2013年7月28日 最終回 おら、帰って(けえって)きたんだんだ
船内時間=日本時間
8:00 起床
ヤベッ!と思ったら昨日までの時間。
7:00 起床
気温18.7度、気圧1008hPa、波高3.5m、風速13m/sec、曇り
フラフラするのは二日酔い?ではなく船が揺れている。うねり大きく海面は白波が立っている。
午前中、洗濯、居室整理。データ整理をしようと試みたが、まだ頭が"糟(かす)浸け"状態。読書して過ごす(村上春樹「神の子どもたちはみな踊る」。他の本と同様とても不思議な短編集。独特な世界観と表現力、ムラカミワールド炸裂)。
窓の外は霧、気温18.6度。陸に近づいているのにテレビの電波状況が悪い(後で、多くの船を避けるため頻繁に進路を変えたためと知る)昼食 肉うどん、いなりずし、焼き魚。いつも完食なのに肉うどんしか食べない自分を見てStevenが笑っていた 15:00 本船は尻屋崎沖に到着。ここで明日の朝まで待機。
16:00 乗船者会議
クルレポ、メタデータシートの確認、明日の予定等18:00 原研のOくんとSteven他と福島沖セジメントトラップについてディスカッション。
明日、0900着岸予定。明日の天気は曇り時々晴れ。雨具の片付けが悩ましい。
今回は船内にも本ブログを公開しました。その結果、乗船者"ウケ"ねらいの文章も多く、陸上の皆様には一部わかりにくい内容があったのではないかと反省しております。
本航海に関して陸上支援して下さった方、陸上の仕事をカバーして下さった方、仕事だけでなく様々な情報を送って下さった皆様に感謝いたします。
明日、下船、明後日に帰京、7/31から出社いたします。それでは。
※乗船者の集合写真とクルーズレポート表紙応募作品は後日公開いたします。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月27日 渦観測(E01, E02)
船内時間=日本時間+1時間
5:00 渦観測地点E01着(41.249N / 146.717E)
CTD採水(2000m)。渦のほぼ中心部。
気温17.0度、気圧1010hPa、水温21.6度、波高2.3m、風速6m/sec。濃霧。
7:00 採水器ondeck。最後の取水。酸素取水はベテラン勢。その後は採水班長の指名で分担採水器の取水。指名を求め両手を挙げてアピールする女子の姿も。9:30 渦観測地点E02着(41.028N / 146.548E)
CTD採水(2000m)。渦の中心部から南南西へ15マイル(約28km)。
11:30 採水器ondeck。今回はCTD観測がメイン。
これにて本航海での全ての甲板作業は終了。本船は母港むつ関根浜へ向けて航走を開始。午後 甲板では機材陸揚げ用ボックスパレットの展開が始まる。 自分は居室でデータ整理。クルレポ作成。
16:45 記念撮影
作業甲板にて。この機会を利用してMWJの新婚マリンテックに、採水カゴで作ったお菓子カゴ、寄せ書き、をプレゼント。胴上げも企画したが、安全上いかがなものか、ということで却下される。そのことをStevenに言ったら「ヘルメットかぶってたらOKなのか?」う~ん、アメリカ人には説明が難しい。19:30 打ち上げ
参加者多数のため、久しぶりに食堂での開催。毎度のことながら司厨の計らいで豪華なオードブルの差し入れ。いつもありがとうございます。
宴たけなわの頃、クルーズレポートの表紙発表。優勝はJAMSTEC実習生のTさん。海の底から様々な観測を行っているR/V「みらい」を見上げたデザイン。芸術性あふれる作品でブッチギリの優勝。乗船者支持率は第二位の倍以上、コンテスト史上最高(39%)。彼女は過去の航海(IODP)のコンテストでも優勝した強者、表紙コンテスト荒らしだった。
WHOI賞(Stevenが投票した作品)はJAMSTECウッチー。青い海をバックに、はためく子供達の寄せ書き。愛情あふれる作品。本航海でも採水のみならず係留系やIONESS等全ての観測で中心となって動いてくれた。多謝。
その他年齢当てクイズ等の余興もあり、皆で楽しく航海を振り返った。-
22:00 時刻改正(-1 hr。船内時間は日本時間となる)
(結果、21:00。まだ宵(酔い?)の口。)
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月26日 渦観測(E03)
船内時間=日本時間+1時間
5:00 北緯41-25度、東経151-17度
気温18.9度、気圧1010hPa、水温21.6度、波高2.3m、風速6m/sec。
本船は最初の渦観測地点(E03)に向けて航走中。5:00 起床(昨日までの6:00)。オヤジは朝が早い。サッカーだって朝7時から可能。
今朝未明、稲毛支社から届いたサッカー東アジア選手権の詳細記事を読む。若手中心でオーストラリア撃破。この試合ではオリンピック代表日産マリノス斎藤選手が活躍したようだ。
我が家はマリノスのホーム日産スタジアムから自転車で10分。そのため近所の整骨院にマリノス選手がくる事も。過去、この斎藤選手と隣り合って治療を受けたことがある。
5月のソウル出張の時はマリノスGKコーチ(あのドーハの悲劇の)松永さんと飛行機の席が隣同士であった(だから何?)。13:00 K2/S1プロジェクト成果の検討会。
両海域の炭素循環について意見交換。栄養塩、二酸化炭素、酸素、有機炭素、無機炭素、植物プランクトン、動物プランクトン、微生物、沈降粒子。それぞれの観測結果の整合性について。一致してもしなくても、新たな知見が得られる。14:45 渦観測地点(E03:40.121N / 149.032E)到着。CTD採水。
気温20.6度、気圧1010hPa、水温21.6度、波高1.3m、風速3m/sec。
天候晴れ。穏やかな天気と海況の中採水スタート。渦の外部。
16:45 採水器ondeck。酸素以外にも微生物、粒状炭素用の取水も実施。本船は次の観測点E01(41.249N / 146.717E)に向けて航走開始。着予定明朝5:00。いよいよ明日で観測終了。
夜、クルレポ作成。クルーズサマリー他。今回の航海のハイライトは?POPPS?シアノバクテリア?
21:00 クルーズレポート投票率:44%。例年に比べて出足が遅い。まだ決めかねている人が多いようである。しめきりは明日正午
渦観測
海の中にはたくさんの渦があります(海は”ウズウズ”しています)。
図は人工衛星で観測した海面高度です。等高線が丸くなっている(一周している)ところが渦です。赤いところは海面が周囲よりも高くなっています。この渦の
縁(ふち)では栄養分が豊富な亜表層の海水がわき上がっており、そのためプランクトンが増加し魚も集まってくると考えられます。
現在、渦の周辺にはたくさんのARGOフロート(図の丸印や四角)が漂流しています。このARGOフロートのデータを検証し、渦の中心部、外側での海の構
造やプランクトンの様子を調査するため、複数点(E01, E02, E03)で採水、CTD観測(水温、塩分測定)を行うことにしました。

(本多 牧生・MR13-04首席研究者)


12Lの採水器が36本ついている。底部にはCTD(塩分・水温・水深測定装置)が着いている。船上から電気信号を送ることで希望の圧力層(もしくは水深)にて採水器の上下蓋を閉め採水することができる。水中で採水器が回転しワイヤーに”より”が入らないように、回転防止用羽根がついている。
2013年7月25日 渦観測地点へ向けて航走
船内時間=日本時間+1時間
7:00 北緯44-52度、東経156-55度
本船は最初の渦観測地点(仮称E03)に向けて航走中。
気温11.8度、気圧1014hPa、水温13.4度、波高2.3m、風速10m/sec。天候曇り。
船体動揺やや大きい。これまでがあまりにも静か(凪)だったので、この程度の海況でも時化に思える。
ブリッジにて本日の予定、明日以降の渦観測の到着時刻の確認。渦観測地点のEEZ問題は解決。後は衛星放送が受信できるか否か(7月27日(土)午前中だけでも。。。)?午前中セジメントトラップ試料整理。
甲板ではIONESSのネット洗い、甲板水槽の撤去、第一ブイ庫清掃。
実験室では、民民(just married!)が塩検(塩分測定)中。修行僧のようなWくんは全炭酸測定中。南極観測隊経験者。趣味は山登り。元々”目力”が強い彼、ヒゲが伸び、凄みがでてきた。クルーズレポート表紙の投票始まる。今回の応募作品7点。どれも秀作。結果発表は明後日夜。
午後、StevenによるWHOIの荷物の整理(在庫チェック)。
といってもそこはアメリカ人。「このクーラーボックスにはチェーン数本、シャックルいっぱい、このクーラボックスには捕集カップと蓋が多分1台分」(。。。。これでいいのだ(天才バカボンのパパ風に))。
加えて陸上での試料処理用フォルマリン海水の作成。その他の時間はデータ整理。
集められた情報を比較してみると、関連性(例えばPOPPSで得られたクロロフィルaと200mセジメントトラップで観測された沈降粒子の季節変動、基礎生産力と栄養塩濃度)が見出され大変面白い。=本日の主な「はじめチャンネル」(船内ビデオ放映)番組=
「富山湾 豊かさの秘密」豊かな海の秘密:湧水(あっ!チャンさんだ)、オタマボヤ(JAMSTEC提供映像)、雪氷研究、蜃気楼、蛍イカ、なかなか見応えのある番組。
「いきものがかりライブ」キヨエちゃんの歌声と愛嬌のある顔がスキ。「風が吹いている」が最近の持ち歌。22:00 時刻改正(船内時間を1日後進:船内時間=日本時間+1時間)
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月24日 K2 (Day3) BGC係留系設置、現場ろ過
船内時間=日本時間+2時間
K2(北緯47度、東経160度)
6:30現在 気温10.6度、気圧1015hPa、水温11.2度、波高1.1m、風速5.7m/sec。天候曇り。<BGC係留系設置作業>
8:00 ゼロ災。
チョッサー(チーフオフィサー)から最後なのでケガのないようにやりましょうとの挨拶。加えて「本日の昼食はカツカレーです」。「おーっ!」歓喜のどよめき。掛け声は本航海の係留系責任者MWJ Tくん。
8:05 RAS、トップブイ海中
途中、複数のCTD、水温計をワイヤーケーブルへ装着。今回は様々なセンサーが係留系に装着。それにしてもセンサーはどんどん小型化。
8:25 200mトラップ海中
8:45 500mトラップ海中
8:51 550mRAS海中。
現場培養実験を担当する東大のFさんと極地研のUくん。愛情をこめて船尾まで運搬、最後までRASに寄り添っていた。1年後が楽しみ。
気温11度。吐く息が白い。腐ってもK2。夏でも寒い。少しなめていた。
(それでも日射しがでると少しは暖かい)
10:00 4810mトラップ海中。
直前、Kくんがフレームに缶ビールを装着。現場水温1.5度。来年の5月、”キンキン”に冷えたビールで祝杯をあげれるか?
