迅速に終了。後はひたすらロープの繰り出し。途中霧雨もあったがほとんどは穏やかな日差しの中、作業が行われる。
    途中、ワイヤー巻きだし装置の調子が悪くなったのか、2台のうち1台でのみ作業が行われた。JKEOブイの回収、そして小名浜での乗船下船を控えているだけに一刻の猶予も許されない。
    かといって野球でもダブルプレーを急ぎすぎるとボールを”お手玉”するものである。そこは慎重に、かつ迅速に。結局15分程度の遅れですんだ。
  • 12:30 シンカーレッコ(13:03 着底)
  • 13:20 キャリブレーション(位置出し)、切離装置の距離測定終了。
    本船はJKEOブイ(JKEO5)回収のため、観測点JKEOに向けて航走開始。
    着予定は明日の9時頃。
  • 本ブイ観測は、西部北太平洋亜熱帯海域(黒潮域)の大気・海洋相互作用に関する科研費研究の一環で今年度のみ実施するもの。
    従ってブイが投入できなければ研究成果がゼロ、かつブイの購入も問題になるところであった。関係者一同ホッと胸をなでおろしたようである。
  • お祝いではないのだろうが、本日(こそ)勝つ(カツ)カレー(前回はビーフカレーでした。訂正しお詫び申し上げます)。前回からの短いインターバルにウレシイ驚き。個人的には、自衛隊のように、金曜日はカレーの日にして欲しい。
    作業の都合上少し早飯。皆がくる頃にはほぼ完食。
    「首席、珍しくおかわりしませんでしたね。スパゲティサラダもマカロニスープも残しているし。」実は皿からこぼれるほどの超特盛にしてもらった、なんて恥ずかしくて言えなかった…..
  • 15:00 表層海水採取の打ち合わせ。
    担当者(放医研)は下船するが、Leg.2も航跡に沿って表層海水を、大観測点では鉛直的に海水をサンプリング予定なので作業要領を引き継ぐ。事故から1.5年経過、放射能は西部北太平洋にて空間的にどのように拡散したのか?
  • 20:00
    35-22N / 145-16E
    気温23.0度、気圧1004hPa、波高3.2m、風速 12m/sec。
    後ろから風を受けているため船は快調にJKEOに向かっている。
    が、海況は決して良くはない。気圧は今朝から下降中。
  • 明日JKEOブイが回収できればLeg.1の観測作業はほぼパーフェクトなのだが……...
ゼロ災(NKEO前)
ゼロ災(NKEO前)
NKEOブイ設置作業
NKEOブイ設置作業
赤の●が、2012年6月22日5:40時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月22日5:40時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月21日 NKEO(採水)

船内時間=日本時間
  • 7:00 観測点NKEO
    33-50N / 144-54E
    気温21.8度、水温20.3度、塩分34.3。
    波高4.0m、風速10m/sec。
    今朝未明、海底地形調査(設置地点決定)は終了。天気は晴れ。
    しかし、表層ブイに突起物(センサー)が多く、またフェアリングを装着しながらの係留系設置作業をするにはまだ波が高い。よって昼までブイ作業は待機。
    そのかわり
    8:00 採水(ルーチン 5700m)を実施。
    外は快晴。気温22度。しかし海面にはうねりがあり、白波も目立つ。

    小名浜 6/24一部研究者乗下船を考えると、JKEO5ブイの回収はLeg.1では不可能となった。Leg.2でのJKEO5ブイ回収となると、最も効率的な観測順は
    小名浜→F1→S1→KEO→JKEO→八戸か?
    天候・海況にもよるが?複数のケースを想定し、観測スケジュールを考え始める。
  • 12:30 採水器ondeck。配水。
    昼食前、ブリッジにて相談。海況回復せず、よってNKEOブイの設置作業は明朝まで延期することに決定。
    あわせて6/24の乗下船時刻についていろいろ変更の可能性がでてきた。
    船内を走り回り、観測作業の都合(JKEOブイの回収は何時間かかるか?F1で観測する場合、何ができるか?)、下船者の都合(東京へはその日中に帰れるか?)、をヒアリング。
    乗下船場所を横須賀にしては?という案も。しかしLeg.2の観測を考えるとシップタイムが惜しい。何より既に移動を開始した米国人に連絡を取るのは困難。
    彼らは脇目もふらずメモを頼りに、”NaRi-ta ….. uEno…… O•na•Ha•ma•…..here! I did it ! ”と遠距離移動してくるであろう。
    到着後の安堵感に浸った直後、"Yo•ko•su•ka"へ移動せよ”、といっても……...
    無理でしょ。
  • 14:00 波高3.8m、風速10m/sec。贔屓目に見ても回復の兆しなし。
    Mr. 有孔虫のKP研究員、および東大AORIチームと本プロジェクト研究のまとめ方、およびインド洋(ベンガル湾)航海計画について意見交換。
    「我々の暮らしとインド洋の関係が…..」「インド洋、遠いよね」「海賊大丈夫?」。『乗船下船はプーケット島かもね?』といっても今ひとつ”食いつきが悪い”。
  • 16:00 波高3m、風速6m/sec。よっしゃよっしゃ。ただし濃霧発生中。
  • 23:30 ゾンデ放球(JAXA)(トランシーバーの交信傍受により確認)
    波高2.8m, 風速9m/sec。なかなか単調減少(直線的減少)というわけにはいかない。波高も風速も上がったり下がったり。明日、大丈夫???
  • <よもやま話>
    船上ではスマホ(スマートフォン)を持ち歩く乗船者が多い。デジカメとして、音楽再生用として、船内メール / 船内情報受信端末として。
    観測風景をカシャッ。実験室でスピーカーに接続して♪♫♪♫♪♪♪。歩きながら本日の予定をチェック。隔世の感あり。
    自分は目覚まし時計として寝室に固定(「だからパパにはスマホ不要でしょ?!」と言われそう)。
CTDオペレーション中
CTDオペレーション中
表層採水1
表層採水1
赤の●が、2012年6月21日23:50時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月21日23:50時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月20日 ゾンデ祭り(のはずでしたが……)

船内時間=日本時間
  • 6:30
    36-32N / 145-57E
    NKEOに向けて航走中。
    気温19.5度、水温20.7度、塩分34.2、波高3.3m、風速25m/sec
    暴風雨。時化。昨夜は関東も台風の影響をもろに受けたと知らされたが….
    船長の判断は正しかった。これではJKEOでは何もできなかった。
  • ところでゾンデ祭りは?
    トランシーバーは無音。通常なら「ゾンデコンテナに入りました」「放球準備できました」「放球10分前です」等交信の様子が聞こえてくるはずだが…….
    ブリッジにて担当者(”ゾンデ女子”のT嬢とO嬢)が次席一等航海士に今後の海況・方針について相談中。4:30の放球以降、強風のため中断しているとのこと。風があまりにも強いとゾンデが落水してしまうそうである。何よりも現在は暴露部へ出るのも難しい。
  • ところで甲板水槽は?
    8:30 波にさらわれないよう一部甲板水槽撤去。
    名古屋大 Mくんの培養実験も中止。
  • 9:00 波高4m、風速15m/sec
    10:00 天候、海況変わらず。
    よってデータ欠落が多く発生したためゾンデ祭り中止を決定。
  • 午前中 チームミーティング準備。
    関係資料を読むべく、揺れる中、足を踏ん張って机に向かうが、集中力なし。
  • 午後 チームミーティング。
    首席部屋が揺れるので場所を大会議室に変更。
    今回を含めた主要課題観測研究のまとめ方、データベース構築、将来的な観測研究について話し合う。
  • 18:30
    35-05N / 145-14
    気温22.6度、水温22.1度、塩分34.5、波高4.6m、風速15m/sec
    まだまだ海況は時化。明日の場所では、あるいは明日の朝までに海況が良くなるのか?
  • 21:30
    34-36N / 144-58
    本船はNKEOに向けて航走中。
    気温22.3度、水温20.8度、塩分34.5、波高4.3m、風速13m/sec
    時系列データを見ると少しは良くなってきているけれど……。
  • 今晩遅くには現場到着。シービームで設置候補地周辺を探査。
    明朝から設置作業を開始する予定。
  • なお、NKEOまでは”ゾンデ祭り”(約30時間、1.5時間毎にゾンデ連続放球。計約20発。)を開催。
6月20日7時の風速と波高
6月20日7時の風速と波高
ゾンデ女子
ゾンデ女子
赤の◆が、2012年6月20日9:30時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月20日9:30時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月19日 JKEOブイ設置

