世界で2番目に深いトンガ海溝ホライゾン海淵へ!

2013/10/11

(海洋研究開発機構 研究支援部)

今航海の前半は超深海の調査であることもあり、投げ込み式「ランダー」を使用した調査です。今日は、採泥カメラシステムランダーを用いて、世界で2番目に深いトンガ海溝ホライゾン海淵へ

にわかには想像できない水深10,000mの世界。どのような海底の景観が広がっており、どのような生物がいるのでしょうか?今回はその世界を映像で記録しようとビデオカメラで撮影をすることにしました。また、脚にアシュラという柱状採泥器をつけて、海底の泥を乱さずに採取しようとします。その他にも、CTD(電気伝導度(塩分)・水温・圧力(水深)を測る装置)、二スキン採水器、エサトラップなど、水深10,000mの世界を知るためのさまざまな装置をつけています。ただし上手くいったかどうかは、「ランダー」を船にあげて確認してみないとわかりません。もし、撮影やさまざまな採取がうまくいけば、トンガ海溝ホライゾン海淵の生物や環境の理解が大幅に進みます。とくに、ハイビジョン撮影に成功すれば、世界で初めて、トンガ海溝の海底を見ることになります。何が見えるのか、楽しみです。


写真1:あいにくの雨ですが、作業は続きます

超深海に装置を下ろすときの楽しみは、装置に発泡スチロールのカップを付けて水圧で縮めることです。今回この「ランダー」には、弘前大学の学生さん達が各々メッセージを書いた発泡スチロールのカップをつけました。もちろん、観測の邪魔にならないところにつけています。今航海に乗船しているJAMSTECの谷さんが、ご自身の前航海で弘前大学の学生さん達と乗船しており、その際に「かいこう7000U」にこの発砲スチロールのカップをつけて、水深約2,300mまで持っていく予定だったのですが、海況が悪くできなったので、「今回リベンジさせてほしい」とホライゾン海淵へ持って行くことになりました。


写真2:調査の邪魔にならないように発泡スチロールのカップをくくりつけます

水圧実験などで潰れたカップを見ている方は多いかもしれませんが、さすがに10,000mの水圧で潰れたものはなかなか見ないのではないでしょうか?結果は………こんなになりました!


写真3:(上)水深10,000mまでいったカップたち(下)原寸比較

かなり小さくなってしまいました。水深10,000mの水圧は、親指の先に乗用車1台が乗るぐらいの重さです。そんな水圧が全体に、均一にかかるわけですから、こんなに小さくもなりますよね。
想像もできない水深10,000mの世界、いつかは自分の目で見てみたいですね。