10:14 最後のガラス球群海中。
10:20 係留系を設置地点まで曳航。絡まないように、展張させることも目的の一つ。
10:50 シンカーレッコ
11:35 シンカー着底
11:48 位置出し。ほぼターゲットポジションに係留系は設置された模様。
これで全ての係留系作業が終了。航海前は、短い航海で5系列の回収、4系列の設置ができるのか?荒天待機になれば再設置を断念することもありえる、と覚悟していたが、全て予定通りうまくいった。○○○マジック?!昼食のカツカレー。気分良く食べられたのは言うまでもない。 13:00~18:00 現場ろ過(5hr)
K2での全ての観測終了。高気圧性渦観測地点に向けて航走開始。着予定は7/26夕方。
夕方以降、データ整理。クルレポ作成。
船上メールでは、明日以降の片付け作業ボラティア募集、陸揚げリストの確認、明日締め切りのクルーズレポート表紙コンテスト応募の最終案内、等が飛び交う。下船に向けてトレーニング開始。No Pain No Gain !
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月23日 K2 (Day2) 採水ほか
船内時間=日本時間+2時間
K2(北緯47度、東経160度)
(7:00現在)気温10.6度、気圧1017hPa、水温11.3度、波高1.2m、風速5m/sec。天候曇り。2:00 採水(基礎生産ほか)300m(0.7hr)
3:00頃(採水終了後) FRRF
4:30日の出 基礎生産測定培養開始
7:30 FRRF
8:00 採水(光合成曲線、放射能、同位体用) (2000m 2hr)
第一ブイ格納庫では自動採水装置RASの最終準備。今回は東大グループが「現場培養実験」に使用。水深550mに同RASを係留、高圧下における微生物の群集構造、生産速度、捕食圧の季節変動を解明するのが目的。セジメントトラップ結果との比較も興味深い。12:00 FRRF
13:00 採水(トラップ、プランクトン、バクテリア用) (2000m, 2hr)
係留系最終準備。甲板ではセジメントトラップに様々な観測機器が取り付けられる。15:00 KIMOPYプランクトンネット(1.5hr)
アシスタントはSteve。テレビでは、おしゃべりしながら楽しそうに手伝いをするSteveの姿が。Kimopyと有孔虫や円石藻、翼足類の話で盛り上がっているのだろう。16:30 採水(プランクトン、バクテリア用)(500m, 1hr)
17:30 LISST-
18:30 FRRF
JAMSTEC F研究員にとっては、基礎生産採水、FRRF観測、フローカム分析(動物・植物プランクトンの自動定性定量)と体力勝負の長い1日。
またMWJリーダー サギくんは昨夜のIONESSから午前の採水までフルエントリー。頑張った彼らには以下の名言を送りたい。
" No Pain No Gain(苦しみ無くして勝利無し)”(ビリー・ブロンコス、ビリーズブートキャンプ隊長) 夕方からセジメントトラップの最終準備。捕集カップに防腐剤(フォルマリン海水)を充填しセジメントトラップに装着。スケジュールの初期設定。
隣ではRASのスケジュール入力中。甲板ではトップブイにARGOS送信器、フラッシャーの取り付けが行われる。
気温10度。外はかなり寒い。出港時の強烈な暑さは今は昔。20:00 セジメントトラップ準備完了。明日はK2最終日。
********** 本日の船内メールより抜粋 ************
「7/22のIONESSで収穫されたクリオネの里親を募集いたします。
先着3名様限定です。
里親希望の方はこのメールにご返信下さい。
折り返し、引き渡し日時をご連絡いたします。
なお、引き取りの際には容器と冷たい海水をウェットラボ1までお持ち下さい。」育て方はMWJオッシーくんが詳しいらしい。彼には「TVチャンピオン」への出演依頼があったとの噂。もしかしたら彼が”サカナくん”だったかもしれない。じぇじぇ!じゃなくて、ぎょぎょ!
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月22日 K2 (Day1) BGC係留系回収ほか
船内時間=日本時間+2時間
6:00 K2(北緯47度、東経160度)
いよいよK2。
大気エアロゾルフィルター交換、セシウム磁力計回収
気温9.5度、気圧1020hPa、水温11.1度、波高1.1m、風速3m/sec。
気温一桁。フライングブリッジ(ブリッジ上甲板)でのフィルター交換、作業服だけでは寒い。<BGC係留系回収作業>
6:50 ENABLE/RELEASEコマンド送信
視界良し。切り離し作業に着手。一発で切離装置の”目覚まし”に成功。距離測定後、切離コマンド送信。応答あり。
6:53 浮上確認(第一発見者 JAMSTECウッチー)
これで本航海の”離れ業”は全て終了。少しほっとする。後は”着地”(係留系設置)のみ。
8:00 作業艇降下、BGC係留系回収作業開始
とりあえず雨具を着て甲板へ。時折霧雨となる天候での作業。
8:40 トップブイondeck。
8:50 200mセジメントトラップondeck。
9:10 500mトラップondeck。
10:20 4810mトラップondeck。全ての動作が良好。これで、K2における深海(約5000m)セジメントトラップによる沈降粒子連続捕集期間が(途中空白はあるものの)9年になった。
10:50 切離装置 ondeck。後は明後日の再投入。
作業終了後、老いも若きも、男も女も、皆でいっしょにガラス球運び(約30kgのガラス球を約40個)。
お疲れさまでした。13:00~17:00 採水(ルーチン他、4hr)
17:30~19:00 KIMOPYプランクトンネット(1.5 hr)
夕方、K2観測後に予定されている北海道東方沖に存在する高気圧性渦での観測に関して運行部よりメール。日本とロシアのEEZに留意して観測せよ、とのこと。
観測希望場所を精査したところ問題ない(ロシアのEEZから充分離れている)ことが判明。一安心。-
21:00~23:00 IONESS(2hr.)
