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地震津波予測研究開発センター

海底地殻変動の連続モニタリングを行い、
地震・津波の予測につなげる

マグニチュード8を超える巨大地震の震源域のほとんどは海底下に広がっています。その広い海底での地殻や海水の動きをリアルタイムに観測する技術を開発するとともに、それらの観測データを最大限に活用して、巨大地震の準備から発生、発生後の地殻の変動、地震や海底地すべりなどに伴う津波など、いま起きている現象を把握しつつ、その後の動きを予測する仕組みを開発・実装することが、このセンターのミッションです。

地震津波予測研究開発センター
センター長 堀 高峰

2024/03/28
日本地震学会で若手学術奨励賞と技術開発賞を受賞
2023/12/25
特任研究員 (CGS23-010) 公募について
2023/11/02
南海トラフにおけるゆっくり滑り観測
2023/11/02
南海トラフ広域ゆっくり滑りリアルタイム観測のための地球深部探査船「ちきゅう」を用いた長期孔内観測点の構築について
2023/10/20
ポストドクトラル研究員(CGP23-008)公募について
2023/07/25
海域地震火山部門講演会 「世界の地震と火山に挑む -私たちが今みている ダイナミックアース-」(要申込)(開催日:8/20)
2023/07/13
【地震予測研究グループ】臨時研究補助員(等級3)(CGR23-005)公募について
2023/06/07
ひらめき☆ときめきサイエンス「浦戸諸島の冒険 日本三景松島を生み出した海底カルデラを探る」開催のお知らせ
2023/05/24
【地震津波モニタリング研究グループ】ポストドクトラル研究員(CGP23-004)公募について
2023/05/19
JpGU2023展示 特設サイトをオープンしました
2023/03/23
富田 史章 元JAMSTECポストドクトラル研究員らの論文が論文賞を受賞
2023/02/08
【コラム】2023年2月6日にトルコ南東部で発生した地震
2023/02/02
【地震津波モニタリング研究グループ】ポストドクトラル研究員(CGP22-005)公募について
2023/02/01
HFレーダーが沿岸の津波予測に有効であることを実証
2023/01/30
【地震予測研究グループ】臨時研究補助員(等級3)(CKR22-008)公募について
2022/12/23
海域地震火山部門講演会 「世界の地震と火山に挑む ーJAMSTECの取り組みと成果ー」を公開しました
2022/10/19
【地震予測研究グループ】副主任研究員、研究員もしくはポストドクトラル研究員(CKM22-004)公募について
2022/10/06
海域地震火山部門講演会 「世界の地震と火山に挑む ーJAMSTECの取り組みと成果ー」(要申込)(開催日:11/3)
2022/07/07
【コラム】能登地方および京都府南部の地震活動を受けて-南海トラフ地震と西南日本活動期の関係
2022/03/18
【コラム】3月16日夜に発生した福島県沖の地震
―11年も続く東北地方太平洋沖地震の影響―
2021/11/19
【地震予測研究グループ】ポストドクトラル研究員(CGP21-006)公募について
2021/10/05
【観測システム開発研究グループ】ポストドクトラル研究員(CGP21-005)公募について
2021/09/30
【観測システム開発研究グループ】研究員(CKS21-004)公募について
2021/09/06
堀高峰上席研究員、 飯沼卓史主任研究員らが取材協力した番組「NHKスペシャル 「MEGAQUAKE 巨大地震 2021~震災10年 科学はどこまで迫れたか~」が9/12(日)午後9時~NHK総合で放送されます
2021/08/27
長期孔内観測装置とDONETを活用した間隙水圧の超高感度解析手法を開発
~南海トラフのゆっくり地震は黒潮蛇行の影響を受けている可能性~
2021/08/02
鬼界カルデラ総合調査のページを公開しました
2021/06/10
【地震予測研究グループ】ポストドクトラル研究員(CGP21-003)公募について
2021/03/03
【コラム】三陸沖北部、十勝・根室沖での海底地殻変動観測の開始
~海域で将来起こりうる巨大地震を調べる~
2021/02/18
【コラム】2月13日夜に発生した福島県沖の地震
―東北地方太平洋沖地震から約10年後に発生した“余震”―
2021/01/14
第2回海域地震火山部門研究航海シンポジウム開催のご案内(令和3年度実施航海)(要申込)(開催日:2/19)
2021/01/05
【地震予測研究グループ】特任副主任研究員(CGS20-009)公募について
2020/11/05
【コラム】トルコ沿岸での地震の背景
~防災意識向上への取り組み~
2020/10/08
【地震津波モニタリング研究グループ】ポストドクトラル研究員(CGP20-003)公募について
2020/07/22
【地震予測研究グループ】臨時研究補助員(等級3)(CGR20-008)公募について
2020/07/16
「富岳」成果創出加速プログラムの課題「大規模数値シミュレーションによる地震発生から地震動・地盤増幅評価までの統合的予測システムの構築とその社会実装」のページを公開しました
2020/06/08
【地震津波モニタリング研究グループ】ポストドクトラル研究員(CGP20-003)公募について
2020/05/25
【地震津波モニタリング研究グループ】ポストドクトラル研究員(CGP20-002)公募について
2020/02/19
第1回海域地震火山部門研究航海シンポジウム開催のご案内(令和2年度実施航海)
2020/02/10
【地震予測研究グループ】特任技術主任(CGE-009)公募について
2019/11/18
【地震予測研究グループ】主任研究員もしくは主任技術研究員(CKS-006)公募について
2019/11/13
【地震予測研究グループ】研究員もしくは技術研究員(CKS-005)公募について
2019/09/27
東北沖地震後の地盤隆起の原因を解明
地震を起こした断層深部でのゆっくりとしたすべりが隆起を支配【東北大学のサイトに掲載】
2019/08/09
臨時研究補助員(等級3)(CGR-002)公募について
2019/05/16
地震津波予測研究開発センターのホームページを公開しました