船内時間=日本時間
  • 7:30
    38-14N / 146-59E
    気温13.6度、水温15.0度、塩分34.4
    JKEOに向けて航走中
    波高2.3m、風速5m/sec。 この状況なら何とかブイ設置作業が実施できそう。
  • 10:30 JKEO着
    37-55N / 146-35E
    気温15.0度、水温15.3度、塩分34.3、波高1.8m、風速5m/sec。天候:薄曇り。
    係留系作業に問題なし。
    甲板では投入のための最終作業。MWJ係留系担当のU技術員は、指差し確認、写真撮影しながら各パーツに不備がないか点検に余念が無い。
  • 13:00 JKEOブイ(JKEO6)設置作業開始
    (お日様もでてきました。Nくん、きょうこちゃん、お待たせしました。It's show time!)
    表層ブイには風速計、雨量計、湿度計等様々な突起物がある。それらを破損しないよう慎重に吊り上げ海面に投入。
    その後はCTDや水温計、およびフェアリングを装着しながらケーブルを展長。
    このフェアリングとは整流効果(係留系の振動・抵抗軽減)がある30cm長の板。
    これをGODI甲板員が上部ワイヤー300mまで装着する(はめこむ)。計算すると約1000枚!結果、300m繰り出しに1時間余。しかし担当者の話では効率的で非常に迅速な装着であった、とのこと。
    一方、U技術員ほか2名のMWJ技術員による多数のCTDや水温計の装着。ケーブルが停止した途端に着手。ビニールテープ巻き、電動ドリルによるボルト閉 め、ステンレスバンド締め、を瞬時に終了。見事な連携プレイ。まるでF1のレーシングカーがピットインした時のタイヤ交換のよう。
  • 17:00 シンカーレッコ。全長約8000mの係留系が海中へ。
    17:40 キャリブレーションおよびdisableコマンド送信。
    18:30 無事、設置作業完了。関係者の皆様、お疲れさまでした。
    甲板では次の係留作業(NKEO設置作業(*))の準備(ロープドラムの設置、トップブイの移動、トップ部の接続)が始まる。
  • 18:45 採水(ルーチン)5300m
  • 22:30 採水器ondeck。配水(23:30終了)。表層付近はクロロフィル濃度がかなり高いとの速報。確かに表層の海水に濁りが見られた。
  • 採水終了後、NKEOに向かって航走開始。到着予定は6月21日早朝(*)

    (*)本来は明日JKEOブイ(昨年設置したJKEO5)回収の予定であったが、JKEOの海況が怪しいこと、そしてNKEO設置を優先したいとのことだったので急遽予定を変更。

  • なおNKEOまでは”ゾンデ祭り”(約30時間、1.5時間毎にゾンデ連続放球。計約20発。)を開催。
JKEOブイ
JKEOブイ
CTD装着
CTD装着
赤の●が、2012年6月19日1:40時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月19日1:40時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月18日 洋上セミナー

船内時間=日本時間+1時間
  • 6:30
    42-21N / 152-38E
    気温11.7度、水温13.0度、塩分34.27
    JKEOに向けて航走中
    波高2.3m、風速12m/sec。
    少し風がでてきた。
    ブリッジで聞くとこれは台風ではなく低気圧の影響とのこと。
    台風4号は確実に我々の針路に向かっている。明日のJKEOブイの設置は大丈夫だろうが、それ以降はどうなるか?
    半日で台風針路の予測が変わるのでまだ方針がたてられない。
    おまけに南シナ海では台風5号が発生。こちらも我々の方へ向かってきそう。
    誰だ?!嵐を呼ぶ男(女)は?!
  • 13:00
    41-21N / 51-13E
    波高3.5m。風速14m/sec、時折15m/secを越え、モニター表示が赤くなる。
    予想以上に海は時化ている。
  • 15:30 洋上セミナー
    今回は放射能特集。

    小野田眞(放射線医学総合研究所)
    「放射能汚染と私達の暮らし ─正しく知っておきたい放射線─」

    昨年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、放射性物質の人や環境への影響が大変深刻な問題となり、皆さんの不安や疑問も尽きません。
    今回、「放射能汚染と私達の暮らし ─正しく知っておきたい放射線─」と題した講演を通して、皆さんが放射線というものを正しく理解して、正しい判断と行 動をすることによって、日常生活を安全に、安心して、健やかに過ごすことができるためのヒントを提供できればと考えています。

    長年、放射能の生物影響を研究され、福島第一原発事故前から放射能についていろいろなところで御講演をされてきた放射線医学総合研究所の小野田さんに話をしていただいた。
    我々一般国民が気になる点を専門家としてわかりやすく紹介して下さった。
    波高3.5m、船体動揺あり。船に強くない小野田さんなので「講演者船酔いのため洋上セミナー中止」という「雨のため東京ドームの巨人戦中止」のような珍しいことがおこるのでは、と心配したが杞憂に終わった。

    また、その前座として、昨年R/Vみらいで行った放射能調査の結果を紹介した。

    本多牧生(JAMSTEC)
    「R/Vみらい観測で明らかになった福島第一原発事故で放出された
    セシウムの西部北太平洋への拡散状況」

    福島第一原発(FNPP)事故後、R/VみらいはFNPPから放出された人工放射性核種の拡散状況の調査に貢献してきました。
    本講演ではMR11-03航海およびMR11-05航海で明らかとなった海水、懸濁物、動物プランクトンおよび沈降粒子中のFNPP由来のセシウム濃度についてご報告します。

    船長、チョッサー、観測支援員ほか大勢の乗船者に放射能調査に尽力していただいただけに、その調査結果が放射能拡散状況の現状把握と将来予測に貢献していることを報告でき、少し安堵。
  • 18:00
    40-30N, 150-04
    気温13.5度、水温14.9度、塩分34.2
    波高3m、風速15m/sec。
    JKEOブイはAフレーム下船尾に移動・固定され明日の設置を待っている。
    ただし現海況は観測作業可能ぎりぎりの状態。
  • 22:00 時刻改正
    (時計の針を一時間後進。これで船内時間は日本時間と同じになる)
  • <本日の特記事項>
    昼食 カレーライス。
台風予想進路(6月18日朝)
台風予想進路(6月18日朝)
洋上セミナーのようす
洋上セミナーのようす
赤の◆が、2012年6月18日8:40時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月18日8:40時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月17日 KNOT