本航海最後のIONESS。豊富な釣果を期待して多くのアシストあり。
やはりK2。においがするぐらい大量の動物プランクトンが採取される。巨大なクラゲやハダカイワシも。 -
K2初日終了。明日は2:00の基礎生産用採水からスタート。
家に電話。皆元気そうで何より。
「「あまちゃん」録画してあげてるよ」(何とやさしい娘でしょう)。
「でも私の大切な録画、どれを消すかいつも悩んじゃう」(何度も、何度も、何度も観ているキミの「AKB総選挙」と「AKBジャンケン大会」消してくれたら「あまちゃん」3週間分なんて簡単に録画できちゃうんだけどな。。。。)。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
植物プランクトン便り(2)
カズちゃん元気?今日はママのおしごと紹介するね。
写真はS1とKEOで見つかった珪藻Rhizosoleniaなの。
植物プランクトンが生きるためには窒素が必要なんだけど、S1やKEOのような外洋域では海水中の窒素が不足してるのね。
それを解決するのが窒素固定シアノバクテリア。このシアノバクテリアは珪藻が利用することのできない空気中の窒素を、珪藻が利用できる形の窒素に変える働きをするのよ。すごいでしょ!
わかった?生後4ヶ月じゃまだ少し難しかったかな?もうすぐ帰るからね。
ママより。


ショータイムの始まりです


写真はネット開口部。この後ろに”鯉のぼり”様のプランクトンネットが8枚装着されている。これを船尾から吊り降ろし、任意の深度で任意の時間、水平曳きする。船から電気信号を送り順番にネットを開閉、8層の動物プランクトン(クラゲや魚を含む)を捕集することができる。クジラが大きな口を開けてオキアミを採集するかのごとし。
2013年7月21日 KNOT 採水ほか
船内時間=日本時間+2時間
3:00 KNOT(北緯44度、東経145度)
採水(解説)
観測点KNOT:元々は北海道大学水産学部練習船おしょろ丸の観測点の一つであったのが、1990年代を中心に行われた国際的な合同全球フラックス研究計画(JGOFS)の時代に、日本の生物地球化学観測定点、北太平洋亜寒帯循環域代表点、となった。
1998~2002年、オールジャパン体制で様々な観測船で集中観測を実施し、それ以降、細々ながらもルーチン観測を継続。そのおかげで海水中の二酸化炭素濃度の増加、pHの低下(酸性化の進行)等の長期変化が見えてきた。6:00
気温15.3度、気圧1018hPa、水温13.3度、波高1.4m、風速7m/sec。
6:45 採水器ondeck。取水。6:45 切離装置テスト
係留系の命である切離装置。K2での使用前テスト。水深1000mまで吊り降ろし、ENABLEテスト、距離測定、RELEASEテストの作動確認を行う。良好。7:30 切離装置ondeck
KNOTでの観測終了。K12へ向けて航走開始。K2着予定明朝。
KNOT-K2間は、海底の磁場を測定し地殻(太平洋プレート)構造の様子を調査しながら航走するため、セシウム磁力計の曳航が開始された。
甲板では係留系回収・再設置準備。実験室では本日採水された海水の溶存酸素、栄養塩、pH、全炭酸、アルカリ度測定真っ最中。海水処理室ではRASの最終準備。12:00 北緯44-25度、東経155-59度。海は凪ぎだが、濃霧。
昼食は親子丼。ワカサギのフリッター。今日も完食。
食欲がまったく落ちない。本当にヤバイ(本来の意味で)。- 午後データ整理。クルレポ作成。
外を見ていると、霧はかかったり、はれたり。 夕食後、関係者でこれまでのK2, S1定点観測研究成果に関する検討会を行う。
いよいよ明日からK2。海況は良さそう。霧だけが心配。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
KIMOPY便り
こんにちは、KIMOPYです。本航には、生物オタク、じゃなくて生物マニア、じゃなくて生物の専門家が多く乗船しているので、いろいろ意見交換ができ、とっても楽しいです。
係留系に付着したヒドロ虫は、見るからにキモいだけでなく、ほっておくと独特の生臭い臭気を放つので、船上ではいつもすぐさま高圧洗浄機で洗い流されてしまう悲しい存在です。

しかし、それをピンセットで丁寧にはがし、海水中でじっくり飼育してみると、その容姿からは想像もできない、とても素敵な姿を私たちに見せてくれます。
ヒドロ虫の鞘部分に、実がなるように球形の球ができ、それが分離するとクラゲとなって泳ぎ始めます。クラゲの傘の直径はわずか1ミリ。こんなに小さくても触手を動かしてしっかり泳ぎます。まるでヒドロ虫はクラゲを生み出す生命の樹のようです。このような神秘的な瞬間に出会えるのも、長期にわたる研究航海ならではです。
(いつも高圧洗浄機で一網打尽にして、「セーラー服と機関銃」の組長[最近では「あまちゃん」の鈴鹿ひろみ役で知る人ぞ知る]薬師丸ひろ子のように「快感!」とつぶやいてゴメンナサイ by 首席研究員)
2013年7月20日 42N採水・ARGO、洋上セミナー
船内時間=日本時間+1時間
航海10日目、中日、ここまで全勝、土つかず。
6:00現在
北緯41-27度、東経151-42度
気温19.6度、気圧1013hPa、水温20度、波高1.5m、風速8m/sec。
緯度的には北海道の室蘭辺り。天候曇り。水平線は霧で見えない。6:45 ブリッジで観測作業内容の確認。予定より少し前倒しで観測点到着、観測が実施できそうとのこと。
最後の”高気圧渦観測”についても話題に。渦の存在場所が北海道東方、日本・ロシアのEEZ境界近辺に存在している事、観測終了のタイムリミットギリギリであることが懸念される。8:00 天候雨。何か暗い。いよいよ亜寒帯域へ。
10:00 観測点42N(北緯42度、東経152-33度)
ARGOフロート投入地点。まずはフロートキャリブレーション用の採水。
天候が急変、大雨の中、採水器投入。大雨を見ながらStevenが語り始めた。
その昔、日本海溝にセジメントトラップを設置すべく淡青丸に乗船。チーフサイエンティストは東大海洋研N崎先生(故人)。
タイミングがわからず風呂に入れなかったSteven、大雨の甲板で嬉々としてシャンプーし始めた。
当然、血相を変えてやってきたN崎先生「What the hell are you doing!」。。。。大目玉を食らったそうである。後半戦の観測スケジュールの微調整を開始。予想される観測作業を、K2の到着時間から”山積み”していく。
K2後の渦観測場所がまだ未定ではあるものの、だいたいの場所を仮定して作成。分析終了、片付けを考えると観測タイムリミットは27日昼頃か?そうすると結構タイトなスケジュール。
時刻改正2時間をどこで入れるか?が、意外に重要になってくる。12:00 採水器ondeck。取水開始。本日の採水項目は塩分、DO、放射能。
簡単な放射能採水のお手伝い。
繋船甲板からARGOフロート投入。
42N離脱。次の観測点KNOTへ向けて航走開始15:00 LISSTデータ検討会
観測で得られたLISSTデータに関して、現場ろ過、プランクトンネット、FRRF、基礎生産関係者、セジメントトラップ関係者で話し合う。
粒径別の深度分布。小さい者は有光層のみに存在、植物プランクトン?大きいものは深くまで存在、動物プランクトン?加えてホログラフ撮影された動物プランクトンの画像が紹介される。今後のデータの比較検討が楽しみ。16:00 洋上セミナー
日本原子力研究開発機構 乙坂重嘉さん
「海水と底質の放射性物質の動向」講演要旨:
東京電力福島第一原子力発電所の事故によって海洋にもたらされた放射性核種の、海水中及び海底堆積物中での分布状況について、これまでのシミュレーション計算と海洋調査の主な結果をまとめる。
事故による海洋への137Cs供給量は11 PBq(ペタベクレル, 1015 Bq)で、その多くは事故後半年以内に海水の流動に伴って移流・拡散したが、約2%は東北南部から関東北部の太平洋沿岸(水深200m以浅)に堆積したと 推定された。堆積物中の放射性セシウムの多くは鉱物成分にほぼ不可逆的に吸着していたことから、これらによる生物への影響は穏やかであると予想された。
また、一旦堆積した放射性セシウムは、沿岸堆積物の移動に伴い、海底付近を沖合に向かって少しずつ再移動していると推測される。上記内容をわかりやすく説明してくれるとともに、これからの観測計画、関係者としての苦労話(市民の皆様からの電話相談ホットライン対応など)を聞かせてもらった。
22:00 時刻改正。
時計の針を1時間前進。結果、船内時間=日本時間+2時間
明朝3:00 Station KNOT着予定。採水。朝のミーティング時、船長から諸般の事情でBBQは実施できない、と通告される。
「了解です。しょうがないですね。BBQのために観測航海やっているわけではないですから。全然OKです。やっぱり内航では難しいですよね。まったく問題ありません。。。。」とさわやかに、気丈に、ふるまったが、大ショック。
肩をおとしてブイ調へ。MWJリーダーに慰められる。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月19日 JKEO採水、42Nに向けて航走中
船内時間=日本時間+1時間
5:00 JKEO(北緯38-5度、東経146-25度)
同地点で採水
昨日のKEOの姉妹点。6:30現在
気温22度、気圧1009.5hPa、水温22.5度、波高1.7m、風速8m/sec。天候晴れ。
甲板に出ると半袖シャツでは肌寒い感じ。
採水中の後部操舵室を陣中見舞い。その際、海上に鳥を発見。
隣にいたMWJオッシーくん「あれはコアホウドリですね。英語ではレイサンアルバトロス。ミッドウエイ辺りに結構いるんです。こいつがまた臭いんですよ」。
今は CTD・採水のオペレーターであるが、実は海鳥の専門家。動物プランクトンにせよ植物プランクトンにせよ”サッと”名前が言えるのはカッコいい。
誰かいい人いないかな?9:00 採水終了。取水開始。
ARGOフロートを投入する42Nに向けて航走開始(航走時間約25時間)。
午後、現場ろ過器の電池交換。横ではワッキーが自動採水装置RASの準備中。
その他の時間はデータ整理、クルレポ作成。夕方、MWJマリンテックの仕事場、ブイ調整室へ。化学分析・データ整理が一段落したのか、多くの人が和んでいる。
既婚者はCTDの構造について語り合い、独身者はコイバナ(恋話)に花が咲く。
意中の人にどうやって接近するか?IONESSのサンプリングでペアになるも良し。でもMWJは網洗い専門だし。。。マルチプルコアラーのコア切りでペアになるも良し。でも本航ではマルチ無いし。。。
そうなるとチャンスは採水・取水。いかに取水時に隣り合うか?深夜の取水ほどロマンチックなものはない。話がはずんで取水終了後の一杯、下船後のデートを約束できるかも。
ただし音量をマナーモードにしないと回りの皆が聞いている。かつ、おしゃべりに夢中になって、採水瓶をおとしたり、取水し忘れたり、気泡を入れたりは厳禁!
