2009年3月17日
海洋地球研究船「みらい」観測士:中林 秋司
船内で一番楽しみなのが、食事です。「みらい」には、世界中から研究者が乗船します。日本料理だけでなく、乗船研究者の出身国を考慮した料理もテーブルに並び、メニューは豊富です。観測作業の内容によって、その日の献立も変わります。寒い、暑いだけでなく、力仕事が続く場合には、スタミナのつく料理が出されます。「SORA2009」のように長い航海で寄る港が少ないと、新鮮な野菜や果物の補給が難しくなります。新鮮さを長持ちさせる工夫と多様な料理の組合せで、長期の航海が行われていることを感じさせません。こうした船内の食事を担当するのが、船内組織の中の事務部です。
「みらい」の事務部は、事務長を兼務する観測士の下に、司厨長(チーフスチワード:船内ではチューシチョウと呼びます)、次席司厨長(セコンドスチワード:船内ではセコンドあるいはサロンと呼びます)、料理長(チーフコック:船内ではおやじさんと呼びます)、副料理長(セコンドコック:船内ではセケンと呼びます)、そして、司厨部員(コック)の5名です。研究者が多く乗船し、乗組員を含め乗船者が60名を超えると司厨部員(コック)が1名増員されます。「SORA2009」では、「みらい」最大搭載人員である80名いっぱいの乗船者がいますので、事務部員は計6名となります。事務部員は、料理を作るだけでなく、船内の居室・公室や風呂、トイレ等の清掃、食料金の管理、入出港手続きのアテンド等、船内の庶務も担当しています。
写真:大田仁志司厨長 石川県出身、二男一女の厳しい父、日本船員厚生協会の会館支配人の経験を有し、「みらい」の母港むつ市で開催された「みらい料理教室」の主任講師を務めました。
写真(左):浜邊竜弥次席司厨長 長崎県出身、二男の優しいお父さん、長い海外勤務の経験があり、外国の研究者からの料理に関する質問に答える役を担っています。大田司厨長と一緒に「みらい料理教室」の講師を務めました。
写真(右):細矢政雄司厨部員 群馬県出身、一男一女の頼もしいお父さん、海上自衛隊航空基地隊で約2,000食を提供する調理任務に就いた経験で、「みらい」乗船者80食を難なくこなします。
写真(左):杉本喜敏料理長 長崎県出身、一男二女の寡黙で温厚な父、前の会社日本郵船では、船員の代表として海上労働の改善を担う職場に勤務した経験があります。大田司厨長が休暇中は、彼に代わり司厨長の職を執ります。
写真(右):佐々木渡司厨部員 一男一女の実直なおやじ、多くの調査船での調理経験が豊富です。
写真:上村功三副料理長 鹿児島県出身、二男二女の優しいパパ、都内老舗ホテルでの経験と大型外洋客船のシェフを長く務め、杉本料理長と交代で料理長の職を執ります。
今日の献立は、外国の研究者に人気のある「みらい」オリジナルドライカレーです。スプーンを用意していますが、外国の研究者は箸で召し上がっています。ドライカレーの料理方法を「みらい」の母港むつ市で開催した料理教室で、多くのむつ市民の皆さんに紹介しました。料理方法はむつ研究所ホームページで知ることが出来ます。