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プレスリリース

2015年 4月 24日
国立大学法人東京大学大気海洋研究所
国立大学法人東京大学理学部
国立研究開発法人海洋研究開発機構
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所

過去の温暖期における東南極氷床の形状を岩石の露出年代と気候モデリングで制約

東南極氷床は、全てが融解すると海水準を世界的に60m以上上昇させる淡水を蓄えています。現在進行中の温暖化により、この氷床がどうなるかが注目されています。今世紀末の大気中の二酸化炭素(CO2)レベルと類似していたとされる、過去の温暖期である鮮新世(約533万年前~約258万年前)の地球環境を調べることは、それを知るための大きな手掛かりになります。東京大学大気海洋研究所の横山祐典教授と山根雅子博士課程学生(現:ポストドクトラル研究員)らと、同研究所の気候モデリング部門、海洋研究開発機構、国立極地研究所、東京大学総合研究博物館の合同チームは、東南極氷床が融けて岩盤が露出した地域の岩石の宇宙線暴露年代(露出年代)測定と氷床モデルを用いて、鮮新世における東南極氷床の復元をおこないました。

東南極各地の岩石の露出年代から東南極氷床の厚さの変化を復元した結果、多くの場所で現在よりも氷床が厚く、氷床は鮮新世以降に内陸から沿岸へ向かい徐々に薄くなったということが明らかになりました。氷床モデルを用いたシミュレーションからも、本結果と整合的な結果が得られました。一方、東南極で唯一氷床が海に存在しているウィルクス氷底盆地は、先行研究でその氷床の融解が報告されていましたが、本合同チームがおこなった、氷床モデルを用いたシミュレーションからも、ウィルクス氷底盆地とオーロラ氷底盆地では氷床の大規模な融解が示されました。東南極の氷床量の増加は、温暖な鮮新世で全球的な水循環が活発であったため、南極の降雪量が増えたことが原因と考えられます。このため、氷床量の減少の効果が相殺され、現在より40mも高かった可能性が指摘されていた鮮新世の高海水準期に東南極氷床が与えた影響は、わずかだった時期があることが示唆されました。

詳細は東京大学のサイトをご覧下さい。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
広報部 報道課長 野口 剛
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