ペナルティは、軽いものでは3分間おしゃべり禁止、重いものは、孤独な酸素瓶ふり、羽根(採水器の回転防止)をはさんだ両隣での取水、20L放射能用海水の運搬等が命じられる。18:30 北緯39-38度、東経148-48度、気温20度、気圧1011hPa、水温21.5度、波高1.4m、風速3m/sec。
海は凪ぎ。快調なペースで北進中。次の観測点42N着は明朝10時。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)



植物プランクトン便り(1)
ボンジュール!皆さん。本航海で目に付いた植物プランクトンを紹介したいと思います。
まずはS1とKEOから確認されたプランクトン。顕微鏡をご覧になった方々は、蜘蛛みたーい、蛸みたーい・・と評されていました。

ノンノンノン!これは円石藻の一種、Michaelsarsia elegans。
足のように見えるのは浮力を増すためと考えられている刺状に伸長した円石の一部。トレビアン!
沿岸では殆ど目にすることのできない種類です。こうした格好でぷかぷか海の中を浮かんでいるのでしょうね。
ではまた。オールボア!
2013年7月18日 JKEOに向けて航走中
2:00 KEOでの採水終了。
JKEOに向けて航走開始7:00現在
気温24.0度、気圧1012hPa、水温26.4度、波高1.8m、風速1.1m/sec。天候:晴れ。
潮が良く(追い潮)、波もない。本船は快調な速度で航行。4日ぶりにヒゲを剃る。航海中はヒゲをのばしてみようか、とよく考えるのだが、「ワイルドだろ」とか「チョイ悪オヤジ」はもう古い。「だったらいつ剃るか?」。。と考えたらもうオシマイ。 -
午前中 実験室ではpH測定、全炭酸測定、栄養塩測定、基礎生産測定等が進行中。本船の”いきものがかり”の皆さんは共生藻の光合成活性を測定、植物プランクトンの同定中。
自分は居室でデータ整理。クルレポ作成。データ整理と平行して久しぶりの洗濯。船内にある洗濯機・乾燥機の多くが稼働中。皆考える事は同じ。洗濯・乾燥が終了しているのに長時間放置するのはマナー違反。そんな時は勝手にとりだされて棚に入れられても文句が言えない。
ブログ読者には、女性の洗濯物でもそうするのか?と心配する輩がいるに違いない。心配ご無用、女性用の洗濯機は女性風呂内にある。
ちなみに今回は乗員78名中女性は12名。うち母2名。 午後、S1セジメントトラップ試料の整理。
熟練者4人で、70本弱のサンプルを、汚れ拭き、整列、写真撮影、高さ測定、シール、ナンバーリング、袋詰め、箱詰め、を行う。作業時間50分。その手際の良さに自画自賛。「世界で一番素早いマシンだ」「第二の産業革命だ」「でも環境にやさしい」と冗談をいいながら。
早速、居室で測定結果をグラフ化。
200m、500m、4810mの季節変動は同調し、夏と春に沈降粒子の増加が見られた。良いデータに満足。夜、はじめチャンネル開局。第一弾「ミーアキャットの世界」。
21:30 北緯36-55度、東経146-02度。JKEOに向けて航走中。
夕方頃までは快調な船速であったが、現在は船速が低下。船体動揺も若干大きい。黒潮続流域で”逆潮”になった模様。22:00 時刻改正。時計の針を1時間前進。
日本時間のままだと観測点K2では日出時刻が2時30分になる。これでは観測時間に支障をきたし、生活のリズムも狂うので、”せめて”4時30分にした い。そのため本船の時刻を2時間変更(本日+明後日に1時間づつ前進)する。K2観測後、むつに帰港するまでに2時間後進させ日本時間に戻す。
従ってK2の観測時には以下の3つの時刻を覚えておく必要がある。
UTC:世界標準時
JST:日本時間=UTC+9時間
LST:船内時間=JST+2時間=UTC+11時間
毎年のことなので慣れたが、最初は混乱したものである。明日は(船内時間)5時から(日本時間4時から)JKEOに採水予定。
腕時計、目覚まし時計の時刻も変えなきゃ(ちなみに船に備え付けの時計は自動的に変更される)。久しぶりにジム&サウナ。戻ってきたら日付が変わっていた。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月17日 S1(day 4)BGC(セジメントトラップ)係留系設置他
Station S1
5:00 採水(2000m 2hr)
本日投入のARGOフロートのキャリブレーションが主目的。しかし多くの人が水を求めてエントリー。5:30 気温26.2度、気圧1011hPa、水温27.1度、波高1.4m、風速4.1m/sec。
天候:晴れ、本日も係留系作業に支障はなさそう。
6:45 ブリッジにてミーティング。
本日の観測作業確認。船長から今後の海況等について報告。当面は問題なさそう。朝食時、甲板からハプニング発生との伝令。あわてて甲板へ。
200mセジメントトラップを移動しようとしたところ、捕集カップが装着されたターンテーブルが脱落。原因はターンテーブルを固定している中央部ネジが破損したため。ただちに機関部にお願いして、折れたネジ部分を取り出してもらう。
同時に、担当者がロープ個に保管されている予備のセジメントトラップから中央部ネジをはずして甲板へ。セジメントトラップを天井クレーンで少し浮かせてもらってターンテーブルを”穴”の位置に合わせて装着。ずれると試料が捕集されなくなる。
またフォルマリン海水(防腐剤)が入ったボトルが装着されているのでターンテーブル総重量は約15kg。関係者4人で息を合わせて慎重に作業を行う。作動テストを行い問題がないことを確認。防腐剤の充填も完了。事なきを得る。
ある意味、甲板上で発生して運がよかった。最初の心境はまさに”じぇじぇじぇじぇじぇ!”(じぇが5つ)。 9:00 約1時間の遅れでBGC(セジメントトラップ)係留系設置作業開始。
まずはゼロ災。”厄は落ちた”と自分に言い聞かせながら。
9:02 トップブイ水中へ
9:09 200mセジメントトラップ水中へ
9:18 500mセジメントトラップ水中へ
11:13 4810mセジメントトラップ水中へ
11:48 シンカーレッコ
作業時間2.5時間。作業開始が遅れたものの、迅速な作業でその分を吸収。12:00 昼食は”冷や麦”。デザートは期間限定「いちご大福 ストロベリーショコラ」。疲れていると甘いものが超ヤバイ! 12:30 位置出し
12:45 ARGOフロート(通常ARGO+Deep Ninja)投入
Deep-NInjaは作業甲板から、スタンダードARGOは繋船甲板から、”お姫様だっこ”スタイルで水中へ投入(写真参照)。
13:05 S1における全ての観測作業終了。本船はKEOに向かって航走開始(航走時間:約10時間)。
連日の係留系作業、そして採水やプランクトン採取、全てスケジュールどおりに完了。天候・海況にもめぐまれたが、乗船者(研究者、マリンテクニシャン)、乗組員(船員さん)の尽力と協力のおかげ。多謝。
大気エアロゾルフィルターを交換して居室へ。観測記録の整理をしようとしたが睡魔に襲われ1.5時間ほどシエスタ。
目が覚めてから観測記録の整理、陸からメールの対応。夕食は洋食。ロールパン、スープ、スモークサーモンのカルパッチョ、マカロニグラタン、ステーキのベーコン巻。
Stevenは大喜び。司厨部員に「like Sunday dinner! Everything is my favorite!」。
それにしても寝ぼけ顔の人が多い。S1観測疲れ?今晩深夜の採水・分析のために休んでた?-
22:00 (潮が良く)観測点KEO※1に早めに到着。
北緯32-19度、東経144-32度。
採水開始。同地点にはNOAA PMELのKEOブイが係留中で、水温、塩分、二酸化炭素濃度を自動計測中。本採水はその値との比較にも使用される。
事前にNOAA PMELからブイの位置を教えてもらっているのでそれに接近しすぎないよう潮の流れを考えた地点で採水器を投入。
2330 水深5600m。これから上昇しながら任意の深度で採水。終了予定は26:00時(午前2時)。船上での配水が終了するのは3時半頃になるであろう。※1 KEO: Kuroshio Extension Observation。黒潮続流調査 関心事が「あまちゃん」からBBQへシフトし始める。やる?やらない?情報通の”くノ一”酪農学園大タマちゃんを司厨に潜伏させるか?