船内時間=日本時間+1時間
  • 7:30
    44-23N / 157-24E
    気温3.9度(結構寒そう)、水温6.5度、波高1.7m、風速4m/sec
    天候:曇り
    セシウム磁力計を曳航し地球物理調査しながらKNOTへ向けて航走中。
  • 10:00 JKEO / NKEOブイ設置・回収打ち合わせ
    ブイの構成、作業手順、準備内容、作業の優先順位等について打ち合わせ。
    最後に”縁起でもない話”、もしも海況が悪くなったらどうするかを話し合う。担当者としては少なくともNKEOは設置してしまいたいとのこと。
    一方、NKEOで作業ができない場合に備え、F2, S1での観測(例えば係留系の回収)も視野に入れておく必要あり。
  • 午後、K2で回収されたセジメントトラップ試料の整理。
    200m, 500m, 5000mの沈降粒子量の季節変動がタイムラグを持ってキレイに同調している。
    昨年の試料ではブルーム(沈降粒子量が増加する様)が見られなかったが、今回の最初の方(昨年の8月頃)の試料にブルームが見られた。また今年の4月頃にもブルームが見られた。陸上での化学分析が楽しみ。
  • 17:00 KNOT着
    44N / 155E
    採水(ルーチン)5000m
    1997年以降の西部北太平洋時系列観測定点。R/Vみらいと同い年。

    KNOTとは"K"yodo (cooperative) "N"orth pacific "O"cean "T"ime-series stationの頭字語。
    米国の時系列観測研究HOT (Hawaii Ocean Time-series study)、BATS(Bermuda Atlantic Time-Series study)に対抗すべく、北大、東大、名大、環境研、JAMSTECの大御所が札幌の居酒屋で命名。Kの英単語が思いつかなかったのは情けない(key, keen, kool….)。

    気温7.1度、水温6.8度、塩分33.0、波高1.2m、風速4m/sec。うねりはあるが凪。
  • 21:00 採水器ondeck。

    JKEOに向けて航走開始。到着予定、19日昼頃。
    台風4号より早く到着しJKEOブイの設置・回収をやり遂げたい。
K2トラップ試料(上:500m、下4810m)
K2トラップ試料
(上:500m、下4810m)
採水器投入(KNOT)
採水器投入(KNOT)
赤の●が、2012年6月17日7:50時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月17日7:50時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月16日 地球物理調査しながら、KNOTへ航走中

船内時間=日本時間+2時間
  • 8:30
    45-24N / 159-52E
    セシウム磁力計を曳航し地球物理調査しながらKNOTへ向けて航走中。
    気温4.9度、水温5.6度、波高1.5m、風速9m/sec
    天候:晴れ
    船内は静か。シービームの送信音(”チュン” ”チュン” という雀の鳴き声のような音)がろうかに響く。つかの間の休息日。
    ある部屋からはサッカー中継が(船内CATVは土日限定のサッカーチャンネル。KR局長の趣味でプレミアリーグが多い。自分としてはリーガエスパニョールが見たい。…と思ったら夕方はバルセロナvs アトレティコ・マドリード戦放映)。
    隣の部屋からは掃除機の音が。船内の洗濯機はどこもフル稼働。 自分は、表層海水採取、エアロゾルフィルター交換以外は、データ整理。メタデータシート作成準備。
  • <本日の主な観測>
    あらかじめ決められた測線に沿って磁力、重力、海底地形調査
    および
    13:30 ゾンデ放球
    航走中なので手放球。「先着1名様 放球体験プレゼント」と 案内したら希望者が多数集まる。結局、放球者は東大H崎先生。
    残念がるMWJのD嬢。「今から減揺装置の上で並んでいたら今晩の放球はできるかも?」と励ますのが精一杯。

    24:30(本船時間23:30) ゾンデ放球(航走中なので手放球)
  • 夜 反省会
    本航海2回目。IONESS ネットの人員配置から、みらい船上CATVの放映権、および結婚で重要なことはタイミング?!など激論が行われる。
  • 22:00 時刻改正(時計の針を1時間後進。船内時間=日本時間+1時間)
    観測時間、入港時間が迫っている時に時刻改正はありがたい。後1時間、貯金がある。
  • 台風4号はやはり我々の針路に向かってくるようである。
    JKEOブイの設置・回収は可能か?NKEOブイの設置ができなかった場合はどうするか?スケジュールの大幅な変更もありうる。
セシウム磁力計
セシウム磁力計
動物プランクトン
動物プランクトン
赤の●が、2012年6月16日4:40時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月16日4:40時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月15日 K2(第6日目:最終日) 係留系設置など

船内時間=日本時間+2時間
  • K2 北緯47度、東経160度
    5:00 採水(バクテリア用 東大2000m )
    一方、居室のパソコンは、トップブイに取り付けたアルゴス位置信号送信機からの信号を次々に受信。スイッチが入りいよいよ投入準備開始。
  • 7:00
    気温4.6度、水温5.5度、波高1.5m、風速6m/sec
    天候:霧雨
    視界はあまり良くないが設置作業には問題ないだろう。
  • 8:00 BGC係留系設置
    「今日もゼロ災で行こうヨシ!」「今日もゼロ災で行こうヨシ!お願いします」
    ”ゼロ災”後、設置作業開始。
    気温は4.5度程度であったが風も弱く(5m/sec)薄日も差す中での係留作業。
    途中、鷲が飛んできて後部操舵室上マストに止まる。

    10:20 タコ?の顔が描かれ(確かにシンカーはタコの色、形をしている)、お神酒(ビール)をかけられたシンカーレッコ(投入)。
  • 今回は係留策の多くをワイヤーロープから軽いベクトランロープ(再利用も可能)に変更したため浮力材のガラス球の数量がかなり少なくなった。そのためか係留作業時間も短縮されたようである。

    今回も係留系責任者はMWJ伊代(いだい)技術員。
    2001年、BGC係留系を最初に設置した時からの担当者。米国仕込みの知識と技術で、的確な準備と作業指示。10年以上続いているK2時系列観測は彼に依るところが大きい。
    (昔々、彼の名前が携帯電話の住所録にあり、妻に”伊代(いよ)って誰?!”と詰問されたことがありました)
  • 12:00 位置だし(キャリブレーション)。
    切離装置と音響通信し最終的な設置(着底)位置を確認。最後にdisable(オヤスミナサイ信号)コマンドを送って終了。回収は来年7月のみらい航海を予定。
  • 今日の昼飯は勝つ(カツ)ドン。気分良くワシワシ食べた((C)椎名誠)。
    (ところで本航海で未だカレーライスがでない。チョッサーに聞いてもらったところ「食べたい?」と問い返された。エッ?リクエストしなければでないところだったの?食事後に首席からも司厨へ懇願)
  • 14:00 現場ろ過(有孔虫)6時間
    研究員KP。今度は現場ろ過に興味津々。
  • 午後はこれまで得られたデータの整理。
  • 22:00~24:00 IONESS(RI用 2hr )
    JKEO/NKEOの二人(NA研究員ときょうこちゃん)そしてJAXAのO研究員は毎回IONESSセッティングからの補助。スッカリIONESSチームの一員である。

