トップページ > JAMSTECニュース > 海洋地球研究船「みらい」大航海 SORA2009

海洋地球研究船「みらい」大航海

乗船研究員・船長のご紹介

「SORA2009」大航海を終えて

海洋地球研究船「みらい」船長 赤嶺 正治



2009年7月3日、海洋地球研究船「みらい」は、梅雨晴れの夏の日差しが強く感じられる日本に、海洋観測史上に残る多くの貴重な研究成果を満載して無事に帰港しました。 「みらい」が母港むつ市関根浜を出港したのは、岸壁一面が降雪で真っ白に覆われた真冬の1月15日でした。それから、実に169日という長い航海が行われました。この間に航海した距離は、30,192マイル(55,915キロメートル、地球1周半相当)にも及び、「みらい」が6年前に世界記録を作った単一船での南半球一周観測航海を上回るものでした。 この大航海は、「SORA2009」と名付けられ、水系、地質、大気、生物、物理と、あらゆる分野の各国の研究者が乗船し、総合的な観測が行われました。
昔から荒れる海として船乗りに恐れられている南緯40度以南での観測、世界三大フィヨルドのひとつである南米チリのフィヨルド内観測、そして、「みらい」がこれまで行ったことのないドレッジ(海底岩石採取)観測等、「みらい」にとって、その高いパフォーマンスが問われる航海でもありました。


先ず、この「SORA2009」の大航海を事故なしに無事に終えることができた今、「みらい」の安全運航を預かる船長として、此の上も無い喜びと安堵を感じています。 各国の乗船研究者からは、これまで得られなかった試料が「みらい」によって初めて採取できたと、その喜びとともに「みらい」の高いパフォーマンスを称賛する声を多く聞くことができました。 今回得られた貴重な観測データは、分析などが行われ、乗船研究者によって研究成果として発表されるでしょう。それは、新しい地球の1ページを飾るかも知れません。楽しみです。

今回の「SORA2009」大航海の様子は、JAMSTECホームページで紹介されました。長い間、このホームページを通じ「みらい」を応援してくださった読者の皆様に心から感謝申し上げます。
「みらい」は、地球温暖化で代表される地球環境変動のメカニズム解明、予測という大きな使命を持っています。最近、北極海氷の激減や氷河の減少、海水温の上昇、ゲリラ豪雨などの異常気象、等など、地球の温暖化の影響ではないかと思われる事象が起きており、「みらい」の役割は、一層高まっています。
「みらい」が大きな、そして、重要な使命を持って、世界の海の何処かで、活動していることを知っていただき、引き続き応援をお願いしたいと思います。