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)


ホームポジションとなる、ある水深(例えば1000m)で一定期間(例えば一週間)漂流・待機。時間がくるとキャリブレーションのため一度深海(例えば2000m)まで沈降した後、水温、塩分等を測定しながら海面まで浮上。測定データを人工衛星を介して陸上へ送信し、再び沈降、ホームポジションにて一定期間漂流・待機する。
現在、世界中の海に約3500個放流されており、水温、塩分、フロートによっては酸素、栄養塩、クロロフィルも計測する。寿命は2-3年。
過去10年間における海洋観測のブレークスルー、エポックメーカーとなった。
2013年7月16日 S1(day 3)POPPS係留系設置他
Station S1
自分がまだベッドにいる間に
◎基礎生産チームは4:30に疑似現場培養終了、ろ過開始
◎係留系チームは5:00から係留準備開始
◎5:30採水器投入
お疲れさまです。
自分は6:30から後方散乱計の電池交換。5:30~7:00 採水(PE, Trap, NIES)(2000m 1.5hr)
国立環境研のKさんと隣合っての採水。「朝飯前の仕事ですね」「そうですね」。
彼は有名な植物プランクトン学者。彼の名前を冠した「K培地」は商品化されている。出身は奄美。奥さんはフランス人。8:00 気温27度、気圧1013hPa、水温26度、波高1.5、風速4m/sec。
天候:晴れ、本日も係留系日和8:30 ”ゼロ災”後、POPPS係留系設置作業開始。
8:35 水中ウインチ投入
8:40 RAS投入
9:30 ADCP投入日射しは強いが、風があるので、湿気ムンムンの昨日に比べると快適(といっても暑いが)。 11:15 設置地点まで係留系を曳航。
11:45 シンカーレッコ昼食時、「本航海でBBQはやるのか?」とSteven。
「本航海は内航なので基本的にはやらない。が、乗船者、船員さんが一同に会してお互いの労をねぎらい感謝する絶好の場なのでぜひやりたい。Stevenからも司厨にお願いを」と答える。
早速Steven、食器片付け時、司厨長に「いつも素晴らしい料理ありがとうございます。とてもおいしいです。また昨年の"Cook out"はすごく楽しかったです」。
司厨長「Thank you ......?!」
(Steven、Cook outじゃわからん、日本人にはバーベキューと言わなきゃ。それから、本航海のBBQはいつなのか?と聞かなきゃ!)12:45 位置出し、観測ブイ切り離し
この間にシャツの交換。甲板で汗びっしょりになり、濡れた服で空調の効いた船内に入ると風邪を引きそう。 14:15~19:15 現場ろ過
この間にセジメントトラップの捕集カップ取り付け、初期設定。
経験者4人なので全てがスムーズに短時間に。モチロン、係留用チェーンを接続してくれるMWJ TくんとFくんに因るところ大。夕食前に再び着替え。洗濯が追いつかない -
19:20~20:00 LISST
いつものように現場ろ過器の洗浄係。雨具を着て湿度の高い海水処理室の作業でまたまた汗だく。終了後、居室に帰ってすぐシャワー。
居室でデータ整理。
21:30 テレビでは明日の係留系設置のためトップブイにARGOS位置発信器とストロボを搭載中のMWJのTくんとFくんの姿が。彼らの働きなしに係留系の設置はあり得ない。多謝! -
今のところ全て計画通り。我々の航海にしては珍しい。
明日はS1最終日。5:00からの採水後、セジメントトラップ係留系を設置。ARGOフロート投入後、次のステーションKEOに向けて航走開始。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月15日(海の記念日) S1(day 2)セジメントトラップ係留系回収他
Station S1
2:00 採水(基礎生産ほか)300m(0.7hr)
日の出前にトレーサーを入れた培養瓶を準備。甲板水槽にしかける。時間との戦い。酸素法との比較も実施。
今回は採水項目が多く配水終了まで2時間ほどかかった、との報告。
3:00頃(採水終了後)FRRF(Fast Repetition Rate Fluorometry:高速フラッシュ励起蛍光光度法)※1※1 FRRF
基礎生産(光合成速度)は通常、植物プランクトン培養して炭素同位体取込速度や酸素濃度変化から算出するが、FRRFでは暗所にいる植物プランクトンに光合成を行う波長の光を照射、その利用効率から基礎生産能力を算出する。日出4:30頃
6:00現在 気温27.0度、気圧1013.7hPa、水温27.1度、波高1.6m、風速4m/sec。本日も観測日和7:30 FRRF
8:30 採水(AORI, KIMOPY) (500m 1hr)
9:30 LISST (Laser In Situ Scattering and Transmissometer:現場型レーザ散乱・透過度計)※2※2 LISST
通常水中の懸濁粒子量は、採水+ろ過で計測しているが、LISSTは光学的に水中の懸濁粒子を現場(水中)で測定する装置。水中の懸濁物質にレーザ光を照射、その散乱、透過度の様子から,粒子濃度,粒径を算出する。10:00 本日は「海の記念日」。
JAMSTEC横須賀本部一般公開日に寄せ書きされた旗をメインマストに掲揚。
寄せ書きしてくれた子供達の中から一人でも多く、海を愛し、海を大切にし、海の神秘と重要性に興味を持ってくれることを願いながら。
第一ブイ格納庫ではH大後輩先輩のワッキーとOくんが自動採水装置RASの投入準備。格納庫内の温度は30度以上。二人とも汗だく。Kくん特性の”カチワリ”(氷をジップロックに入れたもの)を首にあてがって熱中症防止。11:00 FF
11:45 BGC係留系へコマンド送信
一台目の切り離しだけではうまくいかなかったため二台目の切り離しも作動させる。結果、
12:08 海面へ浮上。少し難産であったが事なきを得る。
12:15 FRRF13:00 作業艇降下。回収作業開始。
13:54 トップブイondeck
14:05 200mセジメントトラップondeck。
14:20 500mセジメントトラップondeck。
16:00 4810mセジメントトラップondeck。
明日(7/16)回収だったら全ての捕集カップによる沈降粒子捕集が完了していたのに少し残念。しかし全ての動作良好。ほぼパーフェクトのサンプリング。
16:10 切離装置ondeck。回収作業終了。捕集カップを素早く冷蔵室へ保存。高圧洗浄機でセジメントトラップ洗浄。本日の洗浄係はTさん。高圧洗浄機は人気がある。
湿度が高く汗びっしょり。夕食前にシャワーを浴びて着替える。-
16:30(回収作業終了後)FRRF
18:00~19:30 KIMOPYプランクトンネット(1.5hr)
夕食後、セジメントトラップの電池交換。後方散乱計のデータ吸い出し(これでよかったっけ?)。
21:00 第一ブイ格納庫ではワッキーが、明日設置のPOPPS係留系に取り付けるRASの最終準備中。汗だくになりながら1日がかりでのセッティング。こんな”テンパっている”時に限って「RASの仕組みを教えて下さ〜い♡」と女性陣。ワッキーに変わって自分やKくんが喜んで説明役に。 21:45 RASのセッティングが終了した、とワッキー。お疲れ様でした。
自分は引き続き後方散乱計のデータ再吸い出し(何か変?)。その横ではKIMOPYとTさんが共生藻の顕微鏡観察中。
22:45 ようやくデータ吸い出し(生データファイル作成)終了。35分経過。さらに物理量データに変換。22:47からスタート。なかなか進まない。1日1分のペース?365日で365分?!6時間?じぇじぇ!