    終了。K2離脱。
    これにてK2での観測は全て終了。海況にもめぐまれ達成率は99%。採水、IONESS、係留系作業などは大勢の乗船者が協力しあったおかげで効率的にかつ迅速に実施することができた。皆様お疲れさまでした。
  • 25:00 セシウム磁力計を巻きだし中。
    これから磁力測定、重力、および海底地形を測定する地球物理調査しながらKNOTまで。
  • KNOT着予定 明後日 6月17日 19時頃。
BGC係留系設置作業
BGC係留系設置作業
一年間がんばって!願いを込めて…(?)
一年間がんばって!
願いを込めて…(?)
シンカーちゃん
シンカーちゃん
赤の●が、2012年6月15日0:30時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月15日0:30時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月14日 K2(第5日目) 漂流系回収など

船内時間=日本時間+2時間
  • K2 北緯47度、東経160度
    1:35 起床。
    気温3.6度、水温5.1度、波高1.5m、風速5m/sec
    本航海での最低気温。
  • 2:30 採水(基礎生産)300m 30m付近にクロロフィル極大層が見られる。
    (後方散乱計テストを兼ねる)
    3:30 FRRF
  • 6:00~7:00 漂流系回収作業開始。
    無事回収。”離れ技”見事成功。
    水深100mのみならず水深500mのカップにも沈降粒子が捕集されており、本航海中の生産性の高さが窺えた。
  • 8:00 FRRF
    天候曇り。高い生産性は望めないか?
  • 8:30 採水(PE, RINKO)300m
    (後方散乱計テストを兼ねる)
  • 9:30~11:00 NORPACネット(有孔虫)(1.5hr)

    自分は午前中、現場ろ過器の電池交換補助。この作業が結構大変。
    湿気防止のため過剰包装気味のパッケージから電池を約200本取り出し、水中ケーブルをはずした後、8台の現場濾過器の耐圧容器を開けて、電池各24本を挿入、パソコンと接続し、作動確認を行い、グリスアップして、再び容器を密閉。二人で1時間半を費やす。

    その後は漂流トラップの捕集カップ回収。
    CTD室内で作業したかったが採水をまだやっていたため甲板で作業。気温3.8度。寒い。トラップの中には生きている動物プランクトン(カイアシやヤムシ)が多く見られた。あらかじめ防腐剤(フォルマリン等)を入れておく方法もあるが、上澄み液の処理が大変であり作業効率が悪いため短期漂流では高塩分水のみ使用する。
    できればサイフォンで上澄みを捨てる時にヤツらを吸い出したいが、吸引力よりヤツらの遊泳力が上。そううまくいかない。早く除去しないとサンプル(マリンスノー)が食われてしまう。逆に糞をされる可能性もある。とりあえず低温室に保管。
  • 11:30 FF(フリーフォール。水中光鉛直分布測定)
    12:00 FRRF
  • 13:00~16:00 現場ろ過(3hr)RI用
    夕方から漂流トラップ試料のろ過。生きた動物プランクトンがたくさん混入していた。
    このような試料は往々にしてろ過が長くなるのだが、今回はトラップ設置水深数が増えたにもかかわらず、2時間程度で終了した。
    見た目ほどマリンスノーは多くなかった?生きた動物プランクトンはスイマーと呼ばれ、マリンスノーの汚染物質(コンタミネーション)と考え除去する。
    「動物プランクトンが食っちゃんたんじゃないですか?」と学生。
  • 19:00 FRRF
  • 22:00~25:00 IONESS
    回収後、サンプル処理。夜の部初めての参加。
    IONESS観測事後の大変作業のうちネット洗いは重労働。長手袋して肩まで水に浸かりながらネットをゴシゴシ。
    堆積物班長のサーヤも本日はネット洗い隊。小さい体で頑張っているな、と思った途端「プシュッ」という音。何かと思ったら彼女の救命胴衣が膨らんだ音。彼女の救命胴衣は入水したら膨らむタイプ。水しぶきがかかったため作動した模様。
    一同大爆笑!やっぱりサーヤは何か持っている。報告ネタ一つ増える。
  • <本日の話題>
    ●KM研究員は甲板水槽にシンカイウリクラゲを飼っている。暗くなると光るらしい。
    ●第二ブイ格納庫(原子力船むつ時代に原子炉があった場所。今はブイや観測機材の格納庫になっている)に鳥が侵入。寝ぼけ眼のKH研究員が危なく踏みつけるところだった。
    ●台風4号が接近してきた場合、NKEOのブイ設置が レグ2に持ち越し、という可能性はあるか?小名浜の乗下船が不可能になる可能性はあるか?
  • 明日は採水、BGC係留系設置、現場ろ過、IONESSと大技が続く。
    K2最終決戦。”ホーム”では絶対に負けられない。
現場濾過器
現場濾過器
フリーフォール
フリーフォール
赤の●が、2012年6月14日14:05時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月14日14:05時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月13日 K2(第4日目) マルチプルコアラなど

船内時間=日本時間+2時間
  • K2 北緯47度、東経160度
    4:30 起床。
    気温4.4度、水温4.8度、波高1.5m、風速10m/sec
    少し風がでてきた
  • 5:00 ブイ調整室集合。
    MWJ地質課サーヤによる作業手順や注意事項に関するブリーフィング。
    最後は彼女のかけ声を復唱。
    「声かけヨシ!」「声かけヨシ!」「ゼロ災で行こうヨシ!」「ゼロ災で行こうヨシ!」「明日も元気にガンバロウー オーッ!」「明日も元気?エッ?今日も、でしょ?!」
    (ズコッ!一同吉本新喜劇状態)。
    緊張感がとれたところで、ラジオ体操、そして彼女の的確で系統だった(マニュアルから寸分たがわぬ)指揮の下、投入準備。
  • 6:00 マルチプルコアラ投入
    (早飯。早朝から動くとハラが減る)
    7:42 水深5810m。
    後部操舵室のペンレコーダーの針が大きく変動。ワイヤー張力が5トンから4.3トンへ低下。着底を確認。
  • 9:00 ondeck
    30cm長の堆積物コアが4本きれいに(乱れることなく)採取される。
    (サーヤ、Good job!)
    早速ウエットラボにて堆積物のスペシャリストでもあるKPを中心にコアをサンプリング。今回は福島第一原発事故による放出された人工放射性核種(主にセシウム)の検出が目的。
    セシウムは海底表層に”うっすら”としか堆積していない可能性がある。
    よって直上水や再懸濁物も採取することにした。押し出し器を使って、直上水や再懸濁物はスポイドで、それ以外はお好み焼きの”へら”でカット・スライス。
    「KPってパティシエみたい」「いや左官屋さんだね」自分を含め堆積物採取の経験がない研究者にとっては非常に興味深い、またワイワイガヤガヤ楽しいサンプリングであった。
    なおこちらも放射線量はバックグラウンドレベル(0.03 microSv/h程度)であった。
  • 10:30 FF(フリーフォール)
  • 11:00~14:00 IONESS (3hr)
    ondeck サンプル処理
    本日も20名弱のボランティアが集結。サンプル収集に20分もかからなかった。

