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活動報告

活動報告

Report vol.2はじめての航海!D-ARKの調査風景その1

ついに調査がはじまりました

南大東島とメンバー

2024年4月27日から5月11日までD-ARKプロジェクト初の航海調査を実施しました。
終始天候に恵まれ、新たな発見や課題も見つかり、次回へとつながる実りある調査となりました。
今後ホームページやJAMSTECのSNSにてプロジェクトの進捗状況をご紹介していきます。

D-ARKプロジェクトのターゲットである深海洞窟を調査する際の大きな問題は、アクセスの難しさです。
浅瀬の水中洞窟では高度な技術を持つスキューバダイバーが潜り、貴重な「生きた化石」などを収集していますが、深海ではスキューバダイバーに代わって、無人探査機(ROV)等で生物の観察や採取を行う必要があります。
D-ARKプロジェクトではこれまでの調査研究でも活躍してきた機器に加えて、洞窟調査のための、より小型な機器を新規開発中です。今回は調査を支える機器たちを紹介します。

「深海内視鏡」の開発

深海内視鏡で撮影されたヒウチダイの仲間

医療用内視鏡は、体を解剖せずに口などの開口部から体の深部を観察できる検査装置です。 この概念を深海洞窟調査にも応用できるのではないかと考え、キーメンバーであるいであが 「深海内視鏡」の開発に取り組んでいます。ROVのマニピュレーター(ロボットアーム)にこの内視鏡を装備し、石灰岩の隙間の奥のまだ見ぬ世界へ挑みます。
内視鏡で撮影したビデオ画像は、ホストROVを通じてリアルタイムに船上で観察できます。


開発中の深海内視鏡

さらに、深海内視鏡と同時に大量ろ過ポンプ(MASS Pump)を搭載し、環境DNAサンプルを採取します。このPumpはJAMSTECが中心となって開発した装置で、約100リットルの環境水を3時間でろ過することができます。特許出願中で、すでに実践投入されています。
「環境DNA解析」についてはぜひReport 1をお読みください。

MASS Pump

大型ROVから出動可能な「Mini ROV」の開発

小型ROVの接続テスト

これまで他の研究で利用されてきた通常サイズのROVは洞窟調査には大きすぎます。 D-ARKプロジェクトのために、キーメンバーであるFullDepthが母船からホストROVを介して操作できる「Mini ROV」の開発に取り組んでいます。
耐水圧は約3,000 m、サイズは45 cm (幅) x 65 cm (長さ) x 50 cm (高さ)ほどになる予定です。Mini ROVにはカメラを搭載し、観測されたデータはホストROVを介して母船へ届けられます。さらに、小さな生物や堆積物を吸引するための水中掃除機も搭載するので、生物標本を採取できます。
今年はまず現有の小型ROVを用いて水中での離発着テストに取り組みます。

小型無人探査機「クラムボン 」

今回もよろしく「クラムボン」

「クラムボン」は、東日本大震災を受けて発足した東北マリンサイエンス拠点形成事業により誕生した小型無人探査機で、三陸沖の海洋生態系を約10年にわたり調査してきました。今回のD-ARKプロジェクトでは、比較的水深の浅い海域の調査を担当し、海底の画像マッピングや生物標本の採集を行います。

小型無人探査機の活躍について、こちらの記事をチェックしてみてください

CHECK!

今回D-ARKプロジェクトのために開発する機器も、大いに活躍してくれることと思います。

次回も調査の様子をお伝えします。