2014年 1月 30日
独立行政法人海洋研究開発機構
海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦)は、地球深部探査船「ちきゅう」による国際深海科学掘削計画(IODP)(※1) 「南海トラフ地震発生帯掘削計画」の一環として、平成25年9月13日より実施してまいりました第348次研究航海は、平成26年1月29日24時に作業を終了し、30日に資機材積み下ろしのため愛知県名古屋港(知多)に入港しましたのでお知らせします。
1.調査事項
「南海トラフ地震発生帯掘削計画」の掘削では、大深度掘削によって巨大分岐断層の活動履歴や、沈み込む海洋プレートからはぎ取られて形成される付加体の内部構造等の情報を得ることなどの知見を総合的に分析することにより、海洋プレート沈み込み帯の構造・形成過程やプレート境界断層の変動を明らかにし、巨大地震・津波発生メカニズムを解明することを目指しています。
第348次研究航海では、紀伊半島沖約80㎞にある掘削孔(図1のC0002孔、水深1,939m、H24年度から掘削を実施)において、海底下860mから掘削を開始し、南海トラフ地震発生帯の付加体内部において地層サンプルを採取するとともに、掘削同時検層により科学掘削としては世界最深の掘削深度記録となる海底下3,058.5mまで掘削を進め、地層の物性データを取得することに成功しました。
本年度の計画では海底下3,600mまで掘削する予定でしたが、度重なる掘削海域の気象・海象の不良の影響で作業が長期間中断するともに、当初の予想以上に掘削孔の地質の状況が悪く、その対応作業に時間を要したことから作業日程を延長したものの(平成26年1月17日既報)、今年度は海底下3,058.5mで作業を終了することとなりました。なお、今後の掘削計画につきましては、今回の掘削で得られたデータを十分に検討したうえで決定する予定です。
(本年度の掘削データ)
2.今後の「ちきゅう」の運航予定
・2月上旬 資機材の搬出入およびメンテナンスのため、静岡県清水港(興津埠頭)に入港予定
※1 国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)
平成25年(2013年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧州(19カ国)、中国、韓国、豪州、インド、NZ 、ブラジルの27ヶ国が参加。日本が運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船ジョイデス・レゾリューション号を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行う。
図1.今回の研究航海での掘削地点(C0002)