    途中13:30 ゾンデ放球(JAXA)
    ゾンデの”手放球”を見るのは初めて。
    日差しもありポカポカ暖まった減揺装置に座って見学。天気:晴れ。やっと太陽が見えて、JAXAのO研究員もウレシそう(彼の場合は太陽が見えないと良いデータが得られない)。
  • 15:00~24:00 現場ろ過(9hr)4000m
    久しぶりの大深度現場ろ過。設置、回収の計3時間が長い。
  • 20:30 ゾンデ放球(JAMSTEC)
    24:30 ゾンデ放球(JAXA)
    放球コンテナからの放球。昼間”手放球”を見ただけに、屋根が開いて大筒からサンゴの産卵のようにゾンデが押し出される様子は感動。
  • 多くの人にとって少しは休息になった夜。
  • 明朝2:30 採水(基礎生産)。そして漂流系回収。夜にはIONESS。明日も忙しくなりそうである。
    (明日は1:45起床。今朝は4:30。一昨日は7:00。その前の日は1:30。毎日、目覚まし設定時間がめまぐるしく変わる)
    (南の海上で台風4号発生。少し心配)
マルチプルコアラ
マルチプルコアラ
IONESS
IONESS
赤の●が、2012年6月13日5:20時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月13日5:20時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月12日 K2(第3日目) IONESSなど

船内時間=日本時間+2時間
  • K2 北緯47度、東経160度
    4:00~11:00 採水(RINKOテスト)5000m(5000mで4hr停止)(所要時間7hr)

    酸素センサーRINKOの応答特性(平衡時間)の検証。
    担当者UH研究員からより長い時間の試験を打診されたが、後ろが詰まっているので却下。
  • 7:00 気温5.1度、水温4.9度、波高1.5m、風速7.8m/sec。天候:曇り
  • 11:00 IONESS
    多段式大型プランクトンネット曳航システム(IONESS)による生物試料採取。
    ”屋根より高い鯉のぼり”状のプランクトンネットを8枚装着。任意の8層で各20分程度水平曳き。
    1枚につき約1000トンの海水に生息するプランクトン、魚、クラゲを集める。小型クジラが海水からオキアミを濾(こ)しとって食べるかのごとし。
    担当者KM研究員。
    昼食時間をはさんでのオペレーション。本日の出前は「御食事処きょうこちゃん」の看板娘。
  • 14:00 ondeck
    ”求むボランティア。世界で初めての深海魚に遭遇するかも。経験問いません。とても明るい職場です。” の呼びかけに、冷たい雨にもかかわらず20名近くサンプル収集作業に参加。
    クラゲ、はだかいわし、カイアシ類。それなりに大漁。なお収集前には放射線量測定。まったく問題なし(0.02 ~ 0.03 microSv / h)。
  • 14:00~18:00 採水(バクテリア)5000m
    自分はこの時間を利用してセジメントトラップの捕集カップ取り付け、初期設定。
    成功するように祈りを込めて。
  • 疲れてくるとくだらない話題で盛り上がる。本日は船上で以下のことを有料にすれば儲かるのではないかという話。
    ●船内TV(100円/本)
    スポーツ、映画、 バラエティ、特別なものを放映する際、顧客にのみ開始時間を知らせる。
    ●メール(500円/レグ)
    個人に送られてくる詳細なスポーツ・芸能情報の顧客への配信。ランクによって情報量が異なる。 サッカー情報だと、ランクAの顧客にはメンバー表を添付、ランクCの顧客には得点者は伏せ字。非契約者には文字化けメール。
    ●首席の湯(入湯料100円)
    水制限で大風呂使用禁止、首席の部屋の湯船ぐらいならOKの場合、首席部屋を銭湯にする。首席が番台に座り、応接室が待合室に。真夜中のIONESS後など繁盛間違いなし。ビール1缶400円。
    -----(閑話休題)-----
  • 18:00~18:30 大気サンプリング(東工大・酪農学園大)
    風上に向かって船を走らせコンパスデッキでサンプリング(N2O、CH4)
  • 18:30~20:30 NORPACネット
    2時間立ちっぱなしもヘッチャラのKP。助手との相性もバッチリ。船内TVで暖かく見守る。
  • 22:00~25:00 IONESS
    甲板でサンプル収集作業
  • 4時間後にマルチプルコアラ投入。5時ブイ調整室集合。
IONESS作業
IONESS作業
トラップ準備
トラップ準備
赤の●が、2012年6月12日8:20時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月12日8:20時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月11日 K2(第2日目) 漂流系投入、IONESSなど

船内時間=日本時間+2時間
  • K2 北緯47度、東経160度
    1:45 起床。
    気温4.4度、表面水温4.8度、気圧1012hPa、波高1.5m、風速6m/sec
    バナナを食べていざ出陣

    2:30 採水(基礎生産)
    後部操舵室で採水オペレーションを見学。
    クロロフィルmax:約32m、混合層厚:約40m、水深100m付近に水温1.5度の中冷水。

    3:20 ondeck。配水
    トレーサーを入れた培養瓶を日出前に甲板水槽に設置しなければならず時間との勝負。
  • 3:30 FRRF(時間固定)
    (4:30 日出)
  • 6:00 漂流系投入準備。
    トラップに高塩分水注入。20Lのポリタンクを持ち上げての注水。早朝から腰、腕にくる。
    6:00 漂流系投入作業開始
    小一時間で投入終了。何故か表層ブイに鳥が群がる(「フンすんなよ……….」)
    数日間の自由行動。GPSが命綱。霧が心配。
  • (投入前、チョッサーから節水に心掛けるようにとの通達。プランクトンが多いためか、ろ過装置が詰まりやすく、造水量が低下しているため。昨夜、湯船に浸かったことを告解し懺悔)
  • 8:00 FRRF(時間固定)
    9:00 採水(Cs, Paleo 1000m 1 hr.)
    本航海での採水最年長記録保持者Oさん(歴代2位?現在確認中)による放射能測定用採水。
    昨年3月に放出された福島第一原発由来のセシウム(Cs)が検出されるか?検出された場合どの深度まで侵入したか?測定は放医研にて。
  • 11:00 採水(POM, 500m, 0.7hr)
    11:45 フリーフォール
    弱々しいが久しぶりの日差し。現在甲板水槽にて基礎生産測定中。少しは生産力が高くなるか?
    (ろ過時間が長くかかる、ろ紙が茶色くなる、ことから植物プランクトンがかなり多いのでは?との報告多し)
  • 12:00 FRRF
    13:00 採水(RI, 4000m, 3.5hr)
    19:00 FRRF(時間固定)
  • この後22:00から多段式大型プランクトンネット曳航システム(IONESS)による動物プランクトン採取を予定していたが、ウインチの調子が悪いため明日以降に延期した。
  • 明日は4:00から採水。酸素センサーRINKOのテストを兼ねて。
    ("他人ごとの"採水だと思っていたらセジメントトラップの海水をこのキャストで採取することになっていた。朝食後ボトルの準備をしなくては…..)
漂流トラップ
漂流トラップ
漂流系(表層ブイ、レーダリフレクタ、GPSブイ)
漂流系(表層ブイ、レーダリフレクタ、GPSブイ)
赤の●が、2012年6月11日2:10時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月11日2:10時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月10日 K2(第1日目) BGC係留系回収ほか

