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JAMSTECニュース

Shell Ocean Discovery XPRIZEへの挑戦
~超広域高速海底マッピングに関する共同研究(Team KUROSHIO)の始動~

2017年2月17日
国立研究開発法人海洋研究開発機構
国立大学法人東京大学
国立大学法人九州工業大学
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
三井造船株式会社
日本海洋事業株式会社
株式会社KDDI総合研究所

【概要】
国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下「JAMSTEC」)、国立大学法人東京大学・生産技術研究所(以下「東大生産研」)、国立大学法人九州工業大学(以下「九工大」)、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所(以下「海技研」)、三井造船株式会社(以下「三井造船」)、日本海洋事業株式会社(以下「日海事」)及び株式会社KDDI総合研究所(以下「KDDI総合研究所」)は、超広域高速海底マッピングをミッションとする共同研究チーム“Team KUROSHIO”(注1)を結成し、同内容についての技術を競う国際コンペティション「Shell Ocean Discovery XPRIZE」(以下「XPRIZE」、注2別紙1)における技術提案書審査を通過(平成29年2月8日)、平成29年9月頃に開催される実海域試験Round 1へ進出することになりました。

Round1進出チームは、XPRIZEホームページに2月16日付けで掲載されました。

【背景・目的】
近年、海底油田開発の事前調査や、通信用商用海底ケーブルの敷設前調査等など、海底を広域で、高速かつ安価に調査したいというニーズが民間企業を中心として世界規模で高まっています。このような中、石油業界大手のRoyal Dutch Shellが主たるスポンサーとなり、無人での超広域・超高速の海底マッピングをミッションとする総額700万ドルの国際コンペティションXPRIZEを開催することが告知されました。これは、高額な投資をしてでも新たな技術を必要とするという民間企業からの強いニーズの表れであると考えます。

このニーズに応えるため、我々は互いの深海調査技術の強みを結集し、新たな研究開発を行う共同研究チームTeam KUROSHIOを結成いたしました。このTeam KUROSHIOは、XPRIZEの第1関門である「技術提案書審査」について技術提案書を昨年12月に提出し、平成29年2月8日に審査を通過し第2の関門である「実海域試験Round1」へと進出することになりました。Round1には、世界各国から21チームが進出。Team KUROSHIOは、Round1に進出する唯一の日本チームとして、この困難な課題をクリアすべく全力で邁進する所存です。

Team KUROSHIOはXPRIZEから提示されたこの困難な課題に挑むことを好機と捉え、関係機関・企業と協働して、世界に向けて日本の海洋調査の技術力を発信するとともに、新たな海洋調査コミュニティを創出し、既存市場の活性化と新規市場の開拓に貢献することを目指します。

【用語解説】
注1:Team KUROSHIO
JAMSTEC 中谷 武志・大木 健、東大生産研 ソーントン ブレア、九工大 西田 祐也が発起人となり結成。東大生産研、JAMSTEC、九工大、海技研、三井造船、日海事及びKDDI総合研究所の7機関の若手を中心としたメンバーにより構成。平成29年2月1日に7機関による共同研究契約を締結し、現在Round1突破に向け、要素技術開発等を実施中。

【参考】
  Team KUROSHIO HP
  Team KUROSHIO Twitter
  Team KUROSHIO Facebook

注2:XPRIZE
1995年に設立された米国の非営利組織である「XPRIZE財団」によって運営され、世界の大きな課題を解決することを目的とした世界コンペティション。「学習」「探査」「エネルギーと環境」「世界規模の開発」「生命科学」の5分野をテーマとする。最近では、民間による最初の月面無人探査を競う「Google Lunar XPRIZE」が話題となっている。

【ご支援のお願い/お問い合わせ】
“Team KUROSHIO”では、チームの活動をご支援いただける企業・団体・個人を募集しています。
ご関心のある方は、下記までご連絡ください。

お問い合わせ先
国立研究開発法人海洋研究開発機構 海洋工学センター・Team KUROSHIO共同代表
技術研究員 中谷 武志
Eメール:tnakatani(at)jamstec.go.jp

東京大学生産技術研究所・Team KUROSHIO共同代表
准教授 ソーントン・ブレア
Eメール:blair(at)iis.u-tokyo.ac.jp

別紙1

【Shell Ocean Discovery XPRIZEについて】
〇課題 
超広範囲(100km2以上)の海底マッピング(解像度:水平5m, 垂直50cm以上)の実現

〇ルール
・支援母船を用いない等、海域に人が立ち入らない(海域へのロボットの展開・回収含む)
・機材の持込みは40feetコンテナ1つまで
・調査後48時間以内での海底地形図の作成および提出

〇賞金総額
・700万ドル

〇コンペティション内容
Shell Ocean Discovery XPRIZE では下記2つの試験で海底マッピング技術を競います。
①実海域試験Round1(平成29年9月開催)
水深2,000mで 16時間以内に最低100km2以上の海底マップ構築、海底ターゲットの写真撮影(5枚)
②実海域試験Round2(平成30年9月開催)
水深 4,000mで24時間以内に最低250km2以上の海底マップ構築、海底ターゲットの写真撮影(10枚)

〇XPRIZEのスケジュールについて
Shell Ocean Discovery XPRIZEはおよそ3年間にわたるコンペティションです(図参照)。この中で、技術提案書審査、実海域試験Round1、実海域試験Round2という大きく3つの関門があります。技術提案書審査を突破し、現在はRound1突破に向けて機器の運用技術及び信頼性を向上するための要素技術開発等を行っています。


〇参考:Shell Ocean Discovery XPRIZE HP
http://oceandiscovery.xprize.org/