ポスト「京」の膨大な計算機資源を用いることにより、細かいスケールの雨や台風の動きや構造など、これまで「計算機の中の地球」では見えなかったものを見えるようにすることが我々の目標です。またこの膨大な計算機資源は「今よりもっと細かく複雑な構造を理解する」だけではなく、「もっと複雑なやり取りを扱えるようにする」ことにも使えますが、そのもっとも端的な例がPM2.5をはじめとするエアロゾルです。数年前に非常に高濃度のPM2.5が中国で観測されたと報道されましたのでご存じの方も多いと思いますが、PM2.5というのは窒素酸化物のような特定の化学種のことではなく、大気中を漂う多種多様な微小粒子のうち、大きさが2.5マイクロメートル以下のものを総称したものです。本サブ課題の研究課題では、例えば“すす”に含まれる黒色炭素粒子と工場の排煙に含まれる硫酸エアロゾルなど、地球温暖化への効き方や環境・健康への影響などが全く異なる物質が、大気中をどう運ばれ、どう変化していくのか、そして人間活動とそれら大気汚染物質とがどう関係しているのかについて、いまよりもより細かく取り扱えるようにするだけでなく、大気汚染に関する多種多様な観測データを上手く取り込めるようにすることを考えています。
全球化学輸送モデルNICAM-TMを用いたCO2の大気輸送シミュレーション結果。
単位は ppm。東アジア周辺を高解像度(およそ14km間隔)にした、不等間隔格子を使用。
全球化学輸送モデルNICAM-TMを用いて推定されたエアロゾルの光学的厚さ。
値が大きいほど、エアロゾルによる放射的影響 (太陽放射や地表輻射による大気および地表への影響) が大きいことを意味する。黄砂やブラックカーボンなど様々な種類のエアロゾルによる影響を合計したもの。