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JAMSTECとNTTが「広域大気海洋観測」の高度化に向けた共同研究を開始

2022年9月26日

国立研究開発法人海洋研究開発機構(本部:神奈川県横須賀市、理事長:大和 裕幸、以下「JAMSTEC」)と日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、共同研究契約「超広域大気海洋観測に関する研究」を締結しました。
今後、実証実験などを通じて、気候変動や極端現象の理解に貢献する「超広域大気海洋観測技術」の研究開発を推進してまいります。

1.背景

気候変動現象の顕在化に伴い、環境変化を捉えた観測データを取得する社会的ニーズは増大しています。観測データの充実や解析のためには、広大な海域における常時、リアルタイム観測が必要です。JAMSTECでは、海洋地球研究船「みらい」や海洋観測ブイなどによる大気海洋観測データの収集が進められていましたが、より多くのデータを取得するためには様々な技術的課題がありました。特に、海洋での通信に関しては、データ量、消費電力など様々な課題があり、これら技術的課題の解決に向けた研究開発を推進する必要があると考えています。
JAMSTECは大規模な通信事業を保有するNTTとの共同研究を推進することで、「大気海洋観測」の高度化に向けた技術的な課題解決に取り組みます。観測空白域となっている海域を含めた観測データの充実化を図るとともに、観測したデータをNTTと共有することで、地球環境の理解、再生・保全に貢献していきます。

2.共同研究の概要

JAMSTECの持つ「海洋科学技術」と、NTTが持つ「情報通信技術」の連携により、「大気海洋観測」の高度化による「超広域大気海洋観測技術」を推進してまいります。
気候変動に伴う極端現象が増大するなか、リアルタイムな観測データを充実させることで、現象の解明などに貢献してまいります。

<主な共同研究内容>

  • 海洋地球研究船「みらい」による太平洋での大気海洋観測
  • 衛星通信ユニット及び観測機器によるリアルタイムセンシング技術の技術開発
  • NTTが実施する地球環境シミュレーションへの観測データの利用
  • 大気海洋観測における観測機器の技術検討
  • 大気海洋観測における衛星通信などの通信技術の検証

<JAMSTECの役割>

  • 熱帯西太平洋での観測機会の共有
  • 観測オペレーション
  • 海洋観測での通信課題の共有 など

<NTTの役割>

  • 衛星IoT観測試作機開発
  • LPWA通信ユニット開発
  • ゾンデ型送受信装置開発 など

これらの共同研究を通じ、西太平洋熱帯域での大気海洋観測を実証し、観測データを収集するとともに「超広域大気海洋観測プラットフォーム」に関する技術課題を抽出し、有用性などを検証します。

3.今後の展開

NTTが実施する 「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」事業でのサービス利用を想定し、低軌道衛星や高高度に浮かぶHAPS(High Altitude Platform Station)などとの通信に適したセンシングシステムを開発することで、現在よりも広範囲かつリアルタイムな観測を可能とし、気象や環境に関する観測データを収集する「超広域大気海洋観測プラットフォーム」の実現に向けた検討を進めます。
また、収集された観測データの活用先を開拓し、観測データの有用性を実証するとともに、幅広い分野からのニーズに対応できる観測プラットフォームの研究開発を推進します。
本共同研究では、気候変動に関するデータを幅広く収集し、大気海洋観測技術の発展に貢献していきたいと考えております。