国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和裕幸、以下「JAMSTEC」)は、令和6年能登半島地震を踏まえ、令和7年1月7日よりJAMSTECが所有する学術研究船「白鳳丸」(写真1)を用いた調査航海を行いますのでお知らせいたします。
本調査航海は、令和6年1月及び2月において二度にわたり実施した「白鳳丸」緊急調査航海により設置・回収した海底地震計※1 の暫定的な解析結果(参考4) から、能登半島北東沖で本震とは異なるメカニズムの地震が発生していることが明らかになったこと等を踏まえ、令和6年6月に実施した第四次調査航海、9月上旬に実施した第五次調査航海及び9月下旬に実施した第六次調査航海に引き続き実施するものです。
本調査航海では、第六次調査航海までに設置した海底地震計及び海底電位磁力計※2 を回収するとともに、津波を引き起こしたと考えられる断層の詳細な実態を把握するための海底下構造探査※3 を実施します。
得られたデータを詳細に分析し、今回の地震を起こした地震断層の実態や地震・津波の発生メカニズムを明らかにするとともに、地震活動の推移の把握等を目指します。調査結果は、地震調査研究推進本部地震調査委員会等に随時報告するとともにJAMSTECホームページ等において公表予定です。
本調査航海は、令和6年4月23日に閣議決定された令和6年度一般会計予備費により実施いたします。
記
海底地震計(OBS: Ocean Bottom Seismograph)
船舶により海底に設置し、耐圧容器に内蔵したセンサーにより数か月から1年程度地震波を観測し、レコーダーによりデータを蓄えることができる。音響通信により錘を切り離し、自己浮上したところを船舶により回収する。
海底電位磁力計(OBEM: Ocean Bottom Electromagnetometer)
海底地震計と同様、船舶により海底に設置し、一定期間磁場及び電場を測定する。取得した磁場及び電場データから海底下の電気の流れやすさを可視化し、流体の分布を把握することができる。
海底下構造探査
本調査航海では反射法地震探査を行う。反射法地震探査は、船舶から曳航したエアガンにより発震した弾性波が堆積層や地殻内で反射して、再び海中へ戻ってきた反射波を船舶から曳航している受振器(ハイドロフォン)を内蔵したストリーマーケーブルで捉える手法であり、解析によって海底下の堆積層や地殻内の反射面をイメージングし、それらの形状や断層の分布などを得る。得られたデータを詳細に解析することにより、地震断層に関連した構造の把握を目指す。