船内時間=日本時間+2時間
  • 5:30 起床
    K2 北緯47度、東経160度
    気温4.4度、水温4.8度、塩分32.9
    気圧1009hPa、波高2.0m、風速7m/sec
    天候は曇りだが、霧なし。
  • 6:20 ブリッジにて係留系回収作業着手を決定。
    6:30 後部操舵室にて切り離し作業開始
    6:30 ENABLEコマンド送信(6:34 応答あり)
    6:38 RELEASEコマンド送信(1発で応答あり)

    6:41 浮上確認
    昨年7月以来のご対面。この20年間、ほぼ毎年、この瞬間を迎えてきた。
    毎回緊張するがとりあえず一安心。居室でコーヒー。その後、早飯(*1)
  • 8:00 BGC(*2)係留系回収作業開始(作業艇降下)
    8:57 トップブイondeck
    9:09 200mセジメントトラップ(沈降粒子捕集装置)ondeck
    9:32 500mセジメントトラップondeck
    11:00 4810mセジメントトラップondeck

    11:25 係留策のベクトランロープがからまり、ガラス球がいくつか破裂していたが無事全てが回収される。担当者むつ研KH研究員とガッツポーズ。
    捕集カップは全てスケジュール通り作動。カップに捕集された沈降粒子の変動から昨年設置直後(7月)にブルームがあった様子、最近になってフラックスが増加し始めた様子がわかる。
    同サンプルを解析することで福島第一原発由来の人工放射性核種の輸送が昨年の7月以降どのように変遷したかが明らかになるかもしれず、まさにチャンピオンデータ(*3)になる可能性が高い。毎年記述することだが、係留系担当者の気持ちは「子を持つ親の心境」(*4)そのものである。
  • 12:00 フリーフォール(*5)
    13:00 採水(ルーチーン、5200m)
    (採水中、KH研究員を中心に漂流系の投入準備作業)
  • 16:30 採水器ondeck。
    採水希望者(特にガス系)が多く海水は貴重。無駄なく配水する必要があるため本日は精鋭部隊投入。それでも配水に2時間10分(お疲れさまでした)。
  • 17:00 現場ろ過(2hr)KH研究員 大忙し。
    19:00 NORPACプランクトンネット(有孔虫1.5hr)

    20:40 NORPACプランクトンネット(動物プランクトン1hr)
    プランクトンネットの鉛直曳き繰り返し。”大技”ではないが忍耐のいる観測作業。
    プランクトンネットでおなじみの担当者Dr.KP。
    今回の助手はSM嬢。毎回新たなパートナーを帯同。
    ウインチマンを飽きさせない作戦か?マドンナが毎回変わる寅さんのよう。
    ちょっぴりウラヤマシイ。

    21:10 K2第一日目終了。幸先のいいスタート。
  • 明日は2:30から採水(基礎生産)。後方散乱計の試験も実施予定。
  • MR12-02用語の基礎知識

    • *1 【早飯】 作業の都合上、あらかじめ決められた時間帯前に食事をすること。時間帯後は”取り置き”と言う。
    • *2 【BGC】 BioGeoChemistryの頭字語。(混同しやすい頭字語:BCG: 結核予防生ワクチン、BBC: ビリーズブートキャンプ)
    • *3 【チャンピオンデータ】 希少で、価値があり、頭脳明晰な研究者でなくても論文を書きやすいデータ。調理せず素材で勝負できる大トロみたいなもの。
    • *4 【子を持つ親の心境】 最初は「五体満足で生まれてくれれば…」と思い、次第に子供の容姿や才能に過度の期待を持つようになること。係留系 担当者は最初は「海面に浮上し、機器が回収されれば何も望まない」と祈り、回収された途端に「データがチャンピオンデータであって欲しい」と望むものであ る。
    • *5 【フリーフォール】 水中光鉛直分布測定。センサーを自由落下させるのでこの呼び名がある。同音異義語にワイヤーの”縒りとり”がある。両者の違いは圧力実験用カップ麺容器の装着の可否である。 (今回は”舟を編んで”みました(まきをん))。
トップブイondeck
トップブイondeck
セジメントトラップ回収
セジメントトラップ回収
赤の●が、2012年6月10日14:30時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月10日14:30時点の「みらい」の位置。
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2012年6月9日 K2へ向けて航走中。観測準備

船内時間=日本時間+2時間
  • 9:00
    北緯44-09度、東経155-55度
    気温4.6度!水温5.5度!塩分33.0
    気圧1007hPa、波高3m、風速15m/sec
    本船は亜寒帯循環域を航行中。
    昨日に比べると海は穏やか(といってもまだ凪ではないが)。船速11knot。
    今の予定では明朝0800頃にはstation K2に到着できそう。
    船体動揺でうまくデータがとれなかったマルチナロービーム音響測深装置(シービーム)も今は順調。
    気掛かりは濃霧。
  • 午前中 渦観測中の表層海水データ整理。
    クロロフィル測定班からは高い値があると聞いていたが、表面では高いクロロフィルが見られない。亜表層に極大層があるのか?
  • 午後 各研究室では明日からの観測に備え着々と準備中。
    甲板、第一ブイ格納庫では明日の係留系回収の準備作業。
    北緯44-50度。気温5度。極寒用防寒着がまだまだ必要。
    自分は漂流トラップ組み上げ。後方散乱計作動確認。
  • 18:00
    北緯45-27度、東経157-46度
    まだ波高は3m、風速は15m/secあるが、海況予報では明日からしばらくは好天が続きそう。
  • 23:30
    北緯46-11度、東経158-49度
    観測点K2まで後6時間。
    いよいよK2決戦。「負けられない戦いがここにある」。
係留系作業準備
係留系作業準備
サムライブルー
サムライブルー
赤の◆が、2012年6月9日23:30時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月9日23:30時点の「みらい」の位置。
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【号外】 MR12-02 INBOX(北西太平洋物理・生物地球化学統合海洋観測実験)速報!

JAMSTEC 海洋環境変動研究プログラム・戦略的海洋監視研究チーム 細田滋毅
  • 海洋に数多く存在する直径数百km程度の中規模渦は、物理だけでなく、化学・生態系としても複雑かつ興味深い特性を持つことが知られています。

    今回、特に生物活動が非常に活発な北海道南東沖の暖水渦に着目し、XCTD,CTDやADCPを用いてその詳細な空間構造を観測するとともに、長期的な時間変動を観測可能な溶存酸素センサー付フロート及び漂流ブイを中心付近に投入し、渦の盛衰過程を捉えることが目的です。
    観測は出航直後の6月5日~7日にかけて行われ、XCTDやADCPによる渦の断面観測を行いました。その結果、500m程度にも及ぶ暖水渦を捉えることに成功しました。その後、渦の中心付近5点においてCTDおよび採水観測を行うとともに、溶存酸素センサー付フロート9本、漂流ブイ3台を投入しました。
    今後詳細な解析によって、暖水渦内での物理と生態系変動との関連や、その微細構造の解明が進められます。