海底の地殻変動を連続リアルタイムでモニタリング

地球深部探査船「ちきゅう」で建設した海底掘削孔観測点

地震・津波の予測につなげるため、南海トラフの海底地殻変動を連続リアルタイムで広域にモニタリングするシステムの開発を進めています。
JAMSTECでは、南海地震と東南海地震の震源域の海底51地点に地震計と水圧計を設置し、ケーブルで陸上と結んで連続リアルタイムで地震と津波のモニタリングを行う「地震・津波観測監視システム(DONET)」を整備してきました(現在は防災科学技術研究所に移管)。
海域での地殻変動をさらに高精度でモニタリングするためには、海底の掘削孔で測定することが効果的です。紀伊半島沖では、地球深部探査船「ちきゅう」による掘削調査を続けてきました。現在、海底下数百mの掘削孔3地点に長期孔内観測システムを設置、DONETに接続して地殻変動を連続リアルタイムでモニタリングしています。今後、紀伊水道以西の3地点でも「ちきゅう」により海底下数百mを掘削して長期孔内観測システムを設置、DONETなどのケーブル観測システムに接続する計画です。
また、海底広域研究船「かいめい」のBMS(Boring Machine System)で海底下20mほどの孔を掘削して地殻変動観測装置を埋設したり、地殻の伸び縮みを広帯域に観測するための光ファイバーを海底に敷設したりして、それらをDONETに接続することで、連続リアルタイム地殻変動観測網の拡充を進めています。

地震発生帯の近未来を予測する

地下の不均質構造を考慮した有限要素モデル
従来のシミュレーションでは、単純なモデルを使って地震の発生間隔・パターンなどを再現してきた。今後は地下構造探査のデータや海底変動のデータを反映させて、地震発生帯の現状把握と近未来の状態を予測することを目指す。

海底と陸域の地殻変動のデータを地震発生帯研究センターなどが推定した地下の構造や物性などのデータを反映させたモデルに基づいて解析することで、断層の固着・すべりの現状を把握するとともに、断層をすべらせようとする力と断層強度を推定して、断層の固着・すべりの近未来の状態を予測することを目指しています。
南海トラフの地震発生帯の浅部や深部では、断層が数週間~数ヵ月かけて数cm~数十cm動く「ゆっくりすべり」が発生し、注目されています。ゆっくりすべりは普段から起きていますが、その範囲が地震発生帯の中に広がったり、マグニチュード6~7の地震が発生したあとにゆっくりすべりが引き続いて領域が広がったりなど、普段とは異なる状態が生じた場合には、巨大地震の起こる可能性が普段より高くなると考えられています。
海底変動のモニタリングシステムなどを用いてデータを蓄積することで、普段とは異なる固着・すべりの状態を検知することを目指します。
南海トラフで起きる地震では、最初に東海あるいは東南海地震が起きて、1日半や2年たった後に南海地震が起きた事例が知られています。巨大地震が起きたとき、壊れ残った領域を特定し、次に起き得る地震の規模や範囲、それによる津波を予測します。また、最初の地震が起きた後、ゆっくりすべりの領域が周囲に広がっていき、次の地震が起きる可能性があります。そのようなゆっくりすべりをモニタリング・予測して、次の地震に備えるための情報を提供できるように研究開発を進めます。

高潮や海底地滑りも考慮に入れた津波予測システムへ

沖合でのリアルタイム海底水圧変動にもとづく即時津波予測システム
対象となっている地域での津波到達時刻や高さ、浸水深や浸水域の予測が1秒ごとに更新される。

JAMSTECではDONETを活用した即時津波予測システムを構築し、既に和歌山県や三重県、中部電力、香川大学などに導入し、DONETを運用している防災科学技術研究所と連携して運用しています。即時津波予測システムは、DONETでの沖合の水圧観測値から、沿岸の津波の高さや浸水までの時間と広がりなど、防災に役立つ情報を即時に発信するものです。
ただし、津波だけでなく台風などの高潮でもDONETの水圧計の計測値が高くなります。また、地震だけでなく、海底の地滑りによって比較的狭い領域で高い津波が発生するケースも考えられます。そこで、高潮と津波を区別しつつ、地滑りによる津波も予測できるように改良を行うことで、即時津波予測システムのさらなる高度化を進めています。

センター長 堀高峰
専門:地震発生予測

地震発生の原因となる現象の過去から現在をとらえ、その未来を予測する仕組み作りを進めています。将来、地震が起きた時に、「やっぱりあそこで起きたんだね、事前に備えておいてよかった。」と言ってもらえるように。