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プレスリリース

2016年 3月 14日
国立研究開発法人海洋研究開発機構

トライトンブイ18号基の回収について

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦)は、平成28年1月21日に漂流を確認したトライトンブイ()18号基(平成28年1月22日既報)を、平成28年3月11日午前11時12分(日本時間)、当初設置点(南緯1.5度、東経90度)(図1)から西方に約487km(南緯0度18.3分、東経85度48.2分)の海域において、同海域付近を研究航海から回航中であった同機構の船舶「よこすか」により回収しましたのでお知らせ致します。

1.回収したブイの状況:
図2
洋上ブイならびに係留用ワイヤロープの上端部から11.6mまでの部分が回収されました。回収されたワイヤロープの下端は破断していました。
洋上ブイには、機構以外の者が停泊や係留等に使ったと思われるロープが取り付けられており、またブイ上部の気象センサ取り付け用ポールは傾いており、取り付けていた気象センサにも破損が確認されました。
さらにブイ直下部分の係留用ワイヤロープにはブイが設置されている周辺諸国で使用される集魚用と思われる漁具やテグス等の絡みも確認されました。
2.推定原因:
破断した係留用ワイヤロープには、テグス等の漁具の絡みが見られるため、人為的な被害により係留用ワイヤロープが破断に至り、ブイが漂流したと思われます。
3. 海上保安庁への連絡:
回収完了後、直ちに、海上保安庁海洋情報部に対し、回収によって他船舶との衝突等航路障害の恐れがなくなった旨を通報しました。
4.今後の予定:
当該ブイは3月下旬に機構本部に到着予定です。破断したワイヤロープについては詳細な原因解析を行い、今後の対策に反映致します。回収されたブイやセンサは、点検・修理の上、再びインド洋観測に使用される予定です。

※トライトンブイ(図3
トライトンブイは、インド洋と西太平洋の熱帯赤道域に当機構が設置している、海洋観測ブイです。海水温度、塩分濃度について深度500メートル(インド洋)もしくは750メートル(西太平洋)まで一定間隔で観測するほか、風、大気温度、湿度、降水量、日射量、潮流の観測も行います。観測されたデータは、人工衛星を通じ気象庁はじめ世界の気象機関や研究機関等に提供され、エルニーニョやダイポールモード現象などの研究や季節予報、台風発生等の気象予測の精度向上等に寄与しています。現在インド洋では、小型タイプのトライトンブイによる観測を行っています。

図1
図1 トライトンブイ18号基 設置位置および回収地点の海域図
図2
図2 トライトンブイ18号基の回収時の状況
左上:
気象センサポールが傾き、センサが破損した洋上ブイ
左下:
洋上ブイに取り付けられていたロープ
右上:
係留用ワイヤロープに絡みつくブイが設置されている周辺諸国で使用される集魚用と思われる漁具とテグス
右下:
係留用ワイヤロープ破断部
図3
図3 トライトンブイ18号基の構成
(CTD:電気伝導度、水温、水深計、ADCM:超音波流速計、TD:水温、水深計)
国立研究開発法人海洋研究開発機構
(本内容について)
海洋工学センター 海洋技術開発部 長期観測技術グループ
グループリーダー   石原 靖久
(報道担当)
広報部 報道課長 松井 宏泰
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