コーラルガーデン

2013/04/30

舩窪 舞(海洋研究開発機構 広報課)

リオグランデ海膨に戻って参りました。本日潜航いたします。
潜航者はバリドイタジャイ大学(UNIVALI)のエンジェルさん。


写真1:「しんかい6500」の耐圧殻内に乗り込むエンジェルさん。

ブラジル側の首席研究者として乗船していますが、プレッシャーはないかとの質問に、「全くない。我々は毎日同じテーブルで議論を重ねてきた。ブラジルチーム・日本チームという認識はもはやなく、一つのチームだと思っているのでブラジル代表としてのプレッシャーなどない。」一同感動。

「ブラジルはここ10年で深海研究に力を注ぎつつあり、南大西洋の海洋調査におけるイニシアチブを取るチャンスでもある。経済情勢も良好で、開発の機運が高まってきている中で、日本との共同による本航海は非常にタイムリーで重要なきっかけとなると思っている。」と航海の熱意と期待を語っていただきました。

研究面では、ブラジル沖とは言っても1000キロほど離れていて、簡単には観測出来ないこの海域において、生物多様性の研究はブラジル側研究者にとっても大変興味深いテーマです。この海域の生物群集が、南米縁辺海域に近いのか、むしろより遠い大西洋中央海嶺に類似するのか、さらに、北大西洋や南極の生物とのつながりはあるのかなど、東西そして南北方向への生物の広がりについて研究が進められます。
さらには今後深海を含めた海底資源の開発などをにらんで、地質学や、生物資源保護の観点からも、初めて目にする海底の様子や、飛躍的に解像度の高い映像情報などを取得することによって知見が広がるのではないかと期待しているそうです。

本日の潜航ポイントはコーラルガーデンという素敵な名前が付いています。
これまでの調査でサンゴが生息していることが分かっていますが、テレビカメラ付き採泥器によるあまり鮮明ではない写真や船から海底を引きずってサンプリングするドレッジでの調査のみでした。実際どのような光景が広がっているのか、船上でモニターを見ている私たちにも楽しみな潜航調査です。

着底した場所は砂地、水深が浅くなるに従って岩が露出し、サンゴが次第に増えていきます。まさしく深海サンゴ庭園の様子を呈しており、これまでの潜航の中で一番多くの生物が見られる潜航となりました。


写真2:生物サンプル1 オオエンコウガニの仲間と深海サンゴ


写真3:生物サンプル2 深海サンゴに住むヤドカリの仲間


写真4:生物サンプル3 フクロウニの仲間と思われる。