途中シャワー。
24:00 どうやら時間がかかるのは本当のようなのでこのまま朝まで放置することに(フリーズしないか心配)。甲板はあいかわらずすごい湿気、モワっとしている。
居室に戻ってプシュッ!ぐびっ!くう〜っ!
さすがに今日は疲れました。
(居室でメールチェック。今週の「あまちゃん」情報あり。船内に配信。) -
明日は5:30から採水、そしてPOPPS係留系設置。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月14日 S1(day 1)POPPS係留系回収他
Station S1 (北緯30度、東経145度)
6:00 起床。洗面後 大気エアロゾルサンプラーのフィルター交換
気温26.6度、気圧、1014.5hPa、波高1.3m、風速3.3m/sec
天気 晴れ。絶好の係留系回収日和。<POPPS係留系回収>
6:53 コマンド(ENABLE, RELEASE)送信
6:56 浮上確認。第一発見者 本係留系担当のFくん。気合いが違う。
7:55 作業艇降下。水中ウインチから中間ガラス球まで、絡むことなく一直線状に並んでいる。
8:00 ”金魚”とよばれる観測ブイを作業艇に揚収。間もなく「みらい」船上へ。
昨年よりも生物付着多い。より浅い水深に設置されていたと考えられる。”エイリアン”のようなグロテスクなエボシガイ(MR12-02航海ブログ2012年6月23日参照)も多く付着。
高圧洗浄機で生物付着を洗い流すのは酪農学園大のタマちゃん。さながらエイリアンに立ち向かうシガニー・ウイーヴァー。
8:35 水中ウインチondeck。こちらも生物付着多い。
8:40 RAS(自動採水装置)ondeck。全ての採水に成功した模様。色の黒さと歯の白さだけは”織田裕二“似の担当者Wくんもご満悦の様子。
多くの乗船者が、自発的に、献身的に、機材運搬、係留系バラシ、機器洗浄を手伝う。互いの観測を助け合う、これが海洋観測・研究の重要なところ。得られたデータは皆の努力の賜物。決してムダにはできない。
11:00 切離装置ondeck。回収作業終了。11:45 フリーフォール
有光層 約90m。13:00 採水(ルーチン他)5500m
通常のルーチン項目に加え、フロン、酸素同位体、窒素同位体、炭素同位体等もある。採水瓶も採水方法も様々。結局配水に2時間30分。蒸し暑い採水室と第一ブイ格納庫での作業、皆グッタリ。お疲れさまでした。
表層混合層5m以下。強い成層化。有光層深度からもプランクトンはかなり少ないのでは。17:30 KIMOPYプランクトンネット(1.5時間)
自称”肉食系”のKIMOPY。新しいパートナーは早稲田大のTさん。今回は有孔虫の共生藻もターゲットとのこと。前回の航海で堆積物コアの処理をいっしょにやったStevenもお手伝い。20:00 IONESS(3hr)
福島原発事故由来の放射性セシウムが動物プランクトンから検出されるか?*2011年4月、事故から一ヶ月後S1で採集した動物プランクトンから、国の定める暫定基準値よりかなり低いものの、事故前には存在していなかった放射性セシウム134が検出される。同年7月、12月にも検出。ただしその濃度はどんどん低くなっている。 待機中、百田尚樹「永遠のゼロ」を読み終える。船長の言う通り、感動的な結末に目がウルウル。
現在、映画化放映中。主人公のゼロ戦パイロット役はV6の岡田准一。イメージはピッタリかも(元シブガキ隊のモックンもあり?!)。-
23:00 IONESS ondeck。
ルーチン分析中であり、明朝2:00からの採水があるため、前回よりアシストが少ない。こういう時こそお役にたたなければ、と雨具を着て甲板に。参加者17人。夜でも蒸し暑く雨具の中はビショビショ。
23:45 サンプル処理終了。 -
シャワーを浴びて航海報告を書きながらナイトキャップ。
今のところ全ての観測が予定通り。明日は2:00採水(基礎生産)からスタート。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)



KIMOPY便り
”エビげっちゅうー”でおなじみKIMOPYです。本航海でもユニークな生物を紹介します。写真は時系列航海に参加している人はみなご存知,エボシガイです。係留系やブイにかならずくっついているアイツです。ですが,我々がいつも見る大きさではありません。これは全長3mm,顕微鏡クラスの大きさです。
このエボシガイは,海面を漂う流れ藻の先端部に付着していました。流れ藻はF1のガラス球に偶然くっついていたものです。こんなちいさいときから付着生活を送るのですね。小さくても形は成体と少しも変わりません。
海を漂うものには何にでもくっつく,エボシガイのたくみな戦略と生命のたくましさには驚かされます。

2013年7月13日 S1に向けて航走中
6:45 ブリッジにて打合せ。当面、海況はよさそう。
7:30 朝食。朝ドラ見ながら至福の時を過ごす。来週も見逃せない。でも衛星放送受信も今日までか。。。。 8:30 北緯34-08度、東経143-54度
気温26.2度、気圧1011hPa、水温26.1度、波高2m。
本船は経済スピードをキープしながらS1に向けて航走中。9:00 採水練習
昨夜、反省した人、反省し過ぎた人、昨夜の事を反省している人が第一ブイ庫に集合。MWJの指導のもと、S1とK2で戦力になるべく練習。
その横で、フリーフォール(水中光測定装置)の作動確認。良好。
そのまた横では、KimopyとFくんが放散虫の共生藻光合成活性を測定中。11:00頃 排他的経済水域(EEZ)外へ。いよいよ公海。
昼食まで居室でセジメントトラップ作動状況の確認と試料整理準備。午後 セジメントトラップ試料の整理。捕集量の目視観測。整理(マーキング、シーリング)、箱詰め。
早速、居室でセジメントトラップデータの整理。水深500mと1000mのフラックスの季節変動がタイムラグをもって同調している様子が明らかとなる。
甲板ではMWJのTくんと Fくんが再投入用ガラス球チェック。お疲れさまです。先日、”ひな壇”(士官クラスの人と乗船者代表の食卓)で本屋大賞を受賞した百田尚樹著「海賊とよばれた男」が話題に。
タンカー経験者の船長や次期船長にとって、主人公の中近東での石油買い付け、石油輸送に関する苦労話は大変共感が持てるとのこと。
また主人公が神戸商船大学の前身を卒業していることも関心の理由とのこと。放送作家であった著者だけに文章のテンポが良く読み易い。
現在自分は同著者の「永遠のゼロ」を読書中。一足先に読み終えた船長「泣けますよ」。この先が楽しみ-
夜、自宅に電話。今回から船の電話はプリペイドカード方式に。31分で約2200円。
何度か留守電。それだけで3分経過。4回目でようやくつながる。
嫁が2週間の海外出張から帰国。娘もこれで一安心。 -
明日からS1。滞在中、毎日係留系作業。その他盛りだくさんの観測に息つく暇がなさそう。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月12日 観測点F1/FS1 セジメントトラップ係留系回収・設置作業
station F1
6:00 起床 Station F1付近。
船はゆっくりと南下、係留系投入開始地点まで移動中。
波高1m、風速2m/sec。昨日以上に濃い霧。視程100mぐらい。これでは原研(原子力研究機構)のセジメントトラップ係留系回収は困難。F1係留系投入を先に、としたブリッジの判断は正しかった。甲板ではMWJマリンテクニシャンのTくんとFくんが係留系を展開、投入準備中。
6:45 ブリッジにて本日の作業予定確認。順調に行けば10時にはF1を離脱できるかも。7:15 早飯 7:30 「あまちゃん」を見ながらヒゲをそりコーヒー飲んでいざ出陣 8:00 F1セジメントトラップ係留系設置作業開始。
気温23度、暑すぎず寒すぎずの中、作業は順調に行われる。
8:23 500mセジメントトラップ海中
8:54 1000mセジメントトラップ海中
9:17 シンカー投入。いつもながら安全で迅速、的確な係留作業であった。完璧な仕事ぶりに Stevenは感謝感激。
9:40 位置出し(係留系設置位置確認)終了。本船はFS1に向けて航走開始。11:30 周辺はあいかわらず濃霧。昨日のように午後になれば霧が晴れるか??? <原研セジメントトラップ回収>
13:50 Station FS1(北緯37-19度、東経142-10度)着
早速トランスデューサーを吊りおろし、切離装置と交信。切離装置起動、距離測定は順調に行えたものの、霧が予想以上に濃く、シンカー切り離しを躊躇。しばらくどうするか思案。