    図1:2012年5月31日におけるAVISO海面高度偏差図です。日本周辺にはたくさんの渦が存在することがわかります。MR12-02におけるINBOXのターゲットは赤丸の暖水渦です。
    図1:2012年5月31日におけるAVISO海面高度偏差図です。
    日本周辺にはたくさんの渦が存在することがわかります。MR12-02におけるINBOXのターゲットは赤丸の暖水渦です。
    図2:ADCPによる海面から600mの流速断面図です。上2枚のパネルはそれぞれ東西、南北方向の流速分布図で、それぞれの図で暖色系が東、北向き、寒色系が西、南向きを意味します。147E付近を中心にして正反対の流向を示していることから、高気圧性渦が存在することが認められ、その流速は0.5m/sを超えています。この断面上でCTD・採水観測およびフロート・漂流ブイ投入が行われました。
    図2:ADCPによる海面から600mの流速断面図です。
     上2枚のパネルはそれぞれ東西、南北方向の流速分布図で、それぞれの図で暖色系が東、北向き、寒色系が西、南向きを意味します。147E付近を中心にして正反対の流向を示していることから、高気圧性渦が存在することが認められ、その流速は0.5m/sを超えています。この断面上でCTD・採水観測およびフロート・漂流ブイ投入が行われました。
    図3:XCTD31点観測による1000mまでの水温断面図です。観測は渦周辺部で行われましたが、中心付近では周辺と比べて高温化しており、暖水渦であることが認められます。
    図3:XCTD31点観測による1000mまでの水温断面図です。
    観測は渦周辺部で行われましたが、中心付近では周辺と比べて高温化しており、暖水渦であることが認められます。

2012年6月8日 大時化の中、K2へ向けて航走中 the day2

船内時間=日本時間+1時間
  • 7:00
    北緯41-41度、東経151-40度
    気温7.8度、水温12.6度、塩分34.2
    気圧995hPa、波高5m、風速22m/sec。
    あいかわらずの時化の中、K2へ向けて航走中

    K2到着は予定より24時間程度遅れそう(6月10日 朝?)。K2での観測スケジュールの変更案作成・配布。
  • 10:00 BGC係留系回収・設置作業打ち合わせ
    作業手順、保管場所、人員配置等について再確認。
  • 11:30 採泥作業安全教育
  • 先日実施された渦観測担当者より観測速報を入手。
    観測された流向流速や水温から、対象としていた北海道南島沖中規模暖水渦の断面観測に成功した模様。
    (詳しくは、【号外】MR12-02 INBOX(北西太平洋物理・生物地球化学統合海洋観測実験)速報!を参照)
    今後、詳細な海洋物理構造と栄養塩濃度、および植物プランクトン現存量と比較して、渦と海洋生物生産の関係を明らかにする予定とのことである。

  • 午後 漂流トラップ組み立て。
    第一ブイ格納庫内とはいえ、気温は10度程度。防寒着を着て作業。
    傍らでは係留系用切離装置作動試験。
    船員さんはワイヤー端末加工作業中。”スパイキー”片手に強靭な素線を編んで(”さして”)アイを製作。見事な手さばきにしばし見惚れる。
  • 16:30 BGC係留系作業安全教育
  • 20:00 決起集会
    陸上の匿名希望者からリアルタイムで陸から日本vsヨルダンの試合報告が届く。
    船上の集会参加者はそのたびに大盛り上がり。6-0で日本勝利。やっぱりホンダ。
  • 22:00 時刻改正
    船内時間を1時間前進(船内時間=日本時間+2時間)。
  • 気圧1000hPa、波高4m、風速20m/sec。回復傾向。
    Navigation Data plotの時系列表紙からも気圧が上昇し、波高が低下しつづけている様子がわかる。
    明後日の観測スケジュールは明日の走り次第。
係留系作業打ち合わせ
係留系作業打ち合わせ
漂流トラップ組み立て
漂流トラップ組み立て
赤の◆が、2012年6月8日23:00時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月8日23:00時点の「みらい」の位置。
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2012年6月7日 大時化の中、K2へ向けて航走中

  • 6:00 激しい船体動揺、船窓をたたく波しぶき音、吠える風音、転がる一升瓶音で目が覚める。
    北緯41-01度、東経149-50度。気温10度、水温8度
    気圧987hPa!波高6m!風速30m/sec!いわゆる大時化。
    船速 5knot。K2到着は大幅に遅れる模様。
  • 9:00 大揺れの中、小会議室にて採泥に関する打ち合わせ。
    研究者1名、船酔いで欠席。
    採泥担当はMWJサーヤ嬢。採泥地点、コア本数、サンプルの処理方法(スライス厚、含水率・密度測定)、作業体制、保存方法、データ・サンプル管理方法などなど。実に細かい打ち合わせは1時間に及ぶ。
    結果、研究者1名新たに脱落。
    そんな中、実験室ではMWJが黙々と(淡々と)昨日のサンプルの全炭酸、栄養塩、塩分測定中。さすがプロである。
  • 10:45
    北緯41-08度、東経150-02度
    気圧980hPa!波高8.5m!風速35m/sec!温低勢力未だ上昇中。窓を突き破るぐらい激しい波しぶき。
    船速 2knot!K2に着くのはいつ?
    (居室でのデスクワークは困難な状態。とりあえす洗濯。昔は時化で船体動揺が激しいと乾燥機がすぐに止まったものだが、今は大丈夫)

    昼食時 波高は10m強。無重力と2Gぐらいの重力を体感。
    比較的揺れない食堂についつい長居。昼食後に部屋に帰ると椅子が倒れ、机の書類が床に散乱。
  • 午後 昨日は漂流トラップの組み立てを考えていたが、ムリ。
    居室で読書。ただし船体動揺激しく集中できず、集中した途端すぐに居眠り。
  • 15:00 海況変わらず。
  • 17:00 「となりのトトロ」の音楽。(この音楽が食事の時間を知らせる合図)
    もう夕食か。でも食欲ないし(しかしほぼ完食)。
  • 夜「はじめチャンネル」開局。記念すべき第一回プログラムは「キャンディーズ解散コンサート」。ランちゃんか?スーちゃんか?ミキちゃんか?船長との熱いバトル再開(MR11-03観測航海ブログ参照
  • 22:00 時刻改正
    船内時間を1時間前進(船内時間=日本時間+1時間)。
    現状ではK2の日出時刻が日本時間で2:30頃であるため、明日も1時間前進させ、船内での日出時刻をせめて4:30頃にするため。
  • 22:00改め23:00
    波高7m、風速23m/sec、気圧987hPa。少し回復傾向。船速も6-8knotへ。
昨日までの穏やかさが一変して、大時化に(波高9メートル)
昨日までの穏やかさが一変して、
大時化に(波高9メートル)
さすがプロ!大揺れの船内でもしっかりと塩分検定の作業をする乗組員。
さすがプロ!大揺れの船内でもしっかりと塩分検定の作業をする乗組員。
赤の◆が、2012年6月7日20:00時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月7日20:00時点の「みらい」の位置。
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2012年6月6日 中規模暖水渦観測(Argo祭り)

  • 4:00 Stn. E5(41-18N/146-10E)
    ●採水(2000m)
    ●Argoフロート(APEX×1)投入

    6:00 採水器ondeck。配水2回目。
    フォーメーションは4-2-6 (酸素:U, M, F, I、ビン振り:S(久しぶりの代表復帰), K、その他配水:N, S, S, T, M, K)。ベテラン、新人、女性をバランス良く起用。W班長の見事な采配。選手層は厚く控えも充実(最初だけ……?)。
  • 7:30 Stn. E4(41-13N/146-30E)
    ●採水(2000m)

