大深度小型無人探査機「ABISMO」が世界で初めてマリアナ海溝水深1万m超の海洋〜海底面〜海底下の連続的試料採取に成功(海洋工学センター)

新開発の耐圧浮力材の運用により、マリアナ海溝チャレンジャー海淵にて3回の試験潜航を行い、最大潜航深度10,258mを達成しました。本潜航により、現在世界で唯一の1万m級無人探査機としての性能を確認できました。

急激な海氷減少が進む北極海で統合的な観測を実施(地球環境観測研究センター)

国際極年最終年の2008年夏、海洋地球研究船「みらい」にて、特に海氷減少が著しい太平洋側北極海の観測を実施しました。「みらい」は、日本船の最北記録を更新し、北緯78度54分に到達しました。また、カナダ砕氷船「ルイサンローラン」にてカナダ海盆域の観測、ドイツ砕氷船「ポーラーシュテルン」による大西洋側北極海の観測及び氷海観測用プロファイラーPOPSの設置、ノルウェー無人飛行機による上空からの観測を行いました。

3年連続となるインド洋ダイポールモードの発生を予測(地球環境フロンティア研究センター)

地球規模での顕著現象を伴う気候変動を引き起こすインド洋ダイポールモード(IOD)の発生を数値モデルSINTEX-F1により予測し、その発生を確認しました。2006年と2007年に続く3年連続の発生は1950年代の観測開始以来初のことで、特にラニーニャと共に起こった2007年のIOD予測の成功は、世界の先端的予測機関のモデルの中でもSINTEX-F1のみで、本数値モデルは熱帯域の気候予測で世界一の的中率を誇っています。

地球深部探査船「ちきゅう」による第3次南海トラフ地震発生帯掘削計画を終了(地球深部探査センター)

「ちきゅう」が2007年9月21日に紀伊半島沖熊野灘で開始した初めての科学掘削航海「南海トラフ地震発生帯掘削計画」は、2008年2月5日に第3次研究航海を完了し2008年度の南海掘削を終了いたしました。付加体において計13カ所で掘削を行い、断層帯のコアを直接採取しました。

大陸誕生の謎に迫る:伊豆・小笠原・マリアナ(IBM)弧における構造探査と岩石学的調査(地球内部変動研究センター)

大陸の形成過程は地球進化に関する大きな謎の1つです。IBM弧における高精度地下構造イメージイングと岩石学的解析の結果、IBM弧のような海洋島弧で大陸地殻が作られていることが判ってきました。今後、「ちきゅう」を用いた掘削によって、地殻深部の岩石を採取し、「大陸は海で誕生する」仮説を実証していきます。

深海底下に広がるアーキアワールドを発見(高知コア研究所)

これまでは少数と考えられてきたアーキア(古細菌)が、世界各地の海底堆積物内に大量に生息していることを発見しました。地球深部探査船「ちきゅう」によって掘削された試料や世界各地の海底堆積物から明らかにされたものです。

新しい高圧培養法による生命の最高生育温度記録更新と高圧メタン生成(極限環境生物圏研究センター)

インド洋の深海熱水環境の超好熱メタン菌が122℃の高温下でも増殖可能なことを発見しました。微生物の最高生育温度はこれまで113℃(再現可能な記録)と報告されており、その限界が122℃まで引き上げられたことで、地球での生命圏の拡がりだけでなく宇宙環境における生命の限界条件の理解へ大きく貢献するものです。

地球シミュレータを使って地球磁場生成の新しいメカニズムを発見(地球シミュレータセンター)

これまでのシミュレーションでは表現できなかった地球磁場の新しい生成機構を発見しました。薄いシート状の対流構造により磁力線がまっすぐに引き伸ばされることで磁場が生成され、周囲にらせん状の電流が流れることを見出しました。

地球シミュレータ更新

2002年の運用開始から2年半の間、TOP500スーパーコンピュータランキングにおいて1位に認定され、これまでIPCCやエルニーニョの予測などで活躍した地球シミュレータが新システムに更新されます。実効性能の向上により海洋地球科学の研究が 加速することが期待されます。

「システム地球ラボ」「アプリケーションラボ」の設置

組織横断的な新しい研究体制として、2007年12月に「システム地球ラボ」、2008年4月に「アプリケーションラボ」を設置しました。システム地球ラボは、地球生命システムの統合的理解を目指し、既存の枠・手法を超えたシステム科学的なアプローチの創出に挑戦しています。アプリケーションラボは、産学官連携によるイノベーションの創出を目指しています。