14:10 霧で視界が300m程度なので、作業艇を係留系浮上予想点で待機させることに。海面へおろされた作業艇は霧の中へ。トランシーバーの交信とレーダだけが頼り。視界は良くなったり悪くなったり。
14:23 比較的視界がマシに。「いつやるか?」「今でしょ」を合い言葉に、切り離しコマンド送信。すぐに切り離しに成功。係留系の上昇が確認される。
14:25 ブリッジから周囲を見渡す。しかし視界は200m程度。作業艇も見えず。
14:30 切り離しから7分計画。目視はできないものの、レーダーに陰影が現れる。係留系浮上か?トランシーバーで作業艇を誘導。
14:35 作業艇が係留系を確認。
係留系トップを確保した作業艇をトランシーバーで「みらい」へと誘導。
14:58 トップブイondeck
15:20 ツイン型セジメントトラップondeck。1年にわたる沈降粒子捕集に成功。2つのトラップ試料の再現性も見事であった。
15:26 切離装置ondeck。回収作業終了これにて原発事故に関連する福島沖の観測は終了。本船はS1に向けて航走開始。着予定7/14未明。
本日はレーダのありがたさが身にしみた。ただし、風弱く海面が平坦であったおかげで作業艇、浮上した係留系の確認が容易であったが、波高が大きければアウトであった。船上ではガラス球ばらし、セジメントトラップの試料回収。その後は、高圧洗浄機でセジメントトラップ、切離装 置、チェーン・シャックルの洗浄。最初はスティーブが、その後はやりたそうにしていた女子学生が。付着生物が簡単に洗い流され、トラップ等がみるみるキレ イになっていくのは快感である。
好奇心旺盛な嫁の発案で我が家でも高圧洗浄機を購入。"苔むし"始めた外壁を洗浄。「船で使い慣れているから」とガンガン洗ったら塗装まではがしてしまった。。。。その前はテレビショッピングでおなじみの「スチーム床磨き」を購入。試運転の結果、フロアリングを水浸しにする。彼女の会社の「やってみなはれ」精神、時には仇となる。(閑話休題) -
夜、本航海一回目の反省会。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月11日 観測点F1 セジメントトラップ係留系回収他
station F1
6:00
北緯36-29度、東経141-29度
気温21.8度、気圧1007hPa、波高1m、風速4m/sec
天候 霧
海は穏やかだが霧。切り離しをかけるのが躊躇される。7:00 Wake up call(ENABLE command送信)。3回目で切離装置との交信に成功。スラントレンジ測定(距離測定)実施。切離装置の生存、係留系の存在が確認される。
しかし周囲は相変わらずの霧。ブリッジと相談し係留系回収作業は午前中待機、かわりに現場ろ過からスタートとする。担当者K研究員と急いで現場ろ過のセッティング。-
8:00 現場ろ過投入。4時間ポンピング。
海中懸濁粒子の鉛直分布とその化学組成の解明が目的。後に続く光学的粒子観測(by LISST)との比較も興味深い。
本航海初の甲板大型作業。見学者も交えて「ゼロ災」(作業前に円陣を組んで、つきだした片手のこぶしを指差し、指名者の「今日もゼロ災(害)で行こう!」を唱和)。 9:30 視界徐々に良くなる。午後は大丈夫かも。
ただし時間によって視界不良にも Stevenと福島沖セジメントトラップ、K2セジメントトラップデータに関して意見交換(陸起源物質の水平輸送、予想以上に”遅い”セシウム沈降速度)。一般公開で寄せ書きしてもらった旗の一部をブリッジにわたして掲揚準備、一部はブイ調整室に展示。
11:30 視界不良。気分はモヤモヤ 12:30 現場ろ過器回収。
この頃になると日差しが強くなり、視界良好、水平線が見えるようになる。チャンス到来!「いつやるか?」「今でしょ」と独り言を言いながら作業。しかし所期の目的(現場ろ過データとLISSTデータの比較)を達成するため、また現場の混乱を避けるため、予定通りLISST観測を先に実施することに。
13:00 LISST投入(担当:東大大気海洋研)。レーザー光を使って光学的に粒子サイズ、数量を連続測定。<F1セジメントトラップ係留系回収作業>
視界は本日最高となる。かつベタ凪。
14:00 Wake up call(ENABLE command送信)
14:18 Release command 送信
5分後に最初のガラス球グループ浮上。白波もないので黄色いガラス球が容易に発見される。5分後に2番目のガラス球グループの浮上を確認。
14:40 作業艇投入。
15:00 最初のガラス球グループondeck。
15:20 500mセジメントトラップondeck
15:40 1000mセジメントトラップondeck
15:50 終了
いくつか欠落サンプルはあったものの、両水深とも遠洋では見られないほどの多量の試料が捕集されていた。大成功。これで一つのミッション終了。夕食までセジメントトラップの洗浄。CPU、バッテリーの耐圧容器取り外し。16:30 採水(ルーチン1300m)
18:00 採水器ondeck。多くの乗船者が関わる最初の海水試料。第一ブイ庫はサンプリングする人とその容器、加えて見学者で大混雑。配水開始。
自分は、その横でF1セジメントトラップ再設置準備再開。ステッピングモーターを交換をしたためいつもより作業量が多かったが、セジメントトラップ経験者4人で準備できたので1時間30分で終了。しかし疲れた。22:00(時間固定) IONESS。動物プランクトンに含まれる福島原発由来の放射能測定が目的。
22:00 IONESS ondeck。サンプル処理。色とりどりの雨具を着用した30名弱が参加。
22:55 終了長い一日が終了。どうなることかと思われたが予定どうりに観測作業実施。
明日も午前中は濃霧が予想される。よってF1でこのまま待機、朝飯後にF1セジメントトラップ設置、それからFS1に移動して原研のセジメントトラップを回収することにした。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月10日 出港 ミーティング他
6:00 起床。
洗面後、何となく落ち着かなくブリッジ、甲板、ブイ調整室をウロウロ。出会った人と挨拶・立ち話。まずは明日の係留系準備が気掛かり。
8:00 点呼点呼の電話が混んで通じない。朝ドラ始まる。テーマソング中にブリッジにダッシュ。間に合うものの、今度は大気サンプリングチェックの立ち会い要請。。。チャンスは後2回:12:45/23:00 9:00 出港
大気汚染で、視程低下。みなとみらい地区が霞む。本当ならバックに世界遺産の富士山が見えるはずだが。
ベイブリッジ通過後、大気サンプリング開始。
甲板では多段式大型プランクトンネットIONESSの組み立て開始。放射線源があるウエットラボ、X線室もオープンとなる。10:30 船内生活ブリーフィング
11:00 係留系ミーティング。明日、明後日の段取りについて。12:45 電波状況悪く映像ブツ切れ。”ミサンガ”、が何だって? 13:15 避難訓練
15:00 乗船者会議。自己紹介、スケジュール確認、観測作業内容に関する質疑応答。
16:45 金比羅。”勝負服”を着て航海の安全を祈願。
18:00 現場ろ過器の電池装填。1台の基盤に不具合があり、原因究明に時間がかかる。無事修復できたが作業時間2時間。初日なのでキツイ作業。
その後は陸からのメール対応。23:00 ようやく! 明日は F1。早くも本格的に観測開始。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月9日 出港前日
8:30 横浜シェラトンホテルでウッズホールからの乗船者をピックアップ。
彼(スティーブ)は米国滞在中の自分の教育係。昨年の航海+11月の訪米時にお会いしていたとはいえ久しぶりの再会。9:00 乗船。
居室整理。明日のミーティング準備。大気サンプリング作業打合せ。12:00-15:00 下船。娘の中学で三者面談。
「バスケクラブ」頑張ってますね。「ホームルーム」活発ですね。「勉強」もその勢いで頑張りましょう。言われる事は親と同じ。15:00 船上セミナー
定期的に行っている海洋物質循環セミナーを、みらい見学会を兼ねて、船上で開催。講演者は海外からのお客さん。二人ともモデラーで一次生産、捕食圧、窒素固定のメカニズムに関する話。18:00 夕食