    配水前 デッキ上では太陽グラス越しに太陽を仰ぎ見る乗船者。
    「金星の太陽面通過」進行中。次は105年後?!グラスを借りて自分も観察。
    「11時の方向にある点だね?!」
    「いや、9時の方向ですよ」
    そういわれれば何となく……
    (「どっち開いてますか?」「上?いや左、かな?やっぱり右です?」……..裸眼視力0.7の自分にはちょっこしキビシイ)

    9:00 デッキ上では多段式大型プランクトンネットIONESSの組み立て作業。
    新人を中心に多くの乗船者が参加。
    必然的に配水が手薄状態、突然のご指名。心の準備ができておらず、ボトルに気泡が入ったり、取り忘れたり、と散々なスタート。

    ●Argoフロート(APEX×2)投入
  • 11:00 Stn. E3(41-07N/146-50E)
    ●採水(2000m)

    12:30 ゾンデ放球(JAXA GOSATデータ補正用)。
    採水中で船の向きが変えられないため手放球、したらしい。5分前に現場に行ったら既に放球済。同時刻に集まってきたマニアはガッカリ。時間厳守するよう、ファンを大切にするよう厳重注意(笑)。

    ●Argoフロート(APEX×1、APEX3830×1)、漂流ブイ×3投入
    ●配水後、デッキ上で漂流系策の確認作業。今回は最深500mでも沈降粒子を捕集する予定。
  • 14:30 Stn. E2(41-02N/147-10E)
    ●採水(2000m)
    ●Argoフロート(APEX×2)投入

    16:30 渦観測終了。
    K2へ向けて航走開始(航走時間 約50時間)。
    一連の採水、IONESS組み立て・漂流系策準備作業で、既に全員顔見知り。このチームワークでK2観測へ突入。
    ただし台風3号と並走になりそう。明日からは荒天が予想される。「移動物の固縛を」との船内放送あり。

    17:00 エアロゾルフィルター交換。
  • 夜 サッカーワールドカップ最終予選に匹敵する国民的関心事(?)「AKB総選挙」の結果が船内メールに流れる。
  • 23:00 ジム&サウナ終了後、娯楽室での若者の飲み会に乱入。
    「先生はオレの考えがわかっていない」「この研究成果がでれば「Nature」は固いっす」若者は熱い。Boys, be ambitious!
金星の太陽面通過、洋上より観察中!
金星の太陽面通過、洋上より観察中!
漂流ブイ
漂流ブイ
赤の◆が、2012年6月6日21:00時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月6日21:00時点の「みらい」の位置。
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2012年6月5日 中規模暖水渦観測(Argo祭り)

  • 7:00 ブリッジから呼び出し。
    予定針路付近(西側)に漁網があると近くの漁船から通報あり。研究担当者、船側と相談の結果、針路を東向に変更しXCTD観測/Argo祭りを継続。
    断面観測が中断されるのは残念だが、Argoフロートが捕獲されたり、採水器やプロペラに漁網が絡むのだけは避けたい。
  • 8:00 北緯40-42度 東経146-40度 気温13.5度 水温12.4度 気圧1014hPa
    天気晴れ 波高1.2m 海は穏やか
  • 9:00 採水練習
    MWJの指導の下、初心者、初級者、再教育者が練習。本番の採水にはできるだけ多くの人に参加してもらい、協力して精度の高い共有データ(ルーチンデータ)を取得することが目的。
    一方、採水は居室・実験室に閉じこもりがちな日常における”社交場”でもある。
    甲板では各種水槽の設営。実験室では酸素、栄養塩分析班が機器の立ち上げ・作動確認。自分は現場濾過器の電池交換補助。
    いよいよ観測が始まる。
  • ブリッジ情報によると周囲には漁船が多いとのこと。
    更なる針路変更、Argo投入・CTD採水点変更の可能性大。渦は良い漁場?
  • 午後 XCTD祭り継続中。それぞれの部署で観測準備や打ち合わせ。自分はK2での観測スケジュールの検討。
  • 15:30 XCTD祭り終了。最初のArgo地点(E1)へ向けて移動開始。
  • 18:45 Stn.E1(40°42'N, 147°45'E)
    採水器投入。2000mまでの採水。
  • 20:30 採水器ondeck。
    配水中にArgoフロート(APEX×1、NEMO×1)投入
  • 21:20 配水終了。
    周辺は漁船が多く、網の位置も定かではない。よって観測は明るくなってから、ということになり、stn. E5(XCTD観測スタート付近)へ移動。
    明朝、日出(4:00)とともにArgo祭り/CTD採水を再開する予定。
採水練習のようす
採水練習のようす
アルゴフロート
アルゴフロート。
水深2,000mから海面までの間を自動的に浮き沈みして 水温・塩分等を測定することができる観測機器。
「Argo計画」についてはこちらから!
赤の◆が、2012年6月5日21:00時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月5日21:00時点の「みらい」の位置。
(図をクリックすると拡大します)

2012年6月4日 むつ関根浜出港

  • 9:00 出港。周囲は霧。40日の長い航海開始。
  • 10:30 船内生活ブリーフィング
    本航海から喫煙場所は旧コピー室に作られた喫煙ルームと第一ブイ格納庫のみ。居室は全室禁煙。”スモークフリー”でヨカッタ…。
  • 13:15 避難訓練
    海はベタ凪。ただし濃霧(視程50m?!)
  • 15:00 乗船者会議
    自己紹介の後、観測内容について情報共有、質疑応答。今回の特徴は
    ○多くの係留系作業
    ○渦観測
    ○放射能調査
    といったところか?!

    台風3号は数日後には温帯低気圧に変わるとのこと。ただしその進路・速度が問題。
  • 16:45 金比羅(安全祈願)
  • 24:30 中規模暖水渦観測開始(JKEO-INBOX観測:通称 Argo祭り、むしろXCTD祭り)
    北緯41-30度、東経145-30度
    まずは渦の様子を概査するため渦を横断、XCTDを5mile毎(約30分おき)に投入。約14時間の連続観測。「ガンバリマス!」とGODIマリンテクニシャンO嬢。
    一回目の成功を見届けて就寝。
お見送りありがとうございました!
お見送りありがとうございました!
いよいよ観測航海のスタート。
いよいよ観測航海のスタート。
赤の◆が、2012年6月4日21:00時点の「みらい」の位置。(赤い線が予定航路、青い線が実際の航路)
赤のが、2012年6月4日21:00時点の「みらい」の位置。
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2012年6月3日 出港1日前 むつ関根浜

出港前準備
  • 天気:曇り。日中最高気温17度。肌寒い。
  • 午前中 買い出し。
    お酒、それに娘が見たらウラヤマシがるであろう大量のお菓子、おつまみを”大人買い”。
  • 午後 船側、乗船代表者と緊急ミーティング。
    予想以上に日本に近接しているので中規模暖水渦の観測を最初にすることに決定。一方、現在台風3号が接近中。いつどこでどのような影響があるか?
  • 研究室、居室の出航前準備。主席部屋には新たにプリンタが配備。
    これは便利、と思いきや船上にはMac用のプリンタドライバがない、と言われ、あわてて陸上でダウンロード。
  • 夕方 むつ研究所食堂にて陸での最後の夕食。その後、食堂にてW杯最終予選 日本VSオマーン戦を観戦。3-0で快勝。やっぱホンダは頼もしい。
出港前夜の海洋地球研究船「みらい」(むつ関根浜にて)

出港前夜の海洋地球研究船「みらい」
(むつ関根浜にて)