理化学研究所(理研)計算科学研究機構データ同化研究チームの三好建正チームリーダーらの研究チームは、天気予報シミュレーションの高精度化を目指し、スーパーコンピュータ「京」を使って、現実大気で世界最大規模となる10,240個の「全球大気アンサンブルデータ同化」に成功しました。これにより、数千kmに及ぶ遠方の観測データを活用して天気予報の精度を大幅に改善できる可能性が明らかになりました。
2014年7月23日に発表したプレスリリース「『京』を使い世界最大規模の全球大気アンサンブルデータ同化に成功 -天気予報シミュレーションの高精度化に貢献-」では、通常は100個程度に限られるアンサンブルを、10,240個に飛躍的に向上させることに成功したものの、疑似観測データを使ったシミュレーション実験によるものでした。今回、現実大気の観測データと解像度112kmの全球大気モデルNICAMを使って、10,240個のアンサンブルデータ同化に成功しました。その結果、実際の天気予報シミュレーションにおいて数千kmに及ぶ遠方の観測データを活用できる可能性があることが分かりました。全球降水観測GPMによる衛星観測データなどさまざまな観測データをより効果的に活用して天気予報の改善に役立てられる可能性があります。
本研究は、IEEE発行の米国の科学雑誌『Computer』(11月号)に掲載されます(デジタル版は11月中旬に定期購読者に公開予定)。
詳細は理化学研究所のサイトをご覧下さい。