上記訪船者と乗船者で壮行・歓迎夕食会。お店は関内にある元南極料理人のお店。無国籍料理+郵船カレーを堪能。往往にして出港前夜は飲み過ぎるのでセーブしながら。21:30 帰艦。
いよいよ明日から出港。台風7号が発生しているようだが強い太平洋高気圧のおかげで北上してはこないであろう。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年7月8日(出港2日前) 出港準備
みらいは横浜港山下埠頭に着岸中。元町・中華街駅から徒歩23分。
8:00、乗船。 早くも汗だく。
9:00より艤装。
朝から気温30度超え、日中は35度の猛暑日となる。シャツはびっしょり、ズボンははりつき、顔から汗がしたたり落ちる。脱水症状に気をつけながら艤装。赤道航海から戻ってきた船員さんもこの暑さはつらそう。
14:00には全ての機関の資機材搭載が完了。その後は各部署に分かれて出港準備。太平洋高気圧がどっしり居座っているせいで猛暑日が続くとのこと。
陸上の人々には申し訳ないがしばらくは観測日和が続きそう。17:00 下船。今夜は自宅。
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年6月28日 ブイメンテナンス
今回は、本航海で設置するブイのお話しです。
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我々が研究対象とする海域は、日本から遠く離れた外洋域です。研究船みらいで観測に行けるチャンスは、年に1回程度。
しかしそれでは、刻々と変化する海の状況を調べるには無理がある・・・そこで活躍するのが、無人で観測が行えるブイシステムです。 -
開発したブイシステムでは、水深約200mにある水中ウインチに接続したセンサーブイが、1日1回、海面まで上昇し水中の水温、塩分、酸素濃度、クロロフィル、水中光、基礎生産力等を測定します。
センサーブイが海面に到達すると、人工衛星を介して測定したデータを陸上の研究所に転送し、再び水中ウインチに巻き込まれて元のポジション(~200m)に戻るしくみになっており、送られてきたデータを解析することで、陸上にいながら、ほぼリアルタイムで海の状況を知ることができる優れものです。 -
とは言え、外洋域に設置したブイは、もし不具合が起きたら、一年後の航海まで修理・再設置できません。
そこで、設置する前にブイシステムの念入りな点検・試験を行います。
毎回、気が抜けない作業です。。。
(藤木 徹一)
2013年6月20日 首席研究員の悩み
航海まで後20日。首席研究員のお仕事の一つは観測作業スケジュールの作成。乗船前に案を作成、乗船関係者へ送付、意見を集約し確定していく。
「日の出前にやって欲しい」「**の観測に隣接して欲しい」と研究者。
「分析が終了しないので採水間隔は**時間以上空けて欲しい」「この観測作業を続けると人手不足」とマリンテクニシャン。
「この作業とこの作業の間は準備に**時間必要」「ワッチの関係で、夜の大型作業の翌日は軽作業にして欲しい」と乗組員。観測作業量、人員配置、業務時間、試料処理・分析時間など考慮はするも「あちらをたてればこちらがたたず、こちらをたてればあちらがたたず」。
加えて、現場への到着時間、海況、によっては全てがご破算になることも。
何度やっても悩ましい作業である。(その他の悩み)
航海中はテレビが観れない。昨年はEURO2012(サッカー欧州チャンピオンズリーグ)、今年は「あまちゃん」が.................
(本多 牧生・MR13-04首席研究者)
2013年6月14日 海洋物質循環セミナー
天気:くもり
15:00 - 17:00 JAMSTEC横須賀本部
物質循環研究プログラムでは、主に海洋の研究に携わる研究者の成果報告の場としてセミナーを開催しています。本日は今年度の第3回目。
トップバッターは古海洋環境研究チームの高木悠花さん。酸素・炭素安定同位体比分析から浮遊性有孔虫における藻類との光共生情報を識別するという話。
私にとっては非常に難しそうな内容でしたが、美しいパワポ資料とわかりやすい発表のおかげで楽しく聞けました。
なんと彼女は3月に修士課程を出たばかりで博士1年目研究生とのこと。。とても博士1年とは思えない貫禄ある発表に脱帽。
彼女は我々と一緒に来月の「みらい」航海にも乗船予定。良いデータが取れるといいですね。次の発表は海洋生態系研究チームの笹井義一さん。高解像度モデル(約3kmの空間解像度)で再現された西部北太平洋におけるクロロフィルaと栄養塩分布の話。
発表では「みらい」での観測定点付近における数値モデルの結果が示され、船舶では捉えることのできない非常に細かい空間スケールの現象が再現できている様子が紹介されました。我々の研究チームでは、今年度の中期計画最終のまとめに当たって、船舶観測とモデル研究の連携が重要な課題となっています。
現在、笹井さん他モデル研究チームの皆さんの力もお借りして、研究成果のまとめに取り組んでいます。
(笹岡 晃征)
2013年6月5日 ポストクルーズミーティング
天気:晴れ
13:00 - 17:00 JAMSTEC東京事務所
世間では昨晩の「日本代表ワールドカップ出場決定!」の話題で持ちきりの中、今日は都心の東京事務所まで出向いて会議です。
我々の観測には大学や他の研究機関等から外部研究者の皆さんにも多く参加していただいております。
今日は東京事務所で我々の観測航海に乗ってデータを取られている外部研究者の皆さんと一緒に研究ミーティングを開きました。
内容はこれまでの観測データから得られた海洋の炭素循環フローに関する具体的な数値の検討と 問題点のあぶり出し、さらに今後これらの成果をどのように論文にまとめていくか等々。。JAMSTECでは今年度が中期計画最後の年ということもあり、これまで5年間の研究成果をきっちりとまとめなくてはいけません。
4時間ほどみっちりと議論をし、乗船前までの宿題が課され会議は終了。あと航海までほぼ一ヶ月、成果をまとめたり、乗船準備等、色々と忙しくなりそうです。
(笹岡 晃征)
2013年5月29日 むつ研究所
天気:くもり
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むつ研究所でのみらい艤装を終え、横須賀へと帰路につく
むつ研究所では物質循環観測研究や沿岸観測研究にトライトンブイやアルゴフロートのメンテナンスなども実施しています。また、むつ研究所はみらいの母港でもあります。
8月10日(土)には一般公開が予定されてますが、MR13-04航海が終わったばかりのみらいも公開予定。夏の東北お祭り巡りのコースにどうでしょうか?むつ市の玄関は本州最北端の下北駅。名前はちょっとお洒落な街を想像させます。
霊場恐山の麓でまさに避暑にはもってこい!?あのマグロで有名な大間だって足を伸ばせば行けちゃいます。温泉三昧、美味しい海の幸・山の幸とむつの出張は楽しみも多い。
帰る道すがら、横浜で辺り一面に咲き誇る菜の花鑑賞。下北地方で横浜と言えばもちろん「むつ横浜」!
(松本 和彦)
2013年5月28日 みらい艤装
天気:くもり
青森県むつ市JAMSTECむつ研究所
みらいの艤装(荷物の積込)第1弾。
MR13-04航海は7月10日(水)横浜出港であるが、セジメントトラップ等の係留系機材やその他多くの観測機材がむつ研究所に保管されているため、むつから出港するMR13-03航海に便乗してむつ研究所保管分の荷物を積み込む。横須賀本部にある機材や大学等の外部研究機関の荷物がないため、いつもの艤装作業に比べると作業量は少ない。しかし、作業者の人数も少ない。少数(精鋭かどうかはおいといて)で作業開始。
横須賀より涼しいけれどいつの間にかヘルメットの中は汗だく、終わるとぐったり。艤装第2弾は横浜港で7月8日(月)に予定。
艤装第1弾が終わったのでもうすぐ観測航海なんだと実感が湧く。
まだ横浜艤装分はほとんど準備してないが、横須賀に戻ったら準備に取りかからねば。でも横浜の艤装は暑そうだなぁ・・・
(松本 和彦)
2013年5月18日 JAMSTEC横須賀本部 施設一般公開

- 「MR13-04 海に想いをかかげよう!」メッセージフラッグに、たくさんの寄せ書きをいただき、ありがとうございました!
- MR13-04みらい観測航海ブログでは、7月10日の出港から、船上からのレポートを随時発信していきます。メッセージフラッグは7月15日(海の日)に掲げる予定で、その様子もブログで発信いたします。どうぞご期待ください!
- また、観測航海の準備などについてもレポートしていきます